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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第四章 神域開放
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67 魔法陣

 魔法陣での試行に行き詰まった為、ディーロ先輩の居る学園の研究室を訪ねた。

 研究室にはディーロ先輩だけが居て、暇な神様は俺の相談に乗ってくれた。


「アカリ君は、魔法陣の技術をどうやって身に付けた?」

「【範囲魔法】っていうスキルで覚えました。スキルレベルが上がったら普通に。最近は書物を読んだりもしてますけど」

「なるほど、特殊ユニークスキルだね。そうすると魔法陣に使われている記号も特殊なものがあると思うから、一度見せてもらってもいいかな?」

「分かりました」


 用意してもらった台の上に、言われたとおり魔法陣を描いていく。

 二つ用意して、空間転移の転移元と転移先にそれぞれ設定した。


 説明しながら、実際に起動させる。


「……これは、他のスキルでも使えるのかな」

「【空間魔法】以外ですか? 自分が持ってるやつなら」

「それも見せてもらえる?」


 今度は【火魔法】を設定した魔法陣を描く。


「――『ランプ』」


 魔法陣から小さな灯火が現れる。

 ディーロ先輩はそれを見て一つ頷くと、少し黙ってから口を開いた。


「魔法陣の中に、【火魔法】に使われる記号があるね。さっきのにも今のにも、幾つか分からない記号があったから、それが【空間魔法】と【範囲魔法】に使われる記号なんだと思う。もう少し法則性を掴みたいから他の魔法陣を描いて、少し時間をくれないかな?」


 教える前に、まずは自分で調べたいということだろう。

 ぜひお願いします。


 幾つかの魔法陣を描いた紙をディーロ先輩に渡し、代わりに幾つかの研究資料を渡された。

 ディーロ先輩が魔法陣を調べている間、それを読んで時間を潰す。


 内容は、魔法陣に使われる記号の意味と、それらの配列についてだった。

 幾つか知ってる記号がある。【火魔法】【水魔法】。


 これらの記号や、それを使った魔法陣は、ただ覚えて描いても発動しない。

 それぞれのスキルレベルを上げて、魔法陣の技能を習得しないといけないからだ。

 例えば【火魔法】だと、ある程度のスキルレベル――レベル5か6くらい。個人差あり――で【火魔法】の記号と基礎の魔法陣を憶え、使えるようになる。


 ……俺、そのレベルまで行ってないのに持ってる属性魔法の魔法陣記号を憶えてるな。

 【範囲魔法】の魔法陣が使えるようになった時点で、持ってるスキル全ての記号が頭に入ってきた。

 たぶん、魔法陣にどのスキルを設定した範囲なのかまで予め指定できるからだと思う。


 ただ魔法陣で範囲を指定するより、何の範囲かまで設定した魔法陣にすると魔力の効率が上がる。その代わりに、それ専用になるから応用力が減る。

 【範囲魔法】の魔法陣に必要だから他のスキルの記号も憶えただけで、他の魔法の魔法陣は描いても発動できないだろうな。まあ、【範囲魔法】の魔法陣でその魔法を発動させればいいんだけど。


 資料を読んで時間が暫く経ってから、机に向かっていたディーロ先輩は、顔を上げてこちらへ向き直した。


「うーん……【範囲魔法】だったね? 確かに強力で、【空間魔法】を上手く補助できているようだけど、転移先の指定無しで神域に行くのはちょっと現実的ではないかな」

「なんとかならないですかね?」

「何か、神域との繋がりがあればそこを辿れると思うんだけど……」


 ユユが俺と念話するとき、ユユは『空間神』だから、俺が【空間魔法】を持ってるのが繋がりになるとか言っていた気がする。あと、加護も。


「そこに住む神様の加護ではどうですか?」

「その神側からであれば、それで十分だろうね。でも反対だと難しいと思う。ちなみにその加護は、どこの神がくれたものかな?」

「『空間神』です」

「それはまた、大物だね……。その、本気? 僕としてはちょっと手を出したくないんだけど」


 おっと、ユユが苦笑するレベルで恐れられている。または、嫌がられている。

 あのちびっ子が。


「本気も本気です」

「そう……まあ、加護を与えられているわけだし、問題ない、か……」

「心配しなくても大丈夫ですよ。……たぶん」


 そう心配されるとこっちまで不安になってくる。

 それに、ユユは俺を転生させたときに、赤子のまま魔物が彷徨う洞窟に放り出したことがある。ユユが何かやらかさないかまでは責任を持てない。



=====



「一番可能性が高いのは、やっぱりこれかな」


 二人でいろいろ話し合って、資料を漁って、ようやく結論が出た。


「『勇者』の召喚陣ですか」

「あれは異界と繋ぐものだからね。魔法陣として安定してるし、それを利用して神域までの道を開くのが可能性が高いと思うよ」


 召喚陣は確か、此処より西にある平原遺跡の遺跡内にあるはずだ。山を越えた先にある西の国ウトレレの、さらにその向こう。


「若干遠いですね」

「エルフの森の隣だからね」


 今すぐ行こうとは言えない距離だな。

 ……そうだ、ちょうどリティと一緒にウトレレへ行くつもりだった。この際、リティの実家を拠点に動いた方が何かと都合がよさそうだ。


「一度ウトレレに行って、そこから向かおうと思います」

「うん、スキルでいつでも戻って来れるんだよね? また何かあったら此処に来ればいいよ」

「はい、ありがとうございます」



=====



「リティー、俺はもう、いつでもウトレレに行けるよ」

「もう、いいの?」


 ここ数日、せっせと魔法陣を描いていたから忙しかった。

 でも、此処でできることはもう無い。


「続きはあっちに行ってからやるよ」

「なら、明日行く」


 おお、即断即決。急いで荷作りしないと。流石に服を取るだけために戻るとかはしたくない。


「そういえば、冷蔵庫の中身どうしよう?」

「あの、何かの肉?」


 ああ、それもあったな。食材全体を言ったんだけど。

 ディーロ先輩に押し付けたいところだけど、あの人、寮に住んでるから食材だけ渡されても調理できないないんだよね。


「たいした量じゃないし、今日中に全部使うか」

「あの、何かの肉も?」

「あれだけ放置するわけにもいかないよな……」


 ……。


 再び学園へ。


「ディーロ先輩、俺たち明日に出るので、冷蔵庫の食材なんとかしてください」

「随分急に出るんだね……。分かった、今日の食卓は豪華にするよ」


 宣言通り、今日の夕飯は豪華でボリュームたっぷりになった。

 量があるから、今回は効率重視でディーロ先輩一人が作った。ありがとうございます。


 ただ、謎の肉も料理に入っている筈なのに、最後までどこに入っているのか分からなかった。美味しかったけど、謎は解けない。結局どんな味だったんだろ……。

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