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門兵の詰め所で身体を休める。
あの後なんとか西門を守り切り、イクスとパウは疲労から壁に背を向け床に座りこんでいた。今にも寝てしまいそうだ。
「門兵ギルドから通達がきた、今日はお前ら2人もココで休んで行けるように調整できたぞ。」
「...ああ、さすがに疲れた」
「地下階にベッドがあるからそこまで頑張れ、馬は役場に任せてある」
なんとか立ち上げるパウはゆっくりと地下へと向かい、跡を追うイクス、2人はそれぞれベッドに倒れるように寝込み、朝まで起きなかった。
昼ごろ、
2人は酒場に居た。
お客から話し声が聞こえた。
西の森を帝国が焼き払い、魔物の一掃が行われたそうだ。
その影響で逃げてきたデカブツが辺境まで来たらしい、
帝国はかなり遠く、ここから600キロ以上離れた領域に西の森があり、さらに300キロ離れている。世界征服を企む国だ。資源確保の為に領地を拡大、計画は不明であるが辺境も征服されかねない。
だか帝国には剣聖はおらず、剣聖のいる辺境は抑止力となっていた。
「あんたたち、ありがとうよ。街を守ってくれたんだっ
て?バアンに聞いたよ。」
「アリー、無事で何よりだな。」
「こいつは店からだよ」アリーは小さな黄色いカケラをのせた皿を机に置いた。
「チーズか?、こいつはありがたい」
2人の好物でたまにしか出ない品物だった。
アリーは数年ほど前に結婚した肝の座った女性だ。
イクスが小さいとき、街に来て初めて話した女性だ。
旦那さんが酒場の店主だ。
「まあ、遠慮すんなよ」店主は店の奥からチラリと顔を出し一言言って、ひっこんだ。
2人は束の間の昼食を楽しんだのだった。