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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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46 魔物狩り

 サンドウルフを何度か相手にした後、新しい魔物と遭遇する。


「熊だ」

「エアークロウベアーって名前だな。俺は初めて見る」

「私も」

「私は数回相手にしました。【風魔法】を爪に乗せて飛ばしてくる魔物です」


 飛び道具ありか。そうでなくてもあの爪で引き裂かれたらただでは済まないだろう。

 ダイキが両手にそれぞれ剣を構える。今回は二刀流で行くようだ。


 熊が爪撃を飛ばしてくる。それに対し、リティが手に持っていた槌を投擲した。

 武器としてはかなりの質量を持ったそれは、熊の放った爪撃を消し飛ばし、尚も勢いは落ちずに熊の腕に当たった。


 悲鳴を上げる熊にダイキが接近し、素早く足を斬り裂く。バランスを崩したところにカルテが額に槍を突いて止めを刺した。出遅れたせいで俺の出番が無かった。


「初めての魔物なんだが、どんな魔物かいまいち分からなかったな」


 ダイキはまるで手ごたえを感じなかったようだ。


「そりゃあの熊、一発しか攻撃してきてないからね」

「その一撃も簡単に打ち消されたから、威力がよく分からなかったぞ」

「まあ、この辺りには同じ魔物がまだ居る筈ですから」


 カルテの言う通り、少ししたら同じ魔物が居た。今度は2頭だ。


「よしっ、今度は俺もやるぞ」


 気合を入れて前に出る。

 熊が俺たちに気付いて初撃の爪撃を放ってくる。俺は細剣の剣先を正面に持ってくると、剣先に範囲を指定して収縮した【火魔法】を発動した。必殺ビームだ。

 熱線は熊の【風魔法】を霧散させ、そのまま熊の一頭に風穴を開けた。


 もう一頭にはダイキとカルテが攻撃し、リティが頭を叩き潰して止めを刺した。


「一頭に三人は過剰戦力だったな」


 ダイキが仕留めた熊を収納し、俺が倒した熊も仕舞う為に近づいてくる。


「アカリさんが一発で倒すからですね」

「見た目ほど、強くない」


 確かに【風魔法】を飛ばすだけだと簡単に対処できるな。結構サイズあるから強そうなのに。

 その後も何頭かの熊を狩ったけど、一度に2頭までしか出てこないし、特に苦戦することもなかった。


 次に見つけたのは木の上に乗ったウルフだった。


「クライミングウルフ、名前の通りだな」

「いつの間にか囲まれてるけど?」

「正直高いところにこんな大きな魔物が潜んでるとは思ってなかった」

「うわっ、来ましたよ!」


 高低差を利用してウルフ達が跳びかかってくる。

 流石に全方位からの攻撃は辛いから、頭上に大きく円を描き、【水魔法】の盾を作る。それにぶつかったウルフは弾かれていた。これで上からの攻撃は来ない。


 四方から来るウルフはそれぞれで迎撃する。木登りする為か普通のウルフより素早いが、その分攻撃が軽い。こうなっては普通のウルフと大差なかった。

 最後の一匹まで倒したら一息つく。


「今日一番手ごたえがあったな」

「そうだね。お陰でちょっと疲れてきた」

「ん? そうか、じゃあここらで休憩にするか」

「そうですね。でも、場所は変えてください」


 戦闘の後で周囲にはウルフの血が飛び散っていた。確かに此処は休憩に向いてないな。


「分かった。じゃあ死体を保存するからちょっと待っててくれ」


 倒したクライミングウルフは全部で30匹程になる。全てを仕舞うまで少しの時間待機だ。

 仕舞い終わったら移動をして休憩。ダイキが出してくれたお茶を皆で飲む。……ダイキまじ便利。


「この後はどうする? 帰りのことを考えるとこれ以上はあまり進めないと思うが」

「あ、帰りなら俺の家まで空間転移で戻れるよ」

「おっホントか。アカリってホント便利なやつだよな」


 どうやら同じことを思われていたようだ。


「空間転移ですか?」

「ああ、カルテには教えてなかったっけ。そういうスキルも持ってるんだよ」

「もしかして、王城でアカリさんが突然消えたのはそのスキルですか」


 あのときは呪術師の大規模【土魔法】から逃げるときに使ったな。それを見ていたのか。


「たぶんそう。とにかく、帰りは一瞬だから気にしなくていいよ」

「ならもう少し奥まで行くか」


 という訳で、休憩が終わったら更に先へ進む。

 だけどこの辺りはさっきのクライミングウルフの縄張りだったのか、特に新しい魔物は見つからない。


「ゴブリンは何処でも出てくるんだよなー」


 何度目か分からないゴブリンとの戦闘を終えてぼやく。


「こいつら繁殖力があるからな。他の魔物の餌にもなってるんだろ」

「……まずそう」


 リティが味を想像したのか顔をしかめる。


「毒は無いから一応焼けば食べれるらしいですよ。美味しくないそうですが」

「うわ、まじか」

「何処から仕入れるんだよ、そんな情報」

「冒険者の先輩が言ってました。実際に食べたらしいです」


 冒険者と言うだけあってチャレンジャーだな。わざわざそんなゲテモノを食すなんて。



=====



「ん? ちょっと待て、そこに何か居る」


 森を歩いていると、ダイキが何かを見つけた。

 よく見ると、確かに何かが居る。だけど体が透明で正体が良く分からない。


「エレキカメレオンだとよ」

「ああ、なるほど。カメレオンか」


 姿を隠しているが、ダイキの鑑定には引っ掛かったようだ。

 こちらが気付いたことに気付いたのか、カメレオンはその長い舌を射出してきた。

 

「あぶねっ」


 舌もステルス機能が付いているようで良く見えない。とはいえ完全な透明では無い為回避はできた。


「その舌から電気を流して獲物を捕らえるようだな」

「触れたらマズイ訳ですね」


 カルテが【氷魔法】で氷の塊を放ち、カメレオンを攻撃する。上空へ跳んで避けたところを氷の礫を散弾のように浴びせて仕留めた。

 絶命したことによって姿を完全に現したカメレオンは、体長1メートルほどの大きさだった。結構デカいのね。


「見逃したら怖い魔物ですね」

「突然背後から電気を持った舌が飛んでくるわけだ。そりゃ確かに恐ろしい」

「気を付ける」

「まあダイキならステータスが出てきて気付くでしょ」


 ダイキは常に邪魔にならない程度に鑑定を発動させている。魔物が居れば見逃してもステータスが視界に表示されるだろう。実際今のもそうして気付いた筈だし。


 その後は、もう一匹カメレオンを見つけたくらいで残りはゴブリンなどの雑魚ばかりだった。

 日が傾き出したので、今日はここまでとする。


「それじゃあアカリ、頼んだ」

「了解」


 四人が入れる範囲のリングを引いたらその中に全員入る。そして空間転移を発動。転移先は既に家の空き部屋の一つに範囲魔法陣を描いて魔力を溜めてある。

 視界が一瞬真っ白になり、気付いたときには我が家の空き部屋に立っていた。


「おっけーでーす」

「随分楽な移動手段だな」

「不思議な感覚ですね」

「うん」


 取り敢えず部屋を出てリビングに移動する。ソファに深く座って一息。


「アカリ、お寛ぎのところ悪いけどこの後はギルドに行くぞ。素材を買い取ってもらわないと」

「えー、俺も行くの?」

「俺だけ行って来いってか?」


 どうやらもう少し歩き回らないといけないようだ。歩き疲れたんだけどな。

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