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冥府の番人のお願い

桂華は、目の前に現れた人では、ない物。異形の者を初めて目にして、驚いていた。史学を専攻していたが、過去の遺跡において、手足の長いこの世の者ではないだろう、壁画は、多く見ていたが、こうして目の前に現れてみると、人間とあまり変わりないと思われてしまう。あまり、驚きもせず、見入る桂華に対して、相手の女性は、不愉快そうな表情を露骨に現した。

「怖くないの?」

「何が?」

希空は、しっかりと桂華の腕にしがみついている。

「怖いって言っても、何ていうか、こんな事、前にもあったような・・・」

「前に?って。おばあちゃん家の件?」

「まぁ・・そうだったかも」

あの時、何があったか、思い出せない。霧がかかったかのように、頭の奥がぼんやりする。

「いろんな山の神にあった・・・と思う」

「思うって?私は、初めて・・・だから」

希空は、桂華の腕に更にしがみつく。

「何があって、こちらに?」

人ではない者は、掌に、青く燃える炎を乗せて、そっと息を吹きかける。

「全く、とんでもない所に連れてこられたわ」

息を吹きかけられた青い炎は、燃え盛り中から、何かが、飛び出してくる。それは、丸い形をして入り、次第に膨らみ、幾つもの炎の化け物と姿を変えていく。

「手荒にしたくないかったんだけど、何かと邪魔が入ってね」

「ちょっと、桂華。また、出た」

息を吹きかける度に、炎には、両足が生え、姿を変えていく。

「もしかして、陣から出ては行けなかったのでは?」

「でも、こちらに行けと、あのイケメン君が・・」

自分達は、逃げ出す方向を間違えた?あの陸羽は、敵を追って、山の向こうに消えていた。人ではならざる者の足元では、炎の妖が、地を這って、桂華達との距離を縮めている。

「私達の方が、とんでもない人間に関わってしまったと思っている」

桂華と希空の周りを、炎の妖が、囲むのを待って、その人ではない者が、頭を垂れてしまった。

「はぁ?」

「冥婚の相手を探す筈が、とんでもないことになってしまった」

両膝をつき、更に頭を下げる。

「我が名は、エルタカーゼ。冥府の番人。あなたを冥婚の相手として、連れ去るはずが・・・逆に、我が主人、リファル様が姿を消してしまった」

「冥婚の相手?」

「だから・・」

希空が顔を顰めた。

「赤いお守り袋は、拾うなって、言われたでしょう?」

T國の道端で手の触れてしまった赤いお守り袋。あの瞬間に桂華と冥府の誰かが、縁を結んだそうだが、帰国した桂華を追いかけて、このエルタカーゼの言う主人が姿を消してしまったそうだ。

「どうも、この陣の力で、どこかに、飛ばされてしまったらしい」

六芒星の陣が、妖を引き連れた桂華に反応し、発動。飛ばされたのが、番人の主人だったと言う。

「どうして、私達に、それを言うの?」

エルタカーゼは、少し、困った顔をした。

「この陣では、我らは、非力なのだ・・・しかも」

言っていい事なのか、エルタカーゼは、口篭った。

「主人は、まだ、幼い・・・子供なのだ」

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