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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第四章 神域開放
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66 接続試行

「ユユー、おーいユユー」


 返事はない。

 これが午前中だったら寝ているだけだと思っただろうけど、今はもう昼過ぎだし、連絡が無いまま既に数日が経っている。


 ユユが忙しいか、何かがあって連絡できない状態なのだろう。

 ただ、あのユユが忙しいことがあるか? いっつも暇そうにしているあの神様が。

 それに、もし本当に忙しくても一言ぐらい俺に何か言ってくる筈だ。


 どう考えてもおかしい。


 お陰でここ二日徹夜だ。

 一度寝ると、起きたとき暫く意識が朦朧とするこの身体だが、寝ないで起き続けることは可能だったりする。


 それでも以前なら二徹はきつかったけど、今は【状態魔法】の効果があるから結構平気。

 実は寝なくても生きていける。普通に眠くなるし、寝るのは好きなことだから寝れるときには寝るけど。


 寝起きの午前中は気付いたら意識が飛んでるレベルで眠いんだけどね。……あ、もしかしてこれも【状態魔法】のせい? このスキル、起き続けられるし寝続けられるから。


「これで、今度こそ……」


 完成した魔法陣を眺め、途切れが無いかを確認する。

 それが終わったら魔力を流す。


 魔力を魔法陣に籠め、減った魔力が回復するまで休憩。

 その間も、魔法陣に関する書物に目を通しておく。


 さて、魔力も回復したし、そろそろやるか。


 魔法陣を指定して、【空間魔法】を発動させる。

 使うのは空間接続。


「――『コネクト』」


 接続先は、ユユの神域。

 その空間まで――――届かない。


 ……魔力切れ。

 必要な魔力が足りず、不完全な魔法は効果を発揮せずに消えてしまった。


「やっぱ【空間魔法】に使う魔力量おかしいだろぉ……」


 ばったりと床に倒れる。

 ああ、うつ伏せになると気持ちいい……眠気が……。


 ボケーっと魔力の回復を待っていると、部屋の扉が開けられた。

 部屋の中にリティが入ってくる。


「アカリ、これなに?」

「うん? 見ての通り魔法陣」

「これ全部、一つの?」

「そう。だんだん広げていったらこんなになったんだ」


 話がしにくいから、ごろんとうつ伏せから仰向けに寝転がる。

 俺が今居る部屋には、全体に魔法陣の幾何学模様が広がっている。それは床だけではなく、壁にまで及んでいた。


 【範囲魔法】は魔法を使うときの魔力消費を抑えることが出来るスキルだ。その【範囲魔法】自体を使う魔力も魔法陣なら事前に籠めておくことができるし、そこへ更に負担を掛けることで魔力効率を上げることもできる。

 むしろこれだけ魔力カットしても魔力切れになるって、もはや欠陥レベルだろ……。


 やっぱ、神域への接続は無理なのかなぁ。


「とりあえず、ご飯、出来た」

「えっ、リティが作ったの?」

「うん。食べに行ったら、なにも無かったから」

「忘れてた……」


 【状態魔法】が万能だからなぁ。

 寝なくても、食べなくても生きていける。怪我でも死なない。死にやすい俺の為にあるようなスキルだ。

 最近はそんなこと無いけど。……いや、それもこのスキルがあるからか。


「もう少し休んだら食べに行くよ」

「なら、待ってる」


 リティはそう言って寝転がる俺の隣に座った。


「最近、どうしたの?」


 非常に曖昧な質問。娘との会話のネタを見つけられない父親みたいだ。

 最近なんかしたっけ? ずっと部屋で魔法陣描いてた気がするんだけど。


 ……ああ、それか。

 そう言えばここ数日、家から出てないや。


「ちょっと気になることがあってね」

「魔法陣のこと?」

「いや、これはただの手段でしかないかな。それも煮詰まってきてるし」

「うん……?」


 ユユのことは話して無いから、どうにもまともに説明できない。

 神に関する話をどこまでしていいのかも分からないからね。そう言えば、ディーロ先輩が神の一柱なのはリティも知ってるけど、そこのところどう思ってるんだろ?


 俺は身近にユユが居たからそこまで衝撃は無かったけど、普通、知り合いが実は神だったら驚くだけでは済まない気がする。


「リティはディーロ先輩のこと、どう思ってる?」

「料理のひと?」


 ……覚えかたで、何となくどういう印象なのかは分かった。


「……特に……なんとも……?」

「実は神様だったわけだけど」

「うん。……すごいね?」


 何故に疑問系?


「じゃあさ、俺のことはどう思ってる?」

「? アカリは、アカリ」

「ああ……」


 きっと、誰に対してもこんな感じなのだろう。

 人に対して無頓着なのかな。良くも悪くも。


「よし、動けるようになった。それじゃあご飯食べに行こうか。ちょっと冷めちゃったかもしれないけど」

「うん」


 二人で食堂に移動する。

 そこに並ぶ料理は、何というか……個性的だった。


 そもそも元の食材が何か想像付かない……!

 え? このメインの肉料理、なんの肉なの? 緑色の皮が付いてるんだけど。


 リティの料理スキルって、朝食がちょっぴり焦げるくらいの、うまくはないけどそこまで酷いわけでもない程度だよな? レパートリーの少なさはあったけど。

 開拓? 新メニューでも創作しちゃった?


「今日のメニュー、どうしたわけ?」

「冷蔵庫にあった物、焼いただけ」

「我が家に元からあったのか……!」


 誰だよ買ってきたやつ。

 ……ディーロ先輩だ。あの人何やってんの。


 もういいや。夕食の時間を忘れていた俺が悪い。

 リティの手料理なんだ。美味しく頂くとしよう。


 別に死ぬわけでもないし。調理法ミスってても、まあ、【状態魔法】あるし。

 【状態魔法】、ホント頼りにしてます。


「「いただきます」」


 めっちゃゴム質。かたい。

 それでも噛み続ける。


「あの、アカリ?」

「ん? なに?」

「これ、なんの肉なの?」


 二人して謎の肉を食べていた。

 リティさん、知らないで使ったの!?


 途端に、何かやばい物を口にしてる気がしてきた。

 いやでも、流石に食べられない物を冷蔵庫には入れないだろう。……特殊な調理法の物なら入れるかもしれないけど。


 カチン、とフォークを置いた。


「リティ……これは、手を出してはいけなかったんじゃないかなぁ」

「アカリが、買ったのじゃない?」

「心当たりは無いね」

「…………」


 リティもまた、手に持っていたフォークを皿の上に置いた。

 これは仕方ない。だって、食べるのが怖いもの。


 残す残さないの問題以前に、食べて大丈夫なのか分からない。

 無理して食べて、本来は調理過程で毒抜きするべき食材だったら目も当てられない。


「リティは体調大丈夫?」

「今のところ」

「俺は体調不良起こさないからいいけど、リティは気を付けてね? あと、もし何かあったときは治すから言って」

「うん、ありがとう」

「……今日は、外食にしようか」


 その後は、少し久しぶりに家の外に出た。

 リティが作った夕飯は、状態復元で調理前に戻して何もなかったかのように冷蔵庫に戻しておいた。……次のディーロ先輩のお料理教室は覚悟しておかないといけないな。

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