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衝突

桂華にとって、帰国してから次から次へと起こる不思議な事は、過去の出来事を思い出すきっかけになっていた。

「昔も、不思議な事がなかった?」

母親に、久しぶりに電話した内容は、それだった。思い出そうにも、何かが、蓋をして思い出せない。遠い日に、田舎に帰った時に、それは、起きた。不思議な時間。廃校で、ぼんやりしているのを発見された他は、何も覚えていなかった。

「狐につままれた」

母親は、笑って相手にしてくれなかった。何か、大事な事があった。胸の奥が染みるように痛かったが、何も思い出せなかった。ただ、喪失感だけが残っていた。大学で、歴史や史跡、考古学を専攻した。世界中の呪術や史跡を調べた。

「歴史物好きねー」

良く言われた。肌に合うと思っている。探究心が強く歴史の裏に隠された事を調べるのが好きだった。冥婚を調べるのも、面白いと思っていたが、実際、自分が冥婚に巻き込まれるとは、思っていなかった。友人を巻き込まれた以上、行方不明になっている皇子を探すのも、もともとあった探究心に火がついた。

「この街には、六芒星の陣が敷かれている」

図書室で、調べている時に、誰かが話していた。

「聞いていていいのかな?」

友人と何人かで、話を聞いてしまい信じていいのか、少し、悩んだ。

「本当だと思う?」

友人が顔を顰めた。

「六芒星の真偽は、わからないけど、戦国時代の武将が敷いたって話よね」

桂華は、観光マップを取り出した。

「丁度、古代からの神社仏閣をつなぐと、六芒星の形になるのは、真実だし、その中心が戦国時代の武将が開城したお城があるのは、事実よね」

そう、あの時、もっと、調べておけば良かった。桂華は、後悔した。六芒星の六つの寺社には、役割と守護神がいる。獣神と聞いていたが、今、自分達が向かっているのは、鬼門の手前の寺。伊織のいる寺の手前だった。

「皇子の匂いがする」

桂華の友人に、化けたエルタカーゼが、そう言い、桂華をっき合わせた。間違えて、陣の中に踏み入れてしまい、魔力を自在に使いきれていなかった。

「満月までに、皇子が見つからなければ、黄泉から仲間を呼び、陣ごと街を食い荒らす」

更に

「お前の友人も、魂毎、食い潰してやる」

そう脅された。恐怖でもあったが、陣の秘密も知りたかった。なぜ、一介の武将が陣を張ることが出来たのか?美しい狼の獣神が現れるのか?遠い日の記憶と繋がるのか?桂華は、エルタカーゼと行動を共にする事で、知り得る気がしていた。

「この辺に、皇子の匂いがする」

桂華の友人に姿を変えたエルタカーゼが見上げたのは、深い森に浮かぶ墓綾だった。

「こういう展開は、あまり良くないのよね」

見上げる鳥居の一面に、漆黒の羽をもつカラス達が行手を阻むように、一斉にこちらを見下ろしていた。

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