3
「フッ」
シュッと風切り音が鳴り、彼は構え直す。
息を吐きながらまっすぐ振り、定位置で剣先を止める。
隣でも同じ動作をする神父がいた。
「フッ」
彼より大きい身体から放つ剣風は、やはり幾分強いようだ。
ひたすら
同じ動作で二人は並んでおり、彼はトレースするように心がけた、最初は当然重たい棒を振りあげるなど出来ず、同じ動きにはならずにいたが数日、数カ月、1年と経つたびに近づいていった。
ニンジンとタマネギを育てながら、休みは祭壇行事を行い、近所の知り合いは1キロメートル近く離れていた。同じ年齢の知り合いは知らない。都心は馬車で1日かかる
。馬は積荷もあるから、のんびりしか進まないのも時間がかかる要因だろう。
興味なんてものは、育ててくれたこの人の行動ぐらいだろう。
その少ない近所の人の話や神父の話から捨て子の自覚を持ち、良い子であるようにと、どこかで意識していた。
遊びといえば、たま蹴り、たま投げ、ボードゲームもある。
日課の素振りは「やるか?」と渡された適度な握り具合の棒だった。渡した神父は上半身が汗で汚れないように裸だ。
何より大人の真似事でカッコ良さから、ウズウズしながら剣ではないことに不満を抱きながら、今も続けている。