悪魔は環境を憂う
「はっはっはっ──まったく、おまえら人間は、いつになったら自分の愚かさに気づくのだろうな?」
私は簡潔に”明日だ”と答えた。
「知っているぞ! 君はこう答えるつもりだな!『ただしその明日は、永遠に明日のままなのだ』などと言うのだろう!」
私は肩をすくめ、当たりだと言った。
「なんとまあ、ひどい奴だろう!」
悪魔は大仰に泣いたふりをする。
「自然災害は、自然環境を狂わせる物質を出しつづけるおまえたちのせいで起こるというのに、なぜまだ理解しようとしないのだ?
──とはいえ君! 何も私は『環境活動家』になりたまえ、などと言っているのではない。
あの環境活動家とやらも、大きな勘違いをしているようだからな!」
私は環境保護を訴えるのは結構なことだが、その被害は確実に人間に返ってきているのだから、そう大声で怒鳴り散らさなくても、やがて人々の目が見えるようになれば、嫌でも理解するだろうと返答し、悪魔に嫌そうな顔をされた。
「君はときおり間の悪い回答をする」
どうやら悪魔が言おうとしていたことを先にのべてしまったらしい。
「だがまあ、そのとおりなのだ。これをしっぺ返しと言うのだろうが、このしっぺが本人に返ってくるとは限らず、まったく関係のない者に降りかかってくる、という始末なのが、この問題を難しいものにしている」
実際、工場などひとつも無かった極地に汚染物質が降りそそいでいる、といったことが報告されている。
この地上にある資源を使い尽くし、また新たな化石(燃料)となるべく死滅するとしたら、私たちはきっと墓場から復活などせずに、地下に埋もれたまま、なんらかの有機物へと変化していくのだろう。
きっとそのように作られているのだ。
それが人の、生物としての定めなのだ。
南極か北極か忘れましたが、母親の母乳から科学物質が出て、それを授乳する赤ん坊が心配される状況があったらしいです。各国から出ている汚染物質が極点にまで届くのでしょうか……