第2話「チ●ナイさん」
〇画面
タブレットペンでチンコだけを描き足す。(下手な絵で)
秀我「しょうがねぇ。竿だけつけてやろう。ただし、ヤリサー男。テメェのは極小だ」
洋太「(笑い吹く)プッ」
〇ゼミ内
洋太、難色を示す。
洋太「でもいいのかなぁ。小さくてもチンコはチンコ。また被害者が出るんじゃあ」
秀我、不敵に掌を突き出し制止。
秀我「大丈夫だ。タマは付けてねぇ」
洋太「(ハッとなり、)そうか! 睾丸がなければ精液は作れない」
〇金の玉2つ輝く
洋太(声)「でも、後で睾丸を取り付けられたら……。ヤリサーの奴らって金持ち生まれが多いって聞くし」
秀我(声)「なーに。キンタマドナーなんて早々ありゃあしねぇよ。それ以前に、カッコつけのチャラ男共がタマなくなった事を他人に明かせると思うか?」
〇ゼミ内
考え込んでいる洋太。
洋太「確かに、屈辱過ぎて中々誰にも言えないかもしれないね」
秀我「(ニカッと)そーいうこった。残りの奴らのタマも消して行こうぜ」
秀我「(ネクストワールドを洋太に渡し)お前もやるか? やり方教えてやるぜ」
洋太「(悪そうにかつ、嬉しそうに受け取る)それは面白い話だねぇ。是非!」
〇画面
キャラクター選択画面みたいにヤリサーの男がずらりと並ぶ画面内。
秀我(声)「どいつにする?」
洋太の指、色黒マッチョ男を指し示す。
洋太(声)「こいつでいいや。バカマッチョっぽくて見るだけで不快な奴だ」
色黒マッチョ男の不快なほど暑苦しい笑顔と白い歯。
秀我(声)「こいつ、3年近く留年しているとか噂があったような」
洋太(声)「顔もアラサー以上に老けているし。大学辞めてさっさと社会に出ろよ」
〇ゼミ内
椅子に座っている洋太、タブレットペンを持ち。
洋太「(息をのみ)ようし……」
〇画面
色黒マッチョ男の股間がペン先で消されていく。
洋太(声)「いやぁしかし、恐ろしいお絵かきソフトだなぁ」
〇ゼミ内
洋太、改めて色黒マッチョ男の顔を見やる。
色黒マッチョ男の顔は憎たらしい程勝ち誇った顔をしている。
洋太、しばし無表情。
洋太「……。ヤリサーを野放しにすれば被害者を出してしまう。それに体育会系優遇の社会自体、どうかと思う」
洋太「(一思いにペンを動かし、)恨みはないけど……。お前のような奴がのうのうと日の光を浴びて生きて貰っちゃ迷惑する人が沢山いるんだ」
もはや乳首やイボ程度のボリュームしかないペニスを色黒マッチョ男は描き足された。
秀我「(意地悪そうな笑顔で)こいつのボイスサンプル、聞いてみようぜ」
洋太「いいよ。いょっと!」
〇画面内
ペン先がボイスサンプル項目をタップ。
色黒マッチョ男「(自信満々に)んはっ! 俺のキンタマは真珠。どんな女も恍惚にさせるぜっ!」
〇ゼミ内
着席し、画面を見て唖然としている2人だが、
洋太「(笑い悶える)ししし……。真珠だってさ! その真珠、もうありませんから!」
秀我「(画面を指差し爆笑)カハハ! タマなしがほざく言葉でこれほど傑作はねぇな!」
1時間後。夕方になる。
2人は息を切らし、疲れ切って、テーブルに上半身を預けている。
洋太「(疲弊)つ、疲れた……。笑い過ぎて」
秀我「(ぐったりしながら苦笑)笑ってしまって作画失敗したこともあった。だから、思いの外時間掛かっちまったぜ……」
洋太「君が四角いチンコとか、変なのを描くからじゃないか」
秀我「(笑いながら)洋太だって、鉛筆みたいなチンコ描いたじゃねーか」
この時、女の怒号が衝撃音の如く響く。
ヤリサー女1(声)「なにこれ? ふざけてんの!?」
この声にビクッと驚く秀我と洋太。
秀我「な、なんだぁ?」