第17話:瞼の光
暫くそうしていると、ムーンはおずおずと口を開いて
「…………ほん、とうか? おれの、傍に…いてくれるのか…?」と
私の服をきゅうと掴んで顔を上げると、遠慮気味にそう聞いてきた。
「ぅ、うん!そうだよ」
───よかった。返事してくれた…。
「ほんとうに…ほんとうか…?おれのコト、嫌わねぇ?」
「ほ、本当だよ。それに嫌ったりなんかしないよ」
ちょっぴり、疑うように。
けれど縋るように、私に問うその声は
「ずっと、 ずっと一緒か?」
「うん。ずっと一緒」
「……捨てねぇでいて くれんのか」
やっぱり少し、震えていて。
けれど求めているようで。
「捨てたりなんかしないよ。だからさ、その…。ムーンさえ良ければ、一緒に──…暮らそっか」
「………っ」
安心させるように。少しでもムーンの寂しさや不安をなくしてあげたくて。頭を撫でて微笑みながら言った台詞は、私にとっては照れくさいものだったけれど
見つめる眼差しに
目一杯の、優しさを込めて──。
「……あ!でも、見ての通り部屋はそんなに広くないし、私お金持ちでもないからさ。ムーンがも」
「ここがいいっ!」
かぶせるようにして。ムーンは私が言い終わるよりも先にそう言ってきた。そして
「ここが、いいんだ。おれはお前に。穂果に……逢いにきたんだ…!だから、」
必死な声で。真っ直ぐに私を見つめるムーンは、どことなく、焦っているように感じて。
しかしムーンの本当の内に秘めた思いを今はまだ知らない私は、のんきに『……やっぱり、苦労してきたんだなぁ』なんて。衣食住に対するものだと勘違いをしていた。
「……大丈夫だよ ムーン。捨てたりしない。置いてったりしない。ちゃんと、傍にいるよ。」
もう一度、落ち着かせるように。
大丈夫だよって、優しい声音で頭を撫でてやると
「──…そう、か……嬉しい。嬉しい。ありがとう、ほのか。ありがとう。…大好きだ」
身体の力が抜けて、今度こそ落ち着いたのか。
ムーンは目に涙を浮かべると、安堵のこもった声で。心底安心したように深いため息を漏らすと、今度は優しく、ぎゅうっと私を抱き締めてきた。
それに応えるようにして、私もムーンを抱き締める。
「ふふっ ありがとう。私もよ」
「!!」
その言葉を聞いて、ちょっぴり照れたようにはにかむムーンの笑顔は
なんだか幼い子供のようで。とても可愛らしかった。




