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逃げ出した栗鼠は、陣の中

時々、創宇は、何処へとなく消える。伊織に全てを任せて、何処かへと去って行くが、それが、どこなのか、伊織には、教えてくれない。長い間、一人で、ここを守ってきた。創宇と初めて会った時は、衝突し、戦う羽目になった。が、伊織が叶う筈はなく、時間を超えた存在、時量師と知ったのは、後からだった。時折、ひどく老いて見える事があったり、その反対、若く見える事もあった。創宇は、謎の人だった。六芒星の守護者が、集まった時も、一人、創宇の雰囲気は、異なっていた。陣を編み上げた創始者の守護者と言う者もいたが、どうして、武将の守護者なのか、皆、首を傾げた。誰も、陣を編み上げた創始者が、咲夜姫だとは、知らなかったからだ。もちろん、伊織も知らない。創宇は、時折、時間の間に飲まれそうになる。むしろ、飲まれてしまいたい。そう、思っていた。どうして、自分だけ、時の流れh、避けていくのか・・・。一人、咲夜姫の棺の前で、自分に訪れた深い闇を見つめている。伊織は、創宇の留守の間、創宇が、抱えてきたキャリーバックの中にいる小さな生き物に、気を取られていた。

「どこからきたのだろう?」

栗鼠だと思った。小さく、クリーム色が混じった太い尻尾の生き物。バックの中を上や下へと動き回り、落ち着かない。鼻をひくつかせ、辺りを窺っている。

「そんなに、動き回っても出れないよ」

伊織。見た目は、強面だg、こう見えても、生き物には、優しい。動物達は、伊織にすぐ懐く。それが、わかってか、伊織も、この栗鼠が自分に、懐くのか、興味があった。

「可哀想に、あいつに捕まったのか?」

少し、この愛らしい動物の顔を覗いてみようか?伊織は、そう思った。バックの陰になり、顔がよく見えない。

「後、少しで、顔が見えるんだけどな」

伊織は、少しくらいならと思った。ほんの少し、そこにいる栗鼠の顔を見るだけ。キャリーバックの間から、除けば大丈夫。そう思い、バックの間を少し開けた。

「うわっ!」

ほんの少し、バックを1cm程度開けただけである。その隙間から、液体の様に栗鼠は、すり抜け、正体を現したのである。

「お前は?」

伊織は、身構えたが、創宇の能力の方が上だった。栗鼠の姿から、正体を表したのは、幼い子供の姿だった。

「お前に、私は、抑えられない」

生意気にも幼い子供は、伊織にそう言うと、急に向かってきた。

「さっきの男とは、全く力が違うな」

笑うと伊織の背中を駆け上がり、両肩を踏み台に、宙へと掛けがって行った。

「待て!」

栗鼠の様に、身軽な幼い子供は、宙へと消えていった。

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