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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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48 王子様女体化計画

 朝は早かったんだ。授業を受けていた記憶が無いのも仕方がないことだろう。

 自分の席に着いて、気が付いたら昼休みだった。まあ、そんな日もあるさ。


 購買でご飯を買ってきていつものように机を囲んで食べる。


「アカリさん、ちゃんと授業受けてくださいよ」

「聴こうとは思ってる」

「いつも、気持ちよさそうに寝てる」

「聴こうとは思ってるんだよ……」


 実行できてないだけなんだ。


「そんな調子で単位認定試験大丈夫なんですか?」

「あれ、教養はいつあるんだっけ?」

「大体一か月後くらいですね」

「まだ先かあ」

「いやいや、一か月なんてすぐですよ」

「でもまあ、一か月もあれば何とかなるでしょ」

「そう言って、アカリ、留年」

「来年はリティが先輩かあ」

「諦めないでくださいよ!」


 しょうがない、ぼちぼち勉強も頑張るか。……あれ? そもそも何を習ったか分からないから自学できないぞ?

 一応教科書はあるが、前の世界と比べてざっくりとしか書いてないし、そもそも文章量が少ない。教科書だけで知識を補うのはすぐに限界がくる。

 まあ、一か月もあるし? 何とかなるでしょ。



=====



 午後の授業でいつも通り姫さまと一緒になる。体調不良で休んでた分の遅れは姫さまのお陰で既に無い。

 とはいえ、単純な練習量が足りていないせいかまだ【水魔法】のレベルは1のままだ。


「姫さまは四大属性コンプ目指してるって言ってたけど、全部取っても熟練度上げが中途半端にならない?」

「一度に全部上げようと思ったらそうなるわね。だから私は一つをメインに据えて鍛えて、残りは少しずつ鍛えて臨機応変に使えるようになれればいいと思ってるの」

「どっちにしろ大変そうだね。俺だったらちょっとキツイかな」

「アカリは他にも魔法系スキルを持ってるからでしょ」

「そうなんだよねぇ」


 魔力と時間には限りがある。あと体力も。

 そうなると、スキルを育てるにも優先するものとそうでないものが出てくる。特に俺は【空間魔法】が属性魔法以上に魔力を使うから、他のスキルのレベル上げに割く魔力の余裕があまり無い。

 今は属性魔法は授業の間だけ鍛え、それ以外では他のスキルの練習をしている。


「最近は【火魔法】も放置してるし、これ以上属性魔法を覚えても意味ないかなあ」


 レベル1だけ覚えても大して使えないし。【範囲魔法】を使えばその限りではないが、そう言っていたらキリがない。


「まあ、二属性くらいがメインとサブで丁度いいわよ。私のは腕試しと拍付けなところがあるから」

「そうなんだ。じゃあ他の属性は余裕が出来たら試すことにするよ」


 今のところは火と水の属性魔法だけで行くことに決めた。


「そうだ、ゼネガスト兄さんがアカリに会いたがってたわよ。この間のお詫びもしたいって言ってたし」

「あー、そうだった」


 前回は微妙な感じで別れちゃったんだよな。体調不良で精神的に不安定だったとはいえ、ゼネガスト様には悪いことをした。


「俺もゼネガスト様には謝りたいから、会うなら早い方がいいかな」

「ゼネガスト兄さんはアカリの変身スキルが気になってしょうがないみたいだから、その方が助かるわ」


 ゼネガスト様とはお互いの予定を確認してから会うことにしよう。



=====



 ゼネガスト様とは休日に会うことになった。休日に予定通り王城へ向かう。

 案内されて入った部屋には既にゼネガスト様が待っていた。今日は女装ではなく普通の格好だ。


「待っていたぞ、アカリくん」

「お待たせしてすいません」


 声が女装しているときより低く、口調も違う。違和感を感じながらも挨拶を返した。


「まずは先日のことを謝罪しよう。療養中なのに詰め寄って申し訳なかった」

「いえ、こちらこそあんな対応をしてしまって」

「いや、気にするな。あれは私が悪かった。お陰でスーにもあの後随分絞られてしまった」


 俺の居ないところで姫さまに怒られていたみたいだ。ホント悪いことしちゃったな。


「それで、だ。暫く時間を置いたのだが改めて頼みたい、あのスキルで私を女にしてくれ!」


 謝罪が終わるや否や早速本題に入ってきた。相当気になってたんだろう。


「まあ、いいですけど」

「本当か!?」

「え、ええ」


 もの凄い食いついてきた。ちょっとビビったけど、今回は大丈夫。

 だけど、また急に詰め寄ったことを自覚したゼネガスト様はバツが悪そうにしながら座り直した。


「……すまない」

「いえ、大丈夫です」

「まあ、いきなり要求を言ったが、取り敢えずそのスキルについて訊きたい」

「分かりました」


 そりゃ良く分からないスキルを掛けるわけにはいかないよな。


「まず、効果はいつまで持つのだ?」

「一度肉体を変化させたら再度スキルを使うまでそのままです」

「つまり永続的な効果というわけか。なら、そのスキルを使う条件はあるか?」

「特には無いですね。それなりに魔力を消費するくらいです」


 その後も幾つか質問をされ、特に話せないようなことも無いので素直に答えた。


「問題は無さそうだな。そのスキルを使えば私は完全なお姫様になれるわけだ」

「王子様がお姫様になって問題ないんですか?」

「私としては問題ない」


 それ以外の人には問題ありそうだ。まあ、最後にちゃんと元に戻せばいいか。


「それではいよいよそのスキルを使ってもらいたいのだが」

「はい、分かりました」

「では部屋を移動しよう」


 そうして連れて行かれたのは、衣類がずらりと並んだ部屋だった。


「それでは頼む」

「はい」


 ゼネガスト様に手で触れ、魔力を流していく。そして、【状態魔法】の自身に限定された効果対象を【範囲魔法】で拡張する。


――【状態魔法】拡張、状態変化。ゼネガスト様の性別を女へ。


「終わりました」


 魔力を流すのを止めて手を離す。女になったゼネガスト様は胸が男の服越しでも分かるくらい膨らみ、身長が少し縮んだ。髪は元々長かったからかそのままだ。

 ゼネガスト様は自分の掌を見つめて、次に体へと目を移す。


「ちょっと失礼」


 そう言って更衣室であろう小部屋へと一人で移動した。たぶん、いろいろ確認しているのだろう。

 それからゼネガスト様は、たっぷり10分程かけてから戻ってきた。


「だいぶ、落ち着いてきたわ。やっぱりただの女装とは全然違うわね」


 口調が女口調になっている。日々女装をしていたから動作や言動に違和感がない。


「まずは着替えをするわよ。どうやら少し身長も縮んでいるみたいね、いろんなサイズを用意してて良かったわ」


 部屋にある服の中には子供服のような物まである。これだけの数を揃えると一体いくら掛かるんだろう。流石は王族だ。


「アカリくんは女にならないの?」

「え? なんでですか?」

「折角じゃない、貴方のあの姿もまた見たいわ」


 まあ、断る理由も無いし受け入れる。状態変化で女の姿になる。


「やっぱり人によって随分変わるのね。私も縮んだけど、アカリくんはもっと背が低くなるわね」

「そうですね」


 測ってないから正確には分からないけど、目線が大きく変わる。それに合わせて体格も変わる為、ズボンがずり落ちそうだ。


「それじゃあアカリくんも着替えましょうか。此処にある服を使っていいわよ」


 このままじゃまともに歩けないから、言われた通り着替えることにする。

 あまりにも数が多くて、自分に合ったサイズを見つけるまでだいぶ時間が掛かった。

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