魔将軍の狙いとは
大天使の話を聞いたミノル達。
食事も終わり今後の事について話し合う。
その内容は大天使と魔将軍の話になり・・・
「さて、腹もいっぱいになったし、今後の方針でも練ろうかの。」
みんなの食事が終わり一息ついたところでイナが声をかけた。
テーブルの上には燭台のろうそくが静かに燃えている。
「そうですね。この町は平和ですがいつどこで魔族が現れるかもしれませんし。」
「うん。この間は問題なかったけど、いつまでも上手く行くわけないからね。」
「ふむ、その通りじゃ!ミノルの力は魔族なんぞに遅れをとるものではない。じゃが、それは一般魔族相手の話じゃ。」
「一般、魔族。」
「そうじゃ。魔族にも人間同様階級があり、軍があり、将軍がおる。今、あやつが対峙しておるのがまさに魔王軍じゃな。」
イナの話はこうだ。
魔王軍とは魔王直属の幹部の一人「バジュラール」が管理する軍隊との事だ。
魔王直属の幹部は5人おり、”5柱”と呼ばれている。
そして、バジュラールは元々魔将軍だったらしく、先の神との大戦時に数多くの天使を殺し、その血肉を食べ、力を増大させたそうだ。
そしてその力と偉業を魔王に認められバジュラールは5人目の柱となった。
だが、バジュラールは更なる力を欲しており、神の残滓を探していたところイナの力を見つけたらしい。
しかし、その力は大天使が保護しており、これを攻めれば再び大戦が起きてしまう。
そうなると他の柱も動かざる負えない状況となり気軽には手を出せない。
そこでまずは小規模な軍で繰り返し大天使を攻め力を削ぎ、疲弊したところにバジュラール率いる本体で一気に攻めたててイナと大天使の力を奪おうという事になった。
だが、大天使も中々に面倒で一向に疲弊する様子もなく、少し焦っているらしい。
「まあ、ワシが知っているのはここまでじゃな。それ以上は直接向かって確認するほかあるまい。」
「・・・」
「クローシェちゃん、大丈夫?」
ミノルは少しクローシェが心配になり声をかける。
しかし、ミノルの心配とはうらはらにクローシェは笑みを浮かべる。
「ありがとうございます、ミノル様。私は大丈夫です。」
「そっか。うん、クローシェちゃんは強いね。」
「いえ、私は強くはありません。今でも昔の事を思うと足がすくんでしまいます。ですが・・・今は自分の為、みんなの為にやらなければならない事がありますから。」
クローシェは胸の前で拳を握りまっすぐミノルを見つめ答えた。
ミノルはそんなクローシェを心の底から強いと思った。
「うむ!良く言ったクローシェ!」
クローシェの言葉にイナが大きな声を上げる。
「確かに、あやつは心配じゃがまずはワシらが強くならねばなるまい。まずはお主じゃ、ミノル。」
「・・・うん。」
「おそらく、あやつの今の状態であれば・・・・・・ふむ、あともって半年というところじゃな。お主はどう思う、トライア。」
イナの呼びかけに応じて、精霊トライアが姿を現す。
「はい、私もイナ様と同じく大天使様のお力は半年ほどが限界かと。」
「で、あろうな。」
ミノルは少し焦っていた。
あと半年で大天使が苦戦している魔将軍を撃退しなくてはいけない。
恐らく先日の魔族とはけた違いに強いはず。
「そんな奴に半年で・・・」
ミノルの焦りを感じ取ったイナがあっけらかんと笑っている。
「何を恐がっておるのじゃ、ミノル! お主は既に人間を超越した存在になっているのじゃぞ。」
「それは分かってるけど、あと半年でなんて・・・」
「いいや、その様子だと分かっておらんな。お主は一度自分の事について認識を改めた方が良いな。」
ミノルはそんなイナの言葉に首をかしげる。
イナの言いたい事は分かる。
神様として転生した以上、人間以上の存在なのは間違いない。
それは概念的な話だけでなく、先日の魔獣や魔族との戦闘からも分かる事だ。
でも、それと魔将軍とは違うと思う。
首をかしげるミノルにイナは街の外へ行こうと提案する。
「模擬戦じゃ!」
まるでコンビニに行くかのように発された言葉にミノルは大きな声を上げて驚いたのだった。




