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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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56 突撃開始

 イトラース兵がエルフへ説明に向かったので、俺達はさっきまで居た建物へ戻って待機することになった。


「フェルクディ嬢って、アカリとは普通に話してるよな」

「え? 普通じゃないの?」


 フェルクは男に声を掛けられたり近づかれると、表情が固くなって時折影が不自然に揺れたりもするけど、流石に話くらいできるだろう。


「いや、他の人相手だともっと酷いぞ。攻撃手段でもある影が蠢いていてこっちも気が気じゃないし、喋りも不自然になる」

「あの影は武器になるのか」

「ああ、後ろから声を掛けたときにそれで襲われたことがある」

「あれは、ホントすいませんです」


 フェルクの影が揺れているのは、言うなれば得物を構えている状態なわけか。


「まあ、あのときの事はもういい。それで、なんでアカリは平気なんだ?」

「そ、そうですね。アカリさんは、わたくしめもよく分かってないんですけど、何と言うかあまり男っぽくない感じがするんです」

「つまり、アカリが男らしくないからってことか?」


 ええ? それはあんまりじゃないか?


「男らしくないというのとは違うんですが……ううん、ちょっと説明できないです」

「いや、ちょっと気になっただけだから」


 もしかしたらユミツキとして会ってるからかなあ。でも、そのことは気付いていないみたいだし違うか?



=====



 イトラース兵がエルフと話し合ってきた結果、人数は最低限にしてイトラース、エルフ、魔族のそれぞれから人員を出して乗り込むことになった。

 ダークエルフは元々少数の種族だから、少人数でも精鋭なら数の差だけで負けることは無いだろうとのことだ。それと、こっちに『勇者』がいることも大きい。

 最終的には一度に転移できる人数も考えて、それぞれ10人の計30人が結界の中に入ることになった。


「アカリはどうするんだ?」

「俺も行くよ。結界を出入りできるのは俺だけだし、俺が居ないと何かあったら困るだろ?」

「そうだな。そうしてくれると助かる」


 結界の中に送った結果、誰も帰って来なかったなんてことになったら嫌だしね。


「それなら、わたしも行く」

「リティも?」


 今回はほぼ確実に戦闘になるから、できることなら待っていてほしいんだけど。


「なら二人とも参加だな。たぶん一緒に行動することになるからよろしく」

「うん」


 俺が何か言う前にダイキが話を進めてしまう。


「待って待って、危険なところへリティも連れて行くのは反対だ。リティは此処で待っててよ」

「それなら、アカリも」

「俺は、ちゃんと帰り道を用意しないとだから」

「なら、わたしも行く」


 なんだかダイキのもとへ転移するときと同じ状況になってしまった。

 どうすれば納得してくれるかなあ。


「別に一緒に連れて行ってもいいんじゃないか?」


 悩んでいると、ダイキがリティ側に味方した。いやいや、だって危ないでしょ。


「この嬢ちゃんは足手まといにならない力は十分持ってるし、行きたいと言ってるんだからその言葉は尊重するべきだ」

「ええー……」


 なんかめっちゃ援護射撃してくる。


 結局俺は、リティの熱意とダイキの説得に折れた。



=====



 3グループに分けて、転移で結界の中へ送る。

 転送して、魔法陣に魔力を流してもらって、また転送。


 突撃隊が全員結界に入ったところで作戦開始だ。


 地形に詳しいエルフが先導して先へ進む。


 エルフの話によると、元々ダークエルフ達は少数種族故に縮こまって生活していた。

 だけど、数人の特殊ユニークスキル持ちが同時期に誕生し、ダークエルフの指揮を執るようになった。

 彼らはその強大な力で数々の功績を生み、ダークエルフ達の信頼を得てまとめ役としての地位を獲得した、今回の主犯らしい。結界も恐らくはそのうちの一人によるものとのことだ。


 目標は統率者である特殊ユニークスキル持ちのダークエルフだ。彼らを潰せば他のダークエルフの戦意も無くなるだろう。


 森の中を進むと襲撃に気付いたダークエルフが態勢を整え終わったらしく、正面に複数のダークエルフが待ち構えていた。

 エルフが一早くそれに気付き、戦闘が始まった。


 ダークエルフが木の上から放つ風の刃に対し、エルフ達は空気の壁を張って、その上から弓で矢を放っていく。


「じゃあ、行ってくるか」

「わたくしめも、攻めに出ます」


 ダイキとフェルクが空気の壁よりも前に出る。そのまま正面から突撃していった。その姿はまさに突撃隊だ。

 ダイキは全てを薙ぎ払う雷、フェルクは自在に操る実体を持った影で次々とダークエルフを倒していく。


 ここは二人に任せれば大丈夫そうだな。


 リティは有効な遠距離攻撃を持っていないから俺の傍で待機している。流石にあの二人のように突撃はしない。

 俺は突っ込もうと思えばできなくもないけど、機動力が無いし、一緒にリティも来そうだから自粛することにした。それに、俺達は元々は無かった戦力だ。出しゃばらずに予備戦力くらいの気持ちでも大丈夫だろう。


「あの二人は凄いなあ」


 そんなわけでのんびりと観戦だ。

 あれだけ強いと安心して見てられるなあ。


《『勇者』はあれでも特殊ユニークスキルを使ってないしね。【雷魔法】が異常に高レベルだから、それだけで十分怪物だよ》

「まあダイキの特殊ユニークスキルは【物質保存】と【全知全能】だしね。直接戦闘には関わらない効果だし」


 俺は何もしてないから、ユユと話をする余裕まであった。戦闘の騒音があるからボソボソ喋る分には気付かれないし。

 ちなみに【雷身化】はダイキ固有のスキルでは無いけど、過去に使えた人は数えるほどしか居ないスキルだ。【雷魔法】から派生した特化スキルらしい。


《【全知全能】は相手を見極めて、弱点を突いた武器を自在に使える立派な戦闘系スキルだよ。【物質保存】も万全の状態の武器や道具を即座に出せるから、戦闘で便利なスキルだし》

「ああ、そう言われると強そうだな。そんなことする前に雷ぶっ放しで終わってるみたいだけど」


 ダイキはいろいろと力を持て余しているようだ。温存していると言えば聞こえはいいけど、単に使う機会が少ないのが実情だろうな。


「フェルクは安定して敵を減らしてるね」

《そうだね。影もあまり出してないみたいだし、温存してるのかな?》

「まだ序盤で、統率者も出てきて無いしな」

《アカリはまだ戦わないの?》

「俺も温存で。というか俺の場合はもしものときに全員を転移させる必要があるから」


 戦闘要員にもなれるけど、今のところは命綱役かな。

 でも統率者達が出てきたらそうも言ってられないかもしれないけど。正確な人数は分からないけど、複数人特殊ユニークスキル使いが居るのは間違いないわけだし。


 その後、初戦闘は無事に勝利し、倒したダークエルフ達を縛り上げて俺が転送した。エルフの里へと送られたダークエルフは向こうに待機しているエルフによって速やかに牢へ入れられる手筈となっている。

 うん、俺はサポートでこそ役に立ってる感じがする。完全にサポート要員。

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