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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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45 魔棲の森

「はい、これ」


 リティが渡してきたのは鞘に入った剣。俺が頼んでいた細剣だ。受け取って、鞘から抜いてみる。


「おお、ありがとうリティ」

「アカリがくれた、アイアンアントの蟻鋼で出来てる」

「ぎこう? あれってただの鉄じゃないの?」

「一部、違う」


 リティの説明によると、どうやらあの蟻の甲殻は重要な部分はより強固な蟻鋼になっていたらしい。主に額とかが。

 鉄と違って一匹から少ししか取れないそうだ。それを聞いて再度リティに感謝を述べた。



=====



 それから次の休日、ダイキが家にやってきた。


「魔物狩り行こうぜ」

「来ていきなりなんだよ」

「門を出て少し行ったところに森があったろ。一度あの森の奥まで行ってみたくてさ」

「ああ、あそこなら何度か浅いところでウルフ狩りをしたな」

「アカリと狩りに行く約束してただろ。折角だから今日行こうぜ」


 そういえばそんな約束してたっけ。ダイキはもうすぐエルフの森の調査に向かうし、確かにいい機会だと思い了承する。


「俺いっつもソロで狩りをするからパーティ組むの初めてなんだよな」

「そうなんだ。じゃあついでにカルテも呼ぶ? カルテは冒険者ランクCだし」

「そうするか」


 今回は俺、ダイキ、リティ、カルテの四人で臨時パーティを組んで魔物の棲む森に向かうことにした。

 カルテは女子寮に住んでいるので、リティに呼びに行ってもらう。


「お、ボードゲームやってたのか」

「ああ、さっきまでリティとリバーシやってたんだよ」

「俺もやっていいか?」


 待っている間ダイキとリバーシをすることになった。



=====



 二人が来たら冒険者ギルドを経由してから四人で森へ向かう。


「この森へ来るのもなんか久しぶりだな」

「学園、始まってから来てない」

「というか冒険者として一切活動してないな」


 スキルを試す為に蟻を一人で狩りに行ったことはあるけど、結局その素材も冒険者ギルドへ持って行かなかったし。


「私は腕が鈍らないようにちょくちょく軽い依頼を受けてましたよ」

「俺も暇なとき活動してるぞ」


 カルテとダイキはちゃんと活動してたみたいだ。


「そういえばダイキって冒険者ランクいくつなの?」

「今はBだな」


 ダイキはこの世界に来て2、3か月程だから、かなり早い方だと思う。けど『勇者』のランクとして見ると低いような。


「一時期ランクを上げようと頑張ってたんだけど、これ以上はすぐに上がれないようなんだよな」

「確かAランクになるには冒険者ギルドから認められる必要がありましたね」

「そうなんだよ。こればっかりは時間を掛けて実績を積み続けるしかない」

「俺は『勇者』だって言えば認められるんじゃない?」

「それだとなんかズルしてるみたいじゃないか」


 そういうもんか。

 森を進んで行き、どんどん奥へと向かう。これより先は初めてだな。


 と、そこで本日初めての獲物が現れる。


「サンドウルフか。土属性の攻撃をするウルフ種だな」


 見た目は茶色いウルフだ。早速地面の土を鋭く固めて飛ばしてきた。


「ほいっと」


 ダイキが前面に電撃を放ち、土の礫を砕く。そのまま電撃はサンドウルフのもとまで到達し、それを浴びたサンドウルフは倒れた。


「この程度だとパーティ組んだ意味が無いね」

「ダイキさんが強すぎますね」

「一撃で、終わった」

「あ、悪い、つい」


 ダイキが少しばつが悪そうにする。いや、いいんだけどさ。


「まあ、もう少し奥まで行けばいいだろ。ダイキが居れば危ないってことは無いだろうし」

「そうですね」


 という訳で、更に森の奥へ進むことにする。この森は中心に行くほど魔物が強くなる。


「狩った魔物は一旦俺が仕舞っておくぞ」


 ダイキはそう言うと、仕留めたサンドウルフに触れた。すると、一瞬でサンドウルフの姿が消える。


「何をしたんですか?」

「【物質保存】というスキルで収納したんだ」


 そういえばそんなスキルを持ってたな。ダイキは今武器も持たない手ぶらだけど、必要なものは全てその【物質保存】で仕舞っているんだろう。


「便利なスキル持ってるな」

「俺はいろんな武器を扱うから、持ち運びの手間が無いのは重宝するんだ」


 魔物の素材の量も気にしなくていいみたいだし、遠慮なく狩りができそうだ。まあ、俺も家に転送用の魔法陣を用意したから持ち帰りは転送で済ませれるようにしてたんだけどね。


 森を進むと、今度はサンドウルフが10匹一度に出てきた。体格もさっきのサンドウルフと比べて一回り大きい。


 ダイキは【物質保存】から弓と矢を取り出した。今回はサポートに回るみたいだ。

 カルテとリティはそれぞれ武器を構える。俺も細剣を鞘から抜いた。


「それじゃあ手分けして」


 それぞれ前に出て手近なサンドウルフを狙う。サンドウルフは一斉に【土魔法】の礫を撃ってくるが、カルテは【氷魔法】の盾で、リティは槌を振るうことで防いだ。

 俺は細剣に魔力を通し、くるりと剣先を回す。その軌道には青い魔力の線が残る。【範囲魔法】のラインは武器に魔力を流すことでも使える。前に説明しなかったが、これが武器を細剣にした一番の理由だったりする。細長い方が素早く大きな範囲を引ける。


 今引いた範囲のリングには【水魔法】を発動して円盤型の盾にする。薄い盾だが、見た目に反してかなりの密度の魔法が込められている。盾に触れた土の礫は弾け飛んだ。


 更に襲い掛かってきたサンドウルフに対して細剣を横に振り、一本の線を引いておく。そのラインにサンドウルフが接触する瞬間に空間切断を発動。空間ごと斬り裂く魔法がラインに沿って発動し、それを通り抜けたサンドウルフが両断される。これで一度に3匹仕留めた。


 俺の方に来たサンドウルフは全て倒したので周りの様子を見る。

 リティは最初に一振りで1匹を仕留めたようだ。それに警戒たのか残りの2匹が距離を取って威嚇している。

 カルテの方はダイキがサポートしたようで今4匹目を仕留めたところだった。地面に転がる死体の1匹には脳天に矢が刺さっていたし、他の死体にも幾つか矢が刺さっている。


 痺れを切らしたサンドウルフがリティに襲い掛かる。先程までと違い、前足を【土魔法】で強化している。

 リティは慌てず【火魔法】の『ブレス』で隙を突いてから、槌の一振りで2匹とも吹き飛ばした。2匹を同時にって、もの凄い怪力だな。


「ありゃ、サポート要らなかったか」


 リティの方へ向け弓を引き絞っていたダイキが弦を緩める。2匹残っていたから片方は残ると思ったんだろう。俺もそう思ってた。


「二人とも凄いですね」


 カルテが俺とリティに向けてそう言った。そういえば、カルテとも魔物討伐は初めてだったな。

 俺が戦うところは何度か見ている筈だけど、リティが戦うのを見るのは初めてか。


「リティさんの戦闘はとってもパワフルですよね」

「あれは見ていて驚いたな。大きなハンマーを持ってるし、ある程度予想はしていたんだが」


 俺はだいぶ見慣れたけど、外見にそぐわない戦い方はとてもインパクトのあるものだった。

 リティは吹き飛ばしたサンドウルフに止めを刺して戻ってくる。


「アカリの戦い方、だいぶ変わった」

「そうなんですか?」

「ああ、前は魔眼喰らわしてザクーだったな」

「ん? そうなのか。でもお前、魔眼は隠しときたいって言ってなかったか?」

「前は魔眼くらいしか使えなかったんだよ」


 それに、即殺する魔物相手だから隠す必要も無かったしね。人に見られる可能性もあるからそんなに多用するべきじゃなかったんだけど。


「今は魔力の線を引くのが俺の戦法」

「どっちみち変わった戦法だな」

「それ、結局特殊ユニークスキルですよね?」

「そうだな。でも俺としては魔眼さえ隠し玉として伏せておけば、あとは見せるくらい問題ないと思ってる」

「アカリは、いろいろ持ってる」

「そのようですね。性転換スキルとか」


 そんなスキル名ではないぞ。

 とにかく、この辺の魔物も問題ないようだからもっと奥へ進むことにした。

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