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再会

扉の外に立っている、陸鳳を見た瞬間、桂華は、時間が一瞬止まったかの様に感じた。その瞳は、どこか遠い日に、見た記憶があり、陸鳳も、桂華を真っ直ぐに見つめていた。

「何かあったか?」

菱王は、怪訝な顔をした。

「知り合いか?」

「いえ・・・どこかで、逢ったような気がしたから」

慌てて桂華は、首を振った。知っていると言えば、面倒な事に巻き込みかねない。あまりにも、厄介な者達が、集まっている。エルタカーゼは、皇子が見つかったので、その場を離れたがっていたが、しっかりと菱王は、行手を阻み、逃げ出せないようにしていた。

「時量師には、知られたら、困るんでね」

「菱王。用件はわかったが、関係のない人間は、解放したらどうだ?」

桂華のもつ緑に光る石に、導かれて現れた陸鳳は、言った。

「陣の秘密を聞かれた人間を話すと思うか?」

「殺気立つな。その子は、話さない」

陸鳳は、桂華の解放を求める。だが、エルタカーゼを解放しなければ、囚われている希空が戻らない。

「待って!その2人も解放して欲しい」

希空の身を案じて桂華は、叫ぶ。

「関係ない者は、解放しろ。陣の問題は、獣神達と我らで、良いだろう」

陸鳳は、菱王に解放を迫る。

「我ら?とな。誰がいる?」

菱王が、あたりを見回すと、一瞬、強い旋風が、起こり、皆、視界を奪われた。強い土埃が巻き上がり、視界が開けると陸羽が、姿を現していた。

「やっぱり、来たか・・」

菱王は、舌打ちをした。陸鳳の弟、陸羽は、兄とは違い、気が荒い。異母兄弟を聞いていた。

「人間の血が混ざっているだけあって、野蛮と聞くが・・」

菱王の口元が歪んでいる。生理的に合わなさそうだ。

「まさか・・こんな所に来ているとはね」

陣の異常を早くから感じ取り、陸鳳に知らせようとしていた陸羽は、同じく緑の光に導かれて、この堂に現れていた。

「探したんだぞ。陸鳳。気付いていたんだな」

陸鳳が、以上に気付いてくれた事が、陸羽は、嬉しかった。また、昔の様な勘が戻ったのかと思った。

「残念だが・・」

菱王は言った。

「陸鳳は、昔の記憶は、戻っていない。ただ、光が気になったから、現れただけだろう?」

「え?」

陸鳳は、答えなかった。

「さぁ・・関係のないものは、解放しろ」

それだけを菱王に告げる。

「本当なのか?陸鳳」

陸鳳は、曖昧な表情をしている。

「関係ない者!と何度も言っているけど」

先程まで、様子を伺っていた栗鼠が、言葉を発した。

「冥府の花嫁を迎えに来た以上、関係のない者ではないよ」

止めるエルタカーゼを振り切ったのは、栗鼠から姿を取り戻したリファルだった。

「この国に陣があるとは、珍しい。その話に載らせてもらおうか?」

「皇子。面倒な事になります。我々は、さっさと諦めて、国に帰りましょう」

「花嫁を追いかけてきたのだ。そうそう、諦めて帰る訳には、行くまい。それに、私を捕らえた者に、お礼をしなくてはならない」

リファルは、菱王の前に立ちはだかった。

「この地にも、陣があるとは、何かの縁だ。私も手伝うよ」

リファルは、意味ありげな目線をエルタカーゼに投げていた。

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