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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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44 工作

 お城から退院した次の日、リティに起こしてもらい学園に向かう。

 朝食はリティが用意してくれた。朝食については二人で交代に作ろうと思ったのだが、俺が起きるの遅い為リティに却下された。

 その代わりに俺は掃除を担当することにした。魔法でちょちょいだしね。


 午前は普通に授業を受けて、何事も無く昼休みも終わる。数日の無断欠席については特に何も言われなかった。手軽な連絡手段も無いしそこら辺は割と柔軟みたいだ。もしかしたらリティやカルテが教師に伝えてたのかもしれない。


「アカリ、もう授業に出れるのね」


 午後の授業で姫さまと会う。昨日帰るときは姫さまは学園に行ってたから挨拶してなかったな。


「もう大丈夫だよ。姫さまにはお世話になったね」

「お、お世話にゃんて……」


 俺の発言に反応して姫さまが顔を赤くする。……なんで?

 お世話になったと自分から言った手前、何に反応したのか訊くこともできない。


 そういえば、姫さまと一緒に寝たとき、姫さまは起きてからずっと顔が赤かった。あれかもしれないな。

 あのときは女同士だったから特に意識することも無いと思ったのだけど、そう思ってたのは俺だけだったみたいだ。


「アカリは数日居なかったから、その分は私が教えるわね! そういう約束だったし!」


 恥ずかしさを誤魔化す為か、語気を強めている。


「そうだった。じゃあ、よろしくお願いします」

「任せなさい」


 今日の授業は新しい内容も無く、自習のような授業だった。今学期に習う呪文魔法は一通り教えたから、後は練習あるのみということだ。

 まだ1年1学期というのもあるが、出来る人と出来ない人でペースに差が出るから、自習が増えるのはしょうがないところがある。熟練度上げは単独でできるしね。


 俺は【水魔法】の授業は後発組で、姫さまと同じペースでやっていたから教わるのは姫さま相手の方が効率がいい。

 姫さまは俺が居ない間に覚えた呪文魔法を実演しながら教えてくれる。その間ずっと姫さまを見ていることになるのだが、ふと尻尾が気になってしまった。


 あの猫尻尾、ずっとゆらゆら動いてるんだよな。一度気になるとついつい意識がそっちに行ってしまう。

 何と言うか、見ていて飽きない。あ、耳もピクッと動いた。


「今の、ちゃんと見てた?」

「ああ、ばっちり見てたよ」


 猫耳が動いたとこ。


「ならいいけど、さっきから視線があちこちに向いてる気がして」

「あー、ちょっと集中が切れてきたかな」

「じゃあ少し休憩にしましょ」


 休憩中もチラチラと視界に映る尻尾に気を取られたままだった。

 これ、次に会うときには治ってるかな? 姫さまに会うたびに尻尾を目で追ってたら変に思われる。



=====



 学園の帰りに、リティと一緒に買い物に行くことになった。

 リティは工房で使う道具の補充、俺も工房でいろいろ作るための材料を買う為だ。あとついでに掃除道具とか必要なものを幾つか買い揃える。


 リティは消耗品を買うだけだからすぐに買い終わり、俺の材料はリティに用途を教えて、それに合った物を選んでもらった。あとは適当に買った。


 そのまま外で夕食を食べたら、家に帰る。そして二人で工房に入った。


 リティは俺の細剣を仕上げるらしい。俺はスキルの実験を兼ねてあるものを作る。

 先程の買い物で懐中時計を買ってきた。俺が持っている懐中時計と同じ物は無かったから銀色の物を選んだ為、流石に金貨15枚もしなかたけど、それでもその半分くらいの値段はするそれなりに高価な物だ。

 これに【範囲魔法】の魔法陣を描こうと思うのだが、その前に練習をするか。


 適当な木の板に錬金術の店で買った、魔方陣を描くときに使うインクを使用して線を引いていく。描く魔法陣は頭の中に浮かんでくるからスラスラと描ける。よし、出来た。

 魔法陣を使った【範囲魔法】は、予め使用するスキルの効果を指定しておけば燃費が良くなる。その分魔法陣の式は複雑になるようだが、頭に浮かんだ図をそのまま引けばいいだけだから問題ない。


 今回は【空間魔法】の空間転移の転移先に設定した。魔法陣を描いた木の板をその辺に転がし、【範囲魔法】の線で自分を囲って転移元も設定、発動。


「問題無く使えるな」


 木の板の上に無事転移したのを確認する。【範囲魔法】の範囲指定は基本的に指定する範囲を囲うのだが、魔法陣の場合は陣の上や周囲など多少範囲に融通が利く。事前に魔法陣に組み込まなければいけないし、消費魔力も増えるけど。


 成功したことだし、今度はこの魔法陣を買ったばかりの懐中時計に描いていく。このインクは金属にも色が乗る優れものだ。

 懐中時計の蓋の裏側に転移先となる範囲を引いた。懐中時計も魔法陣も丸い形だからやりやすい。

 魔法陣に魔力を流したら試しに起動する。転移成功。


 魔法陣は魔力が無いと発動しない。陣の式と規模によって込めれる魔力の量も違うけど、今回の陣は小さい為一度魔力を流したら5分くらいで使わなくても魔力が切れる筈だ。

 後で家の中にも魔法陣を引いておくが、そっちは一度魔力を込めたら数日は持つようにする予定だ。


 さて、この銀色の時計には転移先の魔法陣を描いたが、これにもう一つ別の魔法陣も描こうと思う。

 今度は時計のガラス部分に描く。多少見づらくなるけど、時間を見るのには問題無い。

 これは【瞳の魔眼】の視界設置の設置位置に設定する。


 視界設置は【瞳の魔眼】がレベル3になったときに習得した技能だが、いまいちな性能だった為に今まで完全にスルーしていた。習得したのはだいぶ前になる。

 取り敢えず、魔法陣が完成したので魔力を流して発動する。


――【瞳の魔眼】視界設置。


 発動と同時に、時計のガラス部分からギョロリと眼球が生まれた。半分が埋まっているように、半球が飛び出ている。この眼球は俺の目の動きと連動してギョロギョロと動く。

 これが視界の媒体となる。この眼球が見たものを俺も見ることができる。


 今までの効果と違い、使うとこの眼球が現れる為に使い道が無かった。こっそり使って見付かりそうになったら消せばいいんだろうけど、それだったら他人の視界を覗く視界共有の方がいい。

 しかもこれ、ユユに言われて気付いたんだけど媒体を使っているときに本体、つまり俺の瞳の色が黒から赤になっているのだ。媒体と視界を共有するのは片目だけだから、一時的にオッドアイになる。

 その姿を見れば何らかのスキルを使っているのが簡単にばれるわけだ。人によっては俺が魔眼使いだと気付くだろう。


 これらのことから今まで完全に放置していた。だけど範囲魔法陣で用途を思いついたから使うことにした。

 この魔法陣は他人の魔力でも流せば起動する。だからこの懐中時計は、暫く此処を離れるダイキに渡そうと思っている。


 何かあったときにこの時計に魔力を込めれば俺が転移して来るわけだ。流石に転移先の情報は知りたいから、その為に視界設置も付けた。

 これを渡しておけば何かと便利だし、安心だろう。どんな怪我をしてもすぐ治してあげるよ。


「これでいいかな。じゃあ次に、おもちゃを作るか」


 昨日言っていたリバーシを作ることにする。

 木の板を用意して色を塗り枠を作る。台はこれで良し。


 次は石、これも木製にする。

 同じ規格にするために、範囲魔法陣を引いて、その上に木の板を載せて空間切断。木の板が綺麗な丸に切り取られる。

 この魔法陣の発動を繰り返すことで、同じ形のコマを作った。これを白黒に塗って完成だ。


「できたー」

《じゃあ早速やってみようよっ》

「そうだね。リティはまだ作業中のようだし」


 それからはユユとリバーシで遊んで時間を潰した。ユユは口頭で伝える為、途中から将棋みたいに枠に縦横で番号を振ったりもした。

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