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私が、離さない人

陽蒼は、陸鳳が戻ってくるのをずっと、待っていた。

心配で、たまらない。

「また、何処かへ、行ってしまった?」

危険な目に合わないように、心配する他に、もう一つ、理由があった。

「過去を思い出させたくない」

それが、陽蒼が離れない理由の一つ。

思い出したら?

自分は、どうなる?

ようやく、陸鳳の側にいる事ができたのに。

いつだったか、あの女の姿を見た。

山に居る時に、聞いた女だった。

人間?

山神の兄弟のどちらかが、伴侶となる相手と聞いている。

陸鳳の相手だと思っていたが、それは、譲ったとも聞いた。

だが、どう見ても、

お互いに惹かれているのは、陸鳳とその女だった。

あの日。

大地震と共に、山が火を噴いた。

炎龍の仕業とも、言われている。

地底で、何かが起こっていた。

自分達の知らない何かが。

女が、巻き込まれ、助けにいた陸鳳も、瀕死の怪我を負った。

助け出したのは、自分だった。

何も、記憶がない陸鳳の側に居る事に決めた。

陸鳳の怪我が、深かった為ばかりではなく、自分が側にいたいからだった。

「帰ったよ」

時間通り、陸鳳は、帰ってきた。

「お帰りなさい」

人の中に紛れる為には、怪しまれない生活も必要である。

動物病院の2階に、住居を構えた。

「炎龍がたくさん、山を降りる姿を見たの。何かあった?」

「あぁ・・・」

陸鳳は、コップに冷水を注ぎ、一気に喉に流し込んだ。

「陽蒼の心配した通りだよ。六芒星の獣神達に不協和音が生じていたよ」

「そうなの?影響が出ているの?」

「六芒星が原因で、あの地震が起きたのかは、わからないけど。眠っていた獣神達が、目を覚まし、不穏な動きをしているね」

陸鳳は、少し、考える顔をした。

「見た事のある人がいたんだけど」

「女の人?」

「この間の急に現れた僕の弟とは、また、違う匂いの子だったよ」

「だから、女の人だった?」

陽蒼が、カァーッとなったのを見て、陸鳳h、少し、引いた。

「どうしたの?いつもの陽蒼じゃ、ないよ」

「変な獣神だと思って」

慌てて陽蒼は、訂正した。

「人間だよ・・・普通の」

あの子だ・・・。

「気をつけて。人間は、私達とは、違うから、深煎りしないで」

「わかっているけど。どこかで、あったかなぁ」

「どこにでも、居る子なんでしょう?」

陽蒼は、訂正した。

「六芒星の剣は、どうするの?」

「うん・・・餌は、まいたよ」

陸鳳は、陽蒼の髪に、そっと触れた。

「解決したら、山に帰れるよ。静かな山にね」

「陸鳳。約束は、守ってね」

絶対、陸鳳は、離さない。

陽蒼は、陸鳳の背中に、手を置いた。

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