レベルアップと新しいスキル
魔獣達の討伐を終え宿屋に帰還したミノル達。
今回の魔獣の群れの討伐でミノルは更にレベルアップをしていた。
そして大きくレベルアップしたミノルは新たなスキルを手に入れて・・・
果たしてミノルはどのようなスキルを手に入れるのか?
魔獣退治を終えたミノル達は町へと戻ってきた。
町の前では冒険者達が討伐の準備を終えて出発するところだった。
「おい、お前たち! こんな時に何やってんだ!! 外は危ない! 早く町の中に避難しなさい!」
リーダー格の冒険者は大声をあげた。
「ありがとうございます。 そうします。」
ミノルはそうお礼を言って冒険者の脇を通り町へ入ろうとした時、別の冒険者が声を掛けてきた。
「なあ、お前たち。 さっき町の外で凄い閃光と爆発音が聞こえたんだが、何か知らないか。」
ミノルはその冒険者に顔を向ける。
見るとその冒険者の目はどこか何かを分かっているような目をしていた。
だがミノルは・・・
「いえ、私たちも何事か分からず急ぎ町へ戻ってきたところなんです。 申し訳ありません。」
ミノルがそう告げるとしばらく沈黙が続き、男は静かに目をつむり小さな声で、しかしミノル達には聞こえるようハッキリと「ありがとう」と呟いた。
男はそれ以上何も言わず他の冒険者と共に町の外へ向かっていった。
「ふむ、勘の良い者もおるのじゃのう。 あやつ、きっとワシらが討伐したことに気づいておったぞ。」
「そうみたいだね。 でも黙っていてくれそうだから大丈夫だろう。」
「ええ、真摯な方ですね。」
街へ戻るミノル達とは逆に街の外へ出かけていく冒険者達。
彼らが魔獣たちが全滅しそこらかしこに倒れているのを見つけたのはそれから20分あまり後の事だった。
その後、宿に戻ってきたミノル達は外套を外し、装備を外していた。
そして身軽になったミノルは椅子に座り無事に帰還できた事を喜んでいた。
クローシェは装備を外すと直ぐにお湯を沸かし、温かいお茶を出してくれた。
そのお茶を啜り、ほっこりするミノル。
そんなミノルを嬉しそうに見るクローシェ。
そんな穏やかな安らぎ時間を過ごしていた時、突然イナがミノルに話しかけた。
「そういえばミノルよ。 お主、またレベルアップしたぞい。」
「レベルアップ?」
「うむ、今はレベル7といったところじゃな。」
レベル7。
一気に上がったレベルに驚くミノルとは対照的に嬉しそうなクローシェ。
「まあ!流石はミノル様ですわね! 一度にそんなにレベルアップされるなんて凄いですわ。」
我が事のように喜ぶクローシェ、そして自慢げに「うんうん」と頷くイナ。
「そうじゃろう、そうじゃyろう! こやつにはワシの加護がついておるからの。 成長も早いのだ!」
・・・そんな加護があるなら早めに言ってくれ。
ミノルは少し溜息を漏らした。
そんなミノルの心境を知ってか知らずか、イナは飛び切り嬉しそうに説明を始めた。
「今回、レベル7になった事でスキルを新しく2つ手に入れたぞ!」
「ん?・・・2つも?!」
「そうじゃ、まず一つ目は”神の祝福”じゃな。 癒しと浄化のスキルじゃ。」
「おお・・・回復系って感じか。」
「そんなところじゃ。 このスキルなら致命傷で無い限り傷を完治できる上に、毒や呪いに汚染されたものも浄化して元に戻せるのじゃ。」
・・・俺的には最初の回復スキルだから小さな傷を癒せる程度かと思ったが強力な回復スキルみたいだ。
「致命傷出ない限りって事は・・・致命傷は癒せないのか?」
「うむ。 即死や多くの内臓の欠損等、大きな傷には効果が無いのう。 腕が無くなったとか足が無くなったとかなら大丈夫じゃ! 安心せい!」
いや、そんな大ケガはまっぴらゴメンだが・・・どうやら手遅れになるような状態からは回復できないらしい。
いずれにしてもそんな大ケガは嫌なので注意していこう。
「1つ目のスキルの事は分かった。 2つ目は何だ?」
2つ目のスキルが気になるミノルはイナに質問をする。
するとイナは自慢げな声と共にスキル名を告げた。
「2つ目のスキルは・・・・・・」
イナの沈黙にミノルだけでなくクローシェも息を飲む。
「・・・・・・・・・2つ目のスキルは・・・なんと、”精霊召喚”じゃ!!」
「精霊召喚!?」
イナの宣言と共にクローシェが驚きの声を上げる。
「・・・精霊召喚? なに、そんなに凄いの?」
正直、ミノルにはイナとクローシェの態度が理解出来なかった。
もちろん、精霊召喚という言葉の意味が分からないでもない。
おそらく、ゲーム等で出てくる精霊を呼出して戦わせるような事ができるのだろう。
でも、それがそんなに凄い事なのかミノルには分からない。
むしろ1つ目のスキルの方がよっぽど凄く感じた。
「むむむ! お主、このスキルの凄さが分かっていないようじゃの。」
「まあ! そうなんですか、ミノル様」
不満げな声のイナに不思議そうなクローシェ。
そこでミノルは素直に頷いた。
「うん・・・正直、1つ目のスキルの方が凄く感じるのだが・・・・・・・違うのか?」
その返答にイナは「はあぁぁぁ・・・」と深い溜息を漏らす。
そして少々怒りながら精霊召喚について説明してくれた。
まず、精霊召喚とはミノルが想像していた通り、精霊を呼出し、使役するスキルの事のようだ。
ただ、ミノルが思っていた精霊が少し違っていた。
主に精霊は2つに分かれている。
まず一つ目は天使より少し劣るが大きな力を持つ通常精霊。
そもそも精霊は魂の次元が違うので人間に呼び出す事は不可能で、更に世界の加護があって初めて呼びかけが許される存在との事だ。
そしてもう一つが”大精霊”。
こちらは大天使にも迫る力をもっているらしく、格の低い神であるならその力を超えるとまで言われているらしい。
ただ、今回得たスキルでは大精霊は召喚できないとの事。
いずれにしても、ミノルがイメージしていた召喚陣等でMP消費して呼び出せるレベルの者では無いらしい。
また、”精霊召喚”というスキルそのものが特異なものらしい。
基本的には精霊を呼び出す事ができるのは”天使以上の力を持つ者だけ”との事で、その際は「〇〇〇〇召喚」というように、契約している精霊を召喚できるスキルとの事だ。
つまり、ミノルのように”契約に関わらず精霊を呼び出すことが出来る”というスキルそのものが特異という事らしい。
さらに、契約をした精霊はミノルの加護(厳密にはイナの加護)を受けて更に力を増すとの事だ。
「分かりやすく例えるなら・・・、精霊1体居れば、国の1つや2つ、跡形もなく消し去る事ができるぞ。」
「怖すぎる例え、どうもありがとう・・・」
精霊怖い。
「ですが精霊にも様々な者がいらっしゃると聞きます。 きっとミノル様の力になってくれますわ。」
クローシェがイナの話にビビッてしまったミノルを優しく励ます。
・・・でも、そうだよな。
力は使い方でその価値が決まる。
悪いことに遣えば最悪の結果を生むが、慎重に使えばきっとこの先頼れる味方になってくれるはずだ。
「うん、そうだね! クローシェちゃん、ありがとう!」
「うふふ、いいえ。 ミノル様が元気になって下さって良かったですわ。」
少し明るい顔になったミノルに安心したのか、クローシェが優しい笑顔を浮かべる。
その穏やかな空気の中・・・
「よし! ミノルよ、早速精霊を1体召喚してみようではないか!」
イナの突拍子もない声が響いたのだった。
やっと投稿・・・というか、少し書き進められました。
仕事の合間なのでペースは遅いかと思いますが、書き続けていきたいと思いますので、是非お暇な方はお付き合いいただけると幸いです。