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第9話:思わず


バッ!とすばやく顔を上げた青年はさっきまでのシュンとした表情から一変、よほど嬉しかったのかふるふると身体を震わせて喜びを噛みしめると、抑えきれなくなったのかそのまま押し倒すように抱き着いてきた。




「ぐぇッッ!」 力強ちからつよッ!


「よかった…ほのか、おれのコト分かるんだな」




言ってぐりぐりと私の胸元に頭を押し付けてくる。




ちょおォォッ急にッッ!!やめ、やめてくれッ!!

あんた今 はだッ 裸だから!いろいろあれだから!!




ボンッと顔が一気に熱くなる。そして緊張と困惑と息苦しさと恥ずかしさ等、その他色んな感情がごちゃ混ぜになって脈拍がえらいことになる。




「あッ あの!ほんとッ はな…、離しッ」




どうにか腕の中から逃れようともがくけれど、いかんせん力がすごい。一向に腕の力が弱められる様子はなくて




「待ッ ちょ、分かった!分かったから一旦落ち着いてッッ」




堪らずパシパシと背中を叩いて抵抗すると

やっと気づいたのか、また「…っわりぃ」と言って



抱き締める力を緩めてくれた。







次話の『あのとき』からはムーン視点のお話になります。今回の話の続きから読みたいという方は、第15話の『思案』からお読み下さい。


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