どうすれば量産できるのか?
菜々美は馴れ馴れしそうに話を続ける。
「ぶっちゃけ、皆思うでしょ? 悪徳政治家やブラック企業の経営者、不良や暴力団。こんな奴ら消えてくれた方がイイって」
対し、洋太は自分も同じ考えを持つ故、
「まぁね。あんなゴミ共、削除するべきだよ」
「俺様も同感。……と言いたいが、今は攻め時じゃねぇんだ」
「どーして?」
端末機をかざし、秀我は渋い顔で詳細を告げる。
「こいつは確かに世の中を大きく変える可能性のあるトンデモねぇ代物だ。だが、あいにくまだこれ一つしか存在しねぇ。革命を起こすにはこいつを量産して、託せるような人間がかなりの数必要になる」
そして、秀我は結論を述べる。
「つまり、今は足りねぇモンばっかってこった。たとえ、お前を味方にしても全然な……」
「そっかぁ……」
しょぼん。菜々美は弱った子犬のように悄然となった。
「んじゃあ、さっさと量産しようよ!」
「出来るならとっくにやってらぁ。コイツは俺様だけで作ったワケじゃねぇ。偶然拾った中枢ユニットを組み込んで出来た代物なんだ。つまり、中枢ユニットがもっと必要なんだよ」
「それ、自力で作るのは無理?」
「それもまだ調べている途中だ」
「じゃあ、拾った場所って何処? ウチが探しに行って見ようっか?」
「そう都合よくまた見つかれば苦労しねぇよ。……って言いたいところだが、可能性はゼロじゃねぇ」
秀我のその発言に洋太は意外に思った。
「無駄骨になる覚悟があるなら、場所を教えてやる。お前と洋太で行って来い」
「秀我くん……」
菜々美は元気よく横向きピースを意気揚々とやる。
「オッケー! まかせてんちょーよぉ!」
菜々美がはしゃぐ中、秀我はこっそり洋太に耳打ち。
「(小声で)奴が不審な動きをしないか、しっかり見ておけよ」
「(小声で頷く)あぁ。これを機に彼女を見定めようってことだね。任せてくれ」
画して、謎の中枢ユニット探しへ出向くこととなった。