記憶に残るあの人の顔
それは、まだ、昼間なのに、突然、起こった。
「なんか、来る」
皮膚表面のひりつき。
同意を求める様に、陸鳳の顔を見る。
「あぁ・・」
陸鳳が、それを見上げた。
その時だった。
たくさんの星が、中から現れ、地平線へと突っ込んでいった。
次から次へと。
明るい日差しの中に消えていく。
これが、夜だったら。
きっと、たくさんの花火の様に見えただろう。
昼間の明るい日差しの中、
次から次へと現れてき消えていく。
多くの星。
昼間の光の中、音だけが、
響いていく。
「なんて、たくさんの星でしょう」
桂華の瞳の中にも、降り注ぐ光が、映っている。
「夜だったら、綺麗だよね」
思わず、呟く陸鳳。
だが、一人だけ、顔色が悪い奴が居た。
創宇だった。
「まだ、早いです!まだ、準備できていないのに」
「早いって?」
桂華は、あまりにも、創宇が焦るので、事態が悪化している事に気がついた。
「ただの流れ星では、ないのですか?」
「違います・・・始まった。まだ、六芒星は、直っていないのに」
「始まったって」
それを聞いてはいけない気がしていた。
切迫する事態の中心にいるのは、間違いなかったから。
六芒星の陣が壊れると。
災厄から、地上を守れない。
その前兆が、火球なのか。
桂華の表情を読み取った陸鳳が頷いた。
「六芒星を建て直すんだ」
「どうやって?」
創宇は、乾いた唇を噛み締めた。
「逃げ出した、獣神を探してください」
古城の柱は、カラクリ箱になっている。
その中の一つ、
「鼠か」
鼠の獣神がいない。
「火球の後は、何が起きる?」
リファルは、空を見上げながら、創宇に聞く。
「知らないのか?」
創宇は、何かを知っている様子だ。
「知るわけないだろう?」
「災厄が、星の船だとしても?」
「だとしても、尚更、関係ない」
「忘れたのか」
リファルは、創宇が何を言いたいのか、わからない。
「自分達が、どこから来たのか、わからない様だな」
「どこから来たって?」
自分達は、T国から来ている。
冥府の入り口は、そこにあるのだから。
「元凶が、お前達にある事を知らないのか?」
「ちょっと、待って!」
そう言ったリファルの脳裏に、咲夜姫の顔が浮かんでいた。
「どうして・・・」
何故、咲夜姫の顔を知っている?
リファルは、混乱した。