表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/119

生と死を司る者

創宇が得たのは、不思議な鼠だ。

どうして、鼠にこだわるのか。

それは、陸鳳だからこそ、知っていた。

鼠は、誕生を司る獣神でもある。

六芒星の獣神それぞれに、意味があり、その中心の柱には、誕生を意味する鼠の獣神が、しっかりと、咲夜姫の眠りを守っていた。

「鼠が逃げ出しました」

からくり箱の中で、封印されていた鼠が、逃げ出すという事は、その効力を失うという事。

咲夜姫の眠りを守る創宇にとって、あってはならない事。

「探し出せ・・」

そう言うしかなかった。

代わりの鼠など、霊力のある鼠など、そう簡単に見つかる訳がない。

「誰の仕業か?」

それが、突然、宙から鼠が現れたのだ。

「ふ・・ん」

六芒星の中心、古城の結界は、緩めてある。

「罠をかけましょう」

伊織の提案だった。

「獣神達とは、違う能力のある者達が、いるようです。奴らを捕まえて、古城に閉じ込めれば、逃げた鼠は、追いかけなくて済みます」

「他に、能力のある者が?」

「はい。この地の者ではないかと」

「この地の者ではない?」

「海の向こうから、来た者ですが・・・何故か、咲夜姫様と同じ魂魄をお持ちで」

「咲夜姫様と?」

「そして・・・鼠の獣神のようで」

誕生を司る神。創宇が必死に、鼠を探しているのには、もう一つの理由があった。



「死の神が訪れるのが、怖いだろう」

陸鳳は、大獅子に言った。

「死の神?」

「炎の馬が現れる」

「馬?龍でないのかよ」

「この陣の獣神の順番で行くと、馬なんだ。鼠は、誕生を現し、馬は、死を表す。つまり、創宇が願っているのは、誕生と死。つまり、転生なんだ」

「創宇は、あの古城で、咲夜姫の転生を待っているんだ」

「馬を待っているって事か?」

陸鳳は笑う。

「恐ろしい馬だ。」

「炎龍よりか?」

「死を司る馬。全てを、死に至らしめるが、最後には、生をもたらす。それを、待っているんだ。何年も。」

「馬は、現れるのか?」

「そう簡単に現れる訳がない。僕らも、焼かれて消えてしまう」

陸鳳は、鼻で笑う。

「だけど、古城の中に閉じ込められた人は、助けなくてはならない。うまく、創宇に捕まってくれ」

「鼠に化けるのか」

「大獅子と言っても、狐神だろう。得意だろう。騙すの」

「人聞きの悪い」

「とにかく、古城に入ってくれ。創宇は、決して、悪い奴ではない。」

「わかったよ」

創宇と菱王。それぞれ、言い分があるのは、わかるが、六芒星を、求める事態が悪化していく事を、まだ、陸鳳達は、知らなかった。

軌道を外れた、隕石が、真っ直ぐ、向かっている事を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ