ヤリサー
「もっとお高く止まってないと価値下がるぜ、カリスマ」
アキラがボソッとつぶやく。
途端に美鈴の眉間にシワがよる。
「そういうの気持ち悪いからヤメて!大嫌いなのよ!
動画見た人なら、私がそういの嫌いなの知ってると思うけど。
私もまだまだだね!」
両手を腰に当てる。
若い女が金儲けるには男に媚びて身体売るしかない。
ネットで方法探してる時、そんな方向に走った子も沢山いた。
が、美鈴は絶対嫌だった。
同じ媚売るなら、全員だ。老若男女全部だ!
だから動画もスパチャ避けてアップロード配信で動画の再生数だけで勝負するようにしたのもその為だ。
でも、まだまだこんな風に誤解してる奴もいる。
『まだまだ知られてないんだ、私の念持も気合も。』
スゴくムカつくし気合いも湧いてくる。
「日当1時間でも2時間でも1万出すよ。2人別々で!
それで、どう?」
「日払いならOKだ。後からとか、まとめてとか計算面倒だし信用も出来ないしな。」アキラがニヤッとした。
「え〜、そんなに悪いよ!
確かに今金欠だけど…」見波は遠慮気味だ。
親から仕送りしてもらってるが、後期が始まったばかりでまとまった金がドバドバ出ていってしまって、また本気でバイトを悩んでた所だった。
アキラと大家の有間には反対されてたが。
「あんたさあ〜アイツらだけでなく広告研究会の奴らにも目付けられてるぜ?
気付いてないだろ?」
「えっ、あの悪名高い?」美鈴は身構える。
ヤリサーとして有名な広告研究会は、
広告業界めざして活動してます風で、実は女の子に薬盛って犯して動画で脅して最後は、「好きもの女の実態」とか動画を流す犯罪集団だ。
すぐにバンされるが、保存されて女の子の人生は終わる。
ただ女の子も事を大ごとにしたくないので泣き寝入りしてると言う噂だ。
親が会社経営者ばかりなんで金で解決してるらしい。
「私でやっても再生数稼ぐ前に消されるし、全然メリット無いのにね〜」美鈴にはイマイチ解せない。
「ハハッ、アンタは大人なんだよ。
あいつらは生意気な女が目立つのが許せないんだよ。
ただ、それだけ。」アキラがクスクス笑う。
「特に結婚する気なんか無いし、脅すと言われても…
もっとヒドい動画、すでに出してるしなあ〜
そんな動画でガタガタ言う男なら、こっちから願い下げだよ!
だいたい警察に突き出すだけだしな、広告研究会のヤリサーは。」
美鈴はプンプンしてるが気付いた。
アキラはワザと今日、美鈴の前に現れたんだ。
噂を聞いて。
もしかして、こいつ良い奴なのか?
確かにこんな人の良さそうな見波が嫌わずに仲良くしてるし…
「では、今日からな。タクシー乗せるまで見送ってやるよ。」アキラがニコニコ手を出してきた。
前言撤回だ。