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『七行詩集』

七行詩 751.~760.

作者: s.h.n


『七行詩』


751.


水溜まりのように 吹く風に波立つものでなく


照らされ 枯れ乾くものでなく


鏡となり 揺るがず誰かを映すため


どんな喜びや悲しみにも


堪えられる器を 持ちましょう


そして 美しく 不滅の輝きを持つ人が


私のもとを 訪れるまで 待ちましょう



752.


籠から放した小鳥はもう


戻ることはないかもしれない


けれど 縄を放した飼い犬が


主人のもとへと戻るように


離れても 私は必ず帰るでしょう


放られた夢に 駆け出したとしても


どうしようもなく 貴方を目指してしまうので



753.


完成までの 道のりは長く 果てしない


私達は今 描かれている最中の


一枚一枚の 絵画である


やがて 値打ちがつく頃には


集まる人々に見守られ


最も美しい 花を咲かせるでしょう


そのために 今は土壌を 肥やすのです



754.


いつかは 恐れるばかりだった


何が最後の言葉になるかわからないから


けれど今 笑って別れられた日は


いつが最後に なったとしても大丈夫


受け取ったバトンを 握りしめ


走り続けている限り


その日はまだ 光り続けているのだから



755.


贈り物は 形の残らない物がいい


私の存在と同じように


後は追えない方がいい


紅茶に溶かした 砂糖のように


ひとときの甘さを 整えたら


ひと息着いた 貴方はすぐに 立ち上がる


貴方がまた 鮮やかな日々に 戻れるまでの一杯を



756.


今日の街を 埋め尽くすほどの人々と


もう二度と すれ違うこともないのに


この街は いつ来ても同じ姿を見せる


もう二度と 見失うこともないのに


私は時々 怖くなる


もう貴方と すれ違うこともなくなることが


貴方が望んだこの街が どうしても好きになれなくて



757.


私は私の教会で


未熟な歌声を 響かせている


純粋に 溶けきらぬ汚れを 取り除き


純粋な 心が残るのを 待ちながら


祈り続け 洗い続け


悔い続け 鍛え続ける


私の望む姿となり 町に伝える鐘の音のように



758.


貴方は私と居ると


他の魅力的な人に出会えない


私は貴方から離れても


いつまでも祈り続けるから


最適な場所に 私は腰を下ろした


せめて貴方を 想うひとときは


私も美しくありたいのです



759.


私は私を 誰かに渡すことはない


少しずつ自分を切り分けて


人に誠意を見せましょう


川に架かる 橋が人を渡すように


求める場所へと 辿り着かせましょう


私は誰かの終着点ではなく


道を尋ねる 誰かのための 案内人



760.


秋の盛りに この景色の一部となりたい


静かに しかし鮮やかに 眺める人々を憩わせる


私が老いれば あの少年は大人になる


私には出会えなかった


若さの煌めきや 試練が


その宝石を磨き上げるなら


彼の行く道を どこまでも見届けたいから



 

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