表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

悪魔が語る安易な楽しさ

刹那主義ではダメなのよ。

あなたが父なり母なりになったあと、そのことを思い知るでしょう……

「楽しいことが正しいことのように考えられているな」

 とうとつに悪魔は言う。

「だがそれは、我々悪魔の独壇場なのだ」

 悪魔にとって人間を堕落させたり、弱らせたりするような活動はお手の物だと語る。



「なぜなら人間の魂を成長させるのは、安易な楽しみや快楽ではない。むしろまったくその逆にあるものが人間の魂を強くし、成長させるのだ」

 だからむしろ、人間に必要なのは神の愛などではなく、悪魔のささやき なのだと悪魔はうそぶく。

「苦悩や迷いの無い世界など、ただの堕落と腐敗の温床だ」

 そこにも悪魔がいて、そうした悪魔は怠惰を司る悪魔の王に仕えているのだとか。


「知っているか? 怠惰という奴は、人間がもっとも愛する悪魔の名なのだ。むしろそこには信仰心に似た、救いようのない者たちの魂を捕らえる誘惑がひそんでいる」



 楽しさ──娯楽は、人類の文明のひとつの形である。私はそう主張した。


「おお、君はまるで、どこぞの哲学者よろしく、犬のように自由であれと言うのだな。──それもいいだろう!」

 悪魔は大手を振って声高に宣言した。



「楽しいことだけを追い求める者は、やがて自らを見失い、野良犬のようにさまようことになるだろう。

 だがそれでいいのだ。

 所詮人間という輩は、自らの欲望の権化でしかないのだからな!」

 そう言って、暗がりに寝ころんでいる酔っぱらいを指さす。


「見たまえ! あのゴミ袋を抱き枕とでも勘違いした男の姿を。誰しもしらふならば、あのような者になりたいなどと思うまいよ。

 ああ、たとえ惚けて死ぬとしても、あのようなみっともない真似をして死にたくはないものだなぁ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ