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動画配信者

小さい頃忘れられない光景がある。

大阪と奈良の県境生駒山の中腹に住んでいた。

その地域は部落と呼ばれ古くからこの地に住んでいた人々の村らしい。

家の前の道は暗峠くらがりとうげ)と呼ばれいにしえ)からの古道らしい。

全て「らしい」しか言えない。

それぐらい昔からある村なのだ。

村には小さな祠があった。

その中には、白い馬に乗った皇子が鬼の首を取った伝説に習い

飾られていた。 

白馬に乗った皇子のキリッと結ばれた唇と美しさに密かに恋をした。

漠然とその皇子にいつか会える気がしていた。

小学校に入る年、ペルセウス流星群が見れると聞いて

部屋の窓から大阪の街の空を夜更けまで見ていた。

星を散りばめたような大阪の夜景が明るすぎて流星群は見れなかったが…

遥か彼方大阪の海の方から花火のように一筋の光が

空に上った。

とその光は瞬く間に自分の方に向かってきた。

遙か頭上でその光は一瞬止まる。

それは自分と同い年くらいの少年に見えた。

両手に数人の人を連れて山の麓へと飛んで消えた。

絵本で読んだピーターパンのようだった。

すぐに父母に話したが信じてもらえず、そうこうするうちに

山の麓の新興住宅地に引っ越して白馬王子の祠もその夜の少年も忘れてしまった。

父の始めたばかりの事業はうまくいってたようで

お城のような豪邸を新興住宅地に建てた。

父はそのニュータウン計画の功労者らしく大きな区画を

格安で提供されたらしい。

何不自由ない生活、ニュータウンの友人達にも羨ましがられる生活。

だが高校生になった頃、父の会社は突然潰れた。

何の会社か良く知らなかったが、補助金が打ち切られたらしい。

元部落の人を何人も雇っていた父の会社は、補助金だけで潤っていて

その為父は事業は本気でやっていなかったらしい。

結局家も人手に渡り、父は自殺してしまった。

終わりは呆気なかった。

父の名は入鹿と言う。


母は自分と妹を連れて京都の実家に戻った。

どうしても大学に行きたくて、流行りだした携帯で

動画を撮りネットに上げると閲覧数が増えると勝手にスポンサーが付き口座にお金が振り込まれるようになった。

綺麗にメイクして歌ったり踊ったりを京都の観光地を背景にバンバン上げた。

SNSを駆使してどんどん進化する携帯を活かして動画配信者、インフルエンサーとして有名になった。

トラブルも増えたし大手事務所と言うのが声を掛けてきたが全部自分でやった。

父が補助金頼り行政や銀行に言われるまま動き、最後自殺する事になったのを知ってるから…


有名動画配信者インフルエンサー「ヒミコ」

母と妹に事務や経理をしてもらって事務所扱いにしている。

おかげで大学に自力で入れた。妹と同学年にはなってしまったが。

学部も同じだし顔も体型も全然違うので妹は自由に動ける。

おかげで代弁や単位もレポートも何とか潜り抜けれたが…変な人間が嗅ぎつけてきたのか?

自宅や大学内も安全ではなくなってきた。




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