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陣の完成

「ちょっと?」


力無く項垂れるのが、希空だと誰もが、思わなかった。


「嘘だ!」


創宇が、慌てて、抱き上げる。


「嘘だろう・・・嘘」


どんなに、頬をさすっても、目を開けてくれる気配はない。


固く閉じたまつ毛お間から、光を失った瞳がわずかに、覗く。


「折角・・・折角、戻ってきたのに」


「リファル様・・・」


エルタカーゼが、リファルに囁く。


「本当に、咲夜姫なんでしょうか。こんなに、簡単に死んでしまうものでしょうか」


「創宇が、そう言うなら、そうなんだろうけど」


創宇の悲しみぶりが、尋常でない。


「咲夜姫の生まれ変わりだったんでしょうか?」


「今となっては、わからない」


「見て!」


突然、桂華が、空を指差した。


「?」


地上に降り立った陸鳳も、見上げる。


一瞬、降り注ぐ火球が、弱まった気がした。


「弱くなった?」


「いや・・・」


日差しが弱くなった気がする。


空が、遠くなった気がする。


はるか、天高い位置で、火球が弾けている。


「これは・・・」


「六芒星が・・」


東西南北の地表から、虹色の柱が、立ち上っていった。


近いようで、遠い。遠いようで、近い虹の柱が、立ち上がる。


天の中央で、重なり合い、日差しすら、遮ろうとしていた。


「陣が起動した」


創宇が呟く。


「獣神が、揃わないと起動しない六芒星の陣が起動した」


陸鳳と創宇は、顔を見合わせた。


「彼女は・・・」


逃げ出したのは、鼠の獣神。


「彼女は・・・咲夜姫ではない」


陸鳳凰は、気づいた。


「やっぱり・・・獣神は、咲夜姫を守っていた・・・という事は」


全員の視線が、桂華に注がれた。


「やっぱり・・・君は」


「待って・・・私は、何も思ていない。覚えているのは、あの御霊山で、あった山神だけなの」


陸羽は、陸鳳の腕をとった。


「兄貴・・・彼女は、咲夜姫ではない。俺の許嫁だよ。山神の嫁なんだ」


「違う。陸羽。彼女は、咲夜姫だ・・・御霊山に、咲夜姫が、現れる。先祖からの口伝えなんだ」


「なんだって?だって、彼女は、昔から・・」


霊的な力を持って生まれた者。


獣神が、守っていた者。


紛れもない咲夜姫。


「そうか・・・君だったのか」


創宇は、力尽きた希空を、地に置いた。


「最初から、君だと思っていた。僕の事は、忘れたの?」

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