第4話 どうやら主人公がお目覚めのようです
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夜空を照らす青い月が沈み、青空を照らす朝陽が昇り始めた頃、ジーク達はポルガ村へと向かうため起き始めていた。
「ジーク様、セレナ様おはようございます」
どうやらミリアは一足先に起きてジーク達が起きるのを待っていたようだ。
「あぁ、ミリアかおはよう」
「おはようミリア」
「朝食の御用意が出来ております」
今日の朝食は少し硬い黒パンにオークの肉が入ったシチューである。
「さっさと食べてポルガ村へと向かうか」
「はい、朝中にここを出発すれは今日の昼前には着けるかと」
「そう、早くアイナとレイをゆっくり休ませてあげたいわ」
朝の会話を混ぜながら朝食を取るジーク達。
そこへ起きた護衛達が近づいてきた。
「お、今日はシチューかー」
「おはようございます」
「おはようっす」
1人、また1人とジーク達に挨拶をしていく……1人違うのがいるが気にしない。
「お、起きたのかおはよう」
「おはようございます」
「おはようございます、皆さん」
ジーク達もまた、護衛達へと挨拶をする。
「皆さん、朝食の用意が出来ていますのでどうぞ座ってお待ちください」
「よっしゃ、朝飯~♪朝飯~♪」
「わかりました」
「シチューか、久しぶりだな」
ミリアは護衛達の分の朝食を皿へと盛り、黒パンを添えて全員に渡す。
護衛達はシチューのスープを吸いながら、入っているオークの肉を手で掴んで食べ、黒パンを一口サイズにちぎり漬けて食べている。
「おー!!うんめぇなー!」
「やはりミリアさんの料理は最高ですね」
「シチューはやっぱオークの肉にかぎるな!」
「皆さんのお口にあって何よりです」
たわいもない会話で盛り上がりながら朝食をとったジーク達。
皆食べ終わった後、ミリアとメイド2人は食事の片付けとテント等の荷物を馬車へと詰め込んだ。
護衛達も自分達の荷物をマジックポーチにしまい、ジーク達がいる場所へと集まった。
「皆集まったな、では出発しようかポルガ村へ」
「「「おー!」」」
ジークの掛け声にミリアとセレナは応えない、護衛達は応えるがそれはやる気を出すためなのか、はたまたノリでやっているのかはわからない。
ミリアにジークとセレナ、アイナにレイを乗せた馬車はポルガ村へと進んでいた。
護衛達はいつでも戦闘ができるよう武装していて、馬車の周りを囲んでいる。
それから暫く経ち、ジーク達は順調に進んでいた。そして、木々の立ちこむ森林を抜け外に出るとそこには大きな崖があり、先に渡れるよう木製の橋がかけてある。崖の下は流れが速い川が大きな音を立てており、一度落ちると二度と地上には戻れないだろう。
「ここが"奈落の橋″がある場所か」
「はい、この橋を渡るとポルガ村へはすぐです」
ミリアの言葉に皆は顔を合わせて頷くと橋を渡るために馬車を動かす。
しかし、突然ジークの魔力感知のスキルが発動し、ジークへ危険信号を送る。
ジークはすぐに武器を構えようとする、だがジークが武器を出すよりも早く"それ″は現れた。
"それ"を見たジーク達は呆然とし、武器を構えることさえ忘れている。
「お、お前は……」
ジークは思わず"それ″に問う。
その質問に"それ"は答える。
「・・・・・・俺か?俺は魔族だ見ればわかるだろ、人族はやはり低脳だな」
ジーク達は魔族と聞いて冷や汗が出る。そこにいるのは身体が3メートル以上はあり、爪が長い、なにより角が2本生えているのが彼が魔族だと言う証拠だ。
護衛達やミリア、メイド2人にセレナは呆然から立ち直り、それぞれ戦闘の構えをする。ジークも愛用の聖剣を両手で持ち魔族に向き合う。
「ほう?俺とやり合うか、どうやら力の差ってものを知らないようだな」
「お前こそ、覚悟は出来ているのか?」
魔族は答えないがジークはあくまで強気に言い放つ、だが心の中でジークは焦っていた。その理由は魔族の放つ"気″もそうなのだが、一番の理由はセレナが何も言ってこないからだ。
セレナには鑑定眼Lv.8があるので、魔族のステータスが見えるはずなのだが。
「おい、セレナ、魔族のステータスはどうなんだ?」
「・・・・・・見えないわ」
「……嘘だろ?……」
「……本当よ、さっきから鑑定眼でステータスを見ようとしてるんだけど全く分からないのよ」
「まさかあの魔族、セレナの鑑定眼よりLv.の上の隠蔽をもっているのか!?」
「おそらくね、それか単純に私のLv.と魔族のLv.がかけ離れているのか……」
それを聞いてジークは確信する、セレナの鑑定眼が効かないほど強いのなら今いる魔族はおそらく上級魔族だと。
「……やはり上級魔族か」
「そうね、そうとしか考えられないわ」
会話を終えるとジークは武器を構え再び魔族へと向き合う。セレナはアイナを背中に背負い、レイを抱き抱えているため、杖は持たず支援の方へと回るようだ。
「なにをコソコソと話していたのかは知らないがそろそろ死んでもらおうか」
魔族はそう言い放つと戦闘の構えを取る。
先に仕掛けたのは護衛達だ、1人目のノリの良い男は片手に銀の剣を持ち、もう片方には銅の盾を持って魔族へと向かっていく。
「魔族だかなんだか知らないがくたばれー!」
男は魔族へ全力で走っていき素早い剣技で剣を振り下ろす。
そしてその剣は魔族へと…………届かなかった。
何故なら男の剣は振り下ろすこと無く地面へと落ちていたのだから。
そして男を見ると、男の首が無く血が一気に噴き出していた。
「……つまらんな」
魔族はたったその一言を呟いた後、呆然と経つ男を蹴り上げ、崖へと突き落とした。
それを見た男の仲間達は一瞬何が起こったかわからず身体が止まっていたが、我にかえると怒り任せに仲間の仇と言わんばかりに魔族へと突っ込んでいった。
「っ!待て!突っ込んではいかん!」
ジークが懸命に声を上げるが護衛達は怒りで我を忘れており、ジークの声は彼らの耳には届かない。
「仲間の仇だー!」
「よくも私達の仲間を……許しません!」
1人は両手剣を振りかざし、1人は魔法を魔族へと放つ。
「くらえ!"二重切り″!」
「"ウォレストアロー″!」
二重切りは、相手にダメージを与えた場合、一気に剣の攻撃2回分のダメージが相手に降りかかると言う技だ。
シンプルかつ簡単だと思う人もいると思うが、この世界では非常に難しく取得しずらい戦闘系スキルだ。
ウォレストアローは風属性魔法の一種で、意図的に小さな竜巻の様な風を発生させ、矢の形に変化させ、ぐるぐると目まぐるしく動く風の矢を相手へと放つ魔法だ。ちなみに階級は中級に分類されるが威力によっては上級になることも確認されている。
そして二つの技が魔族へと降りかかる。
「ほう、人族にしてはなかなかの攻撃だな。だが……」
カキーン!!
「「!?」」
「俺には通用しない」
2人が驚くのも無理はない、何故なら魔族の男は両手剣の攻撃を片手で受け止め、もう片方の手で風の矢を振り払ったのだから。
そして……
「お前達に用はない、死ね」
魔族は護衛達2人を人の目で認識出来ないほどのスピードを出して捕まえ、崖の下へと投げ落とした。
「お前……」
「これで邪魔者は居なくなったな……」
魔族はジーク達の方へと身体を向ける。
「それじゃあ始めようか、楽しい楽しい殺戮を!」
そして殺し合いが始まった。
最初に仕掛けたのはジークだ、ジークは光の様なスピードを出し魔族へと向かっていく。そのジークにセレナは無詠唱で支援魔法をかける。
攻撃力upと防御力upの支援魔法を受けたジークは魔族へと近づき聖剣を振り下ろす。
それを魔族は護衛の1人が持っていた両手剣を拾い上げ、その剣に何か知ら魔法を唱えるとそのまま聖剣を受け止めた。
「はぁ!!」
「ふん!」
カキーン!!
「くっ!」
「流石に強いな、"閃光のジーク″と呼ばれていることだけはある」
「お前、剣に魔法を付与したのか」
「あぁ、この剣で聖剣を受け止めるには強度が足りなかったんでな」
ジークは攻撃を止められたので一旦後ろへと下がる。
今回は戦闘が長引くとこちらが圧倒的に不利になると分かったジークは次の攻撃に全てを注ぎ込むため剣に自分の力を集中させる。
「ん?どうした閃光、かかってこないのか?」
魔族の問にジークは答えない。
そして、ジークは剣に力が溜まったのを感じると再び魔族へと向き合う。
「魔族よ、これがお前の最後だ!」
「は?最後?お前は何を言って……」
「くらえ!"ホーリーナイト″!!」
ジークは魔族が言い切る前に聖剣を振り下ろす。振り下ろした聖剣からは光の波動が放たれ魔族を飲み込む。
このホーリーナイトは聖剣専用の奥義の一つで、MPの消費量によって光の波動を相手へと撃ち込む技だ。普通、ジークが聖剣の奥義を使った場合、周りの地形が無事で済むはずはないのだが、幸いジークは攻撃指定のスキルを持っていたので周りに被害を与えず魔族だけにダメージを与えることが出来る。
そして魔族を飲み込んだ光はだんだんと晴れて生き、消えた。
そこに魔族の姿はなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、や、やったのか、これでやっと……」
力を使い切ったジークは聖剣を落とし、地面へと倒れ込もうとする。
この場にいる者、全員が勝利を確信した次の瞬間……!
グサっ!
「「「え?」」」
ジークの心臓のある部分の胸には剣が既に深く刺さっていた。
ジーク達はこの状況にただただ呆然とするだけで、信じられないような目でセレナやミリア、メイド2人はジークを見つめている。
それから数秒間沈黙が続く。
そしてその場を砕いたのはジークに殺されたはずの魔族だった。
「……いやー危なく殺されるとこだったぜ、もっと手加減ってものをしろよ、なぁ?閃光?フハハハハ」
ジーク達は呆然から立ち直り、信じられないような目で魔族を見ている。
「・・な・・ん・・で・・お・・ま・・え・・が・・?」
ジークは身体に走る激痛を耐えながら魔族へと問う。
「なんで無事かって?そりゃあ避けたに決まってるだろう、どうやって避けたまでは秘密だがな」
「・・ば・・ばか・・な・・ぐはっ!」
ジークの身体はついに我慢の限界を超えたのか、口から血を大量に地面へと吐いてしまう。
それを見たセレナはジークの状態を改めて再確認し、込み上げてくる悲しみと絶望を抑え込むことが出来ず、ポロポロと涙を綺麗な瞳から頬を伝って倒れ込んでしまう。
「あ、あなた……いや……嫌あぁぁぁぁぁぁ!」
「「「セ、セレナ様!」」」
ミリア達はジークに対する悲しみを抑えながらセレナに近づき励ます。
そしてセレナは可能性があるならと、ジークに対して回復魔法を放つ。
「聖なる光を集いし大天使よ、慈愛に満ちたる地に光を注ぎ、全ての者を癒したまえ、エンジェル・ヒール!」
セレナはジークだけが回復するよう指定し、ジークへ向けて魔法を放つ。するとセレナの手から大量の光の粒がジークへと向かっていきジークの身体全体をを優しく包み込む。
この回復魔法は聖女専用の完全全体回復魔法で、大量にMPを消費するが指定した全ての者に対してどんな重症でも一瞬で治すと言うとんでもない魔法だ。ただ、死体等は一切治せず、蘇生魔法を使わないと生き返らせることも出来ない。
1500年前に蘇生魔法は確認されているが、それ以降見た者はおろか、持っている者さえ確認出来てないのだ。そのため伝説の古代魔法として現在では扱われている。
ジークを包み込んだ光はやがてすぅーと消えていく。それを見ている魔族はニヤリと笑い、回復したはずのジークの状態を見たセレナ達は絶望の表情をしていた。
「う、うそ……そんな……」
「ふふふ、フハハハハ、残念だったな人族の聖女よ、閃光を殺す際、剣に回復魔法無効化を付与していて正解だったな、フハハハハ」
倒れ込むセレナとメイド達にジークは自分の命が後少ししか持たないことを感じるとセレナ達に逃げろと必死に呼びかける。
「・・セ・・レ・・ナ・・ぐはっ・・に・・げ・・ろ」
それが聞こえたセレナ達は首を横に振る。
「だ、だめよ!あなたを見捨てることなんて……」
「「「セ、セレナ様の言う通りです!」」」
そう言うとメイド達はジークを助けるためかけよろうとする。が、しかしそれを阻む魔族がいた。
「おっとそうはさせないぜ、こいつは大事な生け贄だからな、邪魔するって言うんなら容赦はしないぜ?」
魔族の言葉にミリアは足を止めるがメイド2人は言葉が聞こえていないかのように魔族へと突っ込んでいく。
「ま、待ちなさい!シャナ!アイナ!」
ミリアの言葉は聞こえたようだが今更止まることも出来ずメイド2人は魔族へと突っ込む。
それを魔族は強化された銀の剣をメイド2人の首へと向けて振る。
「シャナ……アイナ……」
斬られたメイド2人の首は地面へと落ち、首から大量の血が噴き出している。
「弱いな……さてとそろそろここらでメイドと聖女には消えてもらおうか!」
魔族はそう言い放つとメイドを避け、聖女の方へと掛けていく。
セレナはまだショックからか足が震えて動かないようだ。
そして魔族の剣がセレナへと振り下ろされる!
「聖女よ、お前もすぐに閃光の後を追わせてやるよ!」
絶望の表情をする死寸前のジーク。
そして魔族の剣はセレナへと…………刺さらなかった。
「かはっ!。・・セ、セレ・・ナ・・様・・」
魔族の剣はセレナには刺さらず、セレナの前に出て庇ったミリアが刺されていた。
一瞬何が起こったかセレナとジークは呆然としていたがすぐに立ち直りセレナはミリアを見上げる。
そこにはジークの様に胸を深く刺されたミリアの姿が映っていた。
「・・ミ、ミリア……?」
「セ、セレ・・ナ・・様・・早く・・お逃げ・・くだ・・さい・・」
「……聖女を庇ったか……愚かな人族のメイドよ」
魔族の問いにミリアは答えない。
「ミ、ミリア……今助けるからね……」
セレナはミリアを助けるため回復魔法を唱えようとする。
「だ・・だめ・・です・・回復・・魔法は・・私・・には・・きき・・ません・・」
「で、でも!」
セレナは今の状況を認めたくないのだろう、それ故焦って回復魔法が効かないことを忘れていたようだ。
そしてミリアは最後の力を振り絞って念話のスキルを発動させ、ジークとセレナに最後の涙の別れを告げる。
(セレナ様、行く先もない私をスラムから救い出していただきありがとうございました。ジーク様、世間の事をあまり知らなかった私に色々と優しく教えて下さりありがとうございました。私は御二方に使える事が出来てとても幸せでした。もう会うことはないと思いますが私は天からセレナ様、ジーク様をいつまでも見守っています、さようなら。)
ミリアはそう伝えると、顔を笑顔にしたままゆっくりと地面へと倒れ、静かに息を引き取った。
それを聞いて、ミリアを見たセレナはまたもや大量の涙を流す。
そしてジークも……
(ミリア……。セレナ、俺もそろそろ時間切れだ、お前に伝える時間が後数秒しかないから手短に済ます。セレナ、俺はお前と出逢えて幸せだった、アイナとレイは任せた、そしてセレナ俺はお前をいつまでも愛している……。)
ジークはセレナへ言い終わると、"転写″のスキルを使いレイへと自分の力と所持品を全て移行した。
スキル、"転写″とは、自分の力と所持品を指定した相手に分け与えると言う、この世界で極わずかの人しか持っていない激レアスキルだ。だが、所持品を相手へ渡す場合相手がマジックポーチかアイテムボックスを持っていないと引き継がれない。
ジークは転写を唱えた後、ミリアと同じく静かに息を引き取った。
息を引き取った瞬間、ジークの身体から小さな光が出、レイへと向かっていき、レイの身体へと飲み込まれた。地面に落ちていた聖剣は光の粒となって消えていく。
それを見た魔族は……
「やっと死んだか……ん?なんだあの光は?」
不思議に思いながらも特に気にすることなく聖女の方へと向きを変える。
ジークが死んだ後セレナは込み上げてくる気持ちを必死に抑え立ち上がった。
「閃光は倒したわけだが、今後お前も危険な存在になるから殺すわ」
何とも軽く言い放つ魔族。
セレナはアイナとレイを護るかのように魔族へ向き合う。
そして、魔族は剣を上横下と振り回しながらセレナへと攻撃する。
セレナは攻撃をギリギリでかわしながら避ける。
「チッ、避けることしか出来ねーのか、だがやっと追い詰めたぜ」
魔族の言葉にセレナは静かに魔族を見る。しかし、魔族の言ったとおり今セレナはピンチの状態だ、セレナは魔族の攻撃を避けながら崖の方へと追いやられているのだ。
あと一歩でも後ろに動けば崖の下へと落ちてしまう。
そしてセレナがアイナとレイだけでもと、転移魔法をしようとした瞬間……!
「あ、」
セレナの足元にある地面が割れ壊れそのままセレナ達は崖の下へと落下する。
それを見た魔族は落ちたセレナを追いかけない、何故なら彼も分かっているからだ、奈落の森の崖がどれだけ危険かを。
「……不におちない結果だが、どのみち聖女は生きていないだろう、それに既に目的は果たした、後は魔王様の所へ閃光の死体を持って帰るだけだ」
魔族はそのままジークの死体を持つと森の奥へと消えていった……。
そして落下したセレナはというと……。
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「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
凄い勢いで落下していた。
そしてもうすぐ川へと落ちるというタイミングでセレナは全力で魔法を唱える。
「バリア!」
セレナが無詠唱で唱えると大きなバリアが出てきた。それをセレナは自分とアイナ、レイを囲むようにイメージする。
そして、バリアで自分達を囲むと、MPを使い切ったセレナは気絶してしまった。
バンっ!
大きな音を立てて川へと落ちたセレナ達はバリアに護られそのまま流れ、霧の中へと消えていった…………。
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ザァーザァー
海の波のような音が聞こえる。
動物の声が聞こえ、風が優しく身体に当たる。
"終わりの島″
この島は名前の通り、一度行ったら帰れないとされる島、また何処にこの島があるのかさえわかっていない。
生息する魔物の強さはSランクからSSS+、いやそれ以上のランクの魔物だってこの島には生息している。
その島の砂浜にセレナとアイナ、レイは倒れていた。
そして目を先に覚ましたのは、主人公、佐川 春人……いや、アルフォート・レイだった。
(ん~……こ、ここは?)
俺は確かトラックに轢かれて目の前が暗くなって……そうか俺は死んだのか。
改めて死を再確認するレイ。
でも死んだならなぜ俺は生きているんだ?目は開くし、手も……あ、あれ?動かせないぞ?なんでだ?
疑問に疑問を重ねるレイ。
これじゃあ今自分がどんな状態かわからないじゃないか……なんか眠くなってきたな、まあ次起きて確認すればいいか……寝よ。
そしてレイは静かに目を閉じた。