時の狭間に閉じ込められた人
時量師 創宇。
いつから、自分は、時間と関係ない存在になったのか、わからない。
誰に聞けば、答えは、わかるのか。
もう、遠く、忘れてしまった。
わかる人がいれば、教えて欲しい。
あまりに遠く、来てしまった。
「最後のお願いです。」
咲夜姫の言葉は、守ってあげたい。
「避けられない事態がきます」
星を見る少女だった。
最初は、ただの幼い姫だった。
星降る夜に、彼女は、覚醒した。
「皆を救う方法を考えなくては、なりません」
誰もが、この地を捨てるだろう。
地は裂け、あらゆる地が、海になる。
「もしかしたら、咲夜姫は、この地の人ではなかったのかもしれない」
咲夜姫は、自分に重要な役目を与えた。
「あなたにしか、頼めない」
それは、私にとって、酷な願いだと、思わなかったのでしょうか?
墓守として、私の時間を止めたあなたは、この思いに、気がつかなかったのでしょうか。
創宇は、古城の天蓋から、空を望んでいた。
「あれから、どれだけの月日が、流れたのでしょうか」
咲夜姫は、自分の体を、この古城の下に沈めた。
「陣を強固にする為。四方を獣神達で、固めましょう」
「古代から、この国を守る獣神達が、更に結界を固めるでしょう。でも、それは、隠さなくては、なりません。獣神達の秘密が、結界を崩す鍵になるから。紐解くのは、獣神達の伝説を知らなくては、なりません」
咲夜姫の陣は、強固な物になった。後丗の武将が、それを利用したように、
「この陣は、破れない」
・・・・筈だった。
「獣神達に何があったのか」
創宇は、ため息をついた。
「咲夜姫。あなたは、どこに行ったのです?」
古城の下で眠る咲夜姫の姿は、どこにもなかった。
災厄が降って来る日は、七月。
陣は、崩壊し始まっている。
「どこに、姫は行ってしまったのか?」
創宇の知らない所で、何かが、起きている。