鉱石の町グリーベル
恥ずかしがって家に入ってしまったクローシェ。
その後ミノルとは?
そしてついに森を抜けたミノル達。
辿り着いたグリーベルはルーリ以上に活気にあふれる町だった。
「おはよう」
「おはようございます!」
小鳥の囀りに目を覚ましたミノルが即席の樹木の家を出ると、既に起きていたクローシェが笑顔で挨拶を返してきた。
その様子に少しホッとするミノル。
と、いうのもあの発言の後、夕食時も照れくさそうに目を伏せていたクローシェにどう接して良いか分からなかっだ。
・・・まあ、ミノルが恥ずかしかったというのもある。
そんな心配も杞憂に終わり胸をなでおろしたのだ。
それはクローシェも同じだったようで・・・
「あの・・・昨日は失礼しました。 私、あんな態度をしてしまって。」
そうクローシェは言うとペコリと頭を下げた。
「あ、いや・・・俺の方こそ変な事言ってゴメン。」
「いえ、変な事だなんて! 私、嬉しかったです。」
「ああ~・・・うん、その・・・・・・それは良かった。」
そういうとまた昨日のように頬を染めてしまう二人。
当然、そんな面白そうな事を見逃す筈もなくイナがからかってくる。
「おやおや? 朝から二人だけの世界かの? 若いというのは本当に羨ましいのう。 ワシもあと2千年くらい若ければのう。」
「もう、イナ様!」
「かっかっか!!」
からかうイナと恥ずかし気に抗議するクローシェ。
「あらあら、朝から賑やかですね。 ふふふ。」
そしていつからそこに居たのか分からないトライア。
ミノルはそんな光景に楽しいやら呆れたやら溜息をつき、朝餉にしようと促すのだった。
こうして冒険2日目の朝は賑やかに過ぎていった。
「さて、クローシェやそろそろかの?」
イナがミノルの後ろで地図と睨めっこして歩いているクローシェに話しかける。
「はい、この森を抜けたらもうすぐかと思います。」
クローシェがそう顔を上げ答えるとミノルも心が踊る。
ルーリを出てから1日、次のグリーベルは鉱石の町だという。
ここでは武具だけでなく生活にも利用される鉱石が大量に採掘され、町の生活用品に始まって装飾品や武具に至るものまであらゆるものが町の中で作られたものらしい。
どんな町なのかと想像していると森の出口にたどり着いた。
そしてゆっくりと森から抜けると・・・
「おお!」
ミノルの目の前には大きく開けた草原と、遠くには壁のように連なっている山脈。
山脈は見渡す限り続いており、大陸を4分割しているというのも本当のようだ。
ルーリからはここまでハッキリと見えなかっただけに迫力がある。
そしてミノル達がいる森から一本道が続いており、その道を辿っていたところにたくさんの煙が立ち上っている町がある。
ここからでも分かるほど大きな町だ。
「あれが鉱石の町、グリーベルです。」
クローシェが指を差して言う。
鉱石の町、グリーベル。
耳をすませば”カンカン”と金属を打つ音が聞こえてくる。
あの煙は鍛冶場の煙だろうか。
町のあちこちから立ち上っている事から多くの鍛冶場があるのかもしれない。
そして町から山の方へ線路のようなものが続いている。
あれで鉱石を運んでいるのかもしれない。
ルーリとはまた違った感じがしてミノルはウキウキしてきた。
そしてそんなミノルよりもウキウキしている人物が居た。
「何をしておる! 早く行くぞ!」
イナである。
まるで遊園地に向かう子供のようにはしゃいでいる。
そんなイナの様子に苦笑しつつ向かいましょうと促すクローシェ。
そしてその様子を楽しそうに見守るトライアさん。
ミノル一行は賑やかに町への一歩を踏み出した。
それからしばらくして太陽が頭の上に登ったころ、ミノル達一行はグリーベルの町へ到着した。
「おお・・・これは凄い。」
最初に声を上げたのはミノルだった。
ルーリの町も活気はあったが、グリーベルの活気はその比では無い程あった。
町のあちらこちらから聞こえる金属音。
行き交う人々。
通りには大小多くの露店が並び、鮮やかな光を放っている。
あれらは装飾品の露店のようだ。
露店の横にはドアがあり、中もお店になっているみたいだ。
どうやら店の中は生活用品、表は装飾品となっているようだ。
鉱石だけかと思いきや、店の窓はステンドグラスのようになっており、ガラス工芸も盛んなようだ。
お店の看板はどれも特徴的で、細かい細工がされていたり、ステンドグラスが使われていたりと見ているだけで面白い。
そして町の門もルーリとは異なる。
ルーリでは町は木の柵で囲われており、門も木製だった。
だがグリーベルでは町は鉄のしっかりした柵と外敵への防衛としてバリケードが張り巡らされ、魔獣が突進してきても返り討ちに出来るようになっている。
門も鉄で出来ており、しっかりとしている。
これなら多少の襲撃に耐えることもできるだろう。
そして衛兵達もフルアーマーの鎧を身にまとっており、ちょっとした暴漢相手なら大した怪我をすることなく鎮圧できそうだ。
そうして町の前でミノルが圧倒されていると門番が声を掛けてきた。
「おい、そこの者。 旅の者か?」
ミノルはそう言われて我にかえり質問に答えた。
「はい、ルーリの町から来ました。」
ミノルの回答に門番はそうかと答えた。
「森を抜けるのは大変だっただろう。 お前は・・・人間だな。 その後ろの女は・・・」
「人族です、私たちは旅の途中で出会った仲間です。」
いぶかし気に覗き込む門番にトライアがにっこりと微笑む。
大してクローシェは少し緊張した面持ちだ。
ひとしきり見たあと無害であると判断したのか、門番は納得したようだった。
「そうか。 では滞在証はこれが、肌身離さず持っておけ。 ようこそ、グリーベルへ!」
ミノルは心の中で安堵の息を漏らす。
「ありがとうございます。 それでは失礼します。」
ミノル一行は門番に一礼するとグリーベルへ足を踏み入れた。
道は石が敷き詰められておりとても歩きやすかった。
左右を見渡すとネックレスやリング、ピアスにブローチと色々な装飾品が並んでいる。
そしてそれらと一緒にランタンのようなものがおいてあり、ステンドグラスの鮮やかな色がろうそくの炎に揺られて煌めいている。
あれは実用品というより装飾品としてのランタンかな?
ミノルは様々な露店を確認しつつ町の中央へ歩みを進める。
門番から貰った町の地図には町全体が載っており、ルーリと同じく東西南北で区画が分かれているようだ。
グリーベルでは宿泊区画が西、南がギルド、東が鍛冶区で北が町民区となっているらしい。
目指すは西の宿泊区だ。
カンカンと金属の音が響く町を歩きながら今夜の夕飯に想いを馳せミノル一行は宿屋を目指すのだった。
ちょっと時間が出来たので書き進められました。
もっと書きたいので時間を見て書いてみたいと思います!




