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災厄の日

誰しもが、守りたい故郷がある。


菱王も、その一人だった。


九州にある霊峰の鉾が、抜けかかっていると長老に言われた。


神々の生まれた地。


古代に打ち付けられた鉾は、この地の守護となっている。


時代と共に、


鉾は、抜け落ちかかり、


神域を守る事はできなくなっていた。


災厄の日が、来る。


古来よりの言い伝え。


九州の地を守る鉾が、力を失っている。


各地を奔走し、探しあてた情報。


仙台の六芒星こそ、


鉾に変わる結界。


故郷を災厄から、守るには、


その方法しかなかった。


本来、


菱王は、地を守る麗しき獣神だった。


自分の生まれた地を守る為、


意に沿わない行いをたくさんしてきた。


人を利用し、


泣かせ、


苦しめた。


善の心が、残っていた菱王は、傷つき、


その美しい顔は、歪んでいった。


「この地を守るため」


それを言い訳にしていた。


「この役目が、終われば」


そう思い描いていた。


火球が、降り注ぐのは、


災厄が降ってくる前兆。


菱王は、三本足の鴉と飛び立った。


しっかりと、陽葵の体を、絡め取り、


咲夜姫の生まれ変わりと思う、希空の前に現れた。


「離して!」


陽葵は、叫んだ。


優しくして、くれた菱王が、恐ろしい顔をして、


自分の体を押さえ込んでいた。


「私にも、時間がないので、わかってほしい」


震える声だった。


突然、目の前で、傷つけられる陽葵の姿に、陸鳳は、身構えた。


「咲夜姫を渡してほしい」


リファルとエルタカーゼも、顔を見合わせた。


「突然、どう言う事だ?」


やっと、会えた咲夜姫を渡す訳には、いかない。


リファルは、そっと希空の前に立ち塞がる。


「渡す訳には、いかない」


「私も、彼女を殺したくない」


菱王が、力を入れると抑えられた陽葵は、悲鳴をあげる。


「私にも、守りたい故郷がある。咲夜姫の力を借りたい」


「そんな事を言っている時間はない」


リファルは言った。


こちらの、六芒星も欠陥だらけなのだ。


ここで、咲夜姫を連れて行かれたら、最早、六芒星は、崩壊する。


「できない」


「では」


陽葵の体を締め上げる。


兎の獣神の体は、脆い。


陸峰尾が、動こうとしたその時だ。


「待って!」


希空が、声を上げた。

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