繰り返される悲劇の予言
菱王は、不満だった。
思う様に事が進まないのは、いつもの事。
長い間、そうだった。
こんな東北に、陣があるとは、思わなかった。
「東北の片隅に陣があると聞く」
本土に、旅立つ前に、言われた。
彼は、九州からは、離れられない。
楔を抜く訳には、行かない。
運の悪い事に、楔は、抜けかかり、結界は、壊れ掛けている。
「本土の奥に、六芒星の陣がある。その秘密を持って来れないか」
永年、楔を守っていた長に言われた。
「そう簡単に、持ち帰る事ができるでしょうか」
「獣神達が、結界を守っていると聞くが、その中心には、何かが居る。我々の知らない叡智の神が眠っていると聞く」
「東北・・・ですよ。何にもない、山と川しかない」
「バカだな。何もないから、隠してあるんだ」
「古代の神が眠るのは、我が地。東北に何があるのでしょうか」
「かぐやの伝説を聞いた事があるか」
「かぐや姫ですか?おとぎ話かと」
「おとぎ話に化けて、口伝えに、真実を残している」
「月から、誰かが来たのですか」
「そうと考える」
「一介の武人が、陣を作り上げるなんて、できる訳がない。古人が作った上に、載せただけだ」
「菱王・・・」
彼は、九州の北部から来た。
古代の神々が住まう土地。
六芒星の陣を探り、九州に持ち帰る為。
「楔が抜けないように・・・。この地を守るのだ」
仙台。
六芒星の陣を、九州に持ち帰る。
後、もう一歩なのに。
邪魔をする創宇。
陸鳳を取り込み事に失敗した。