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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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43 帰宅

 起きて時間を確認すると、既に午後だった。

 ばっちり半日以上寝たお陰で眠気もあまり無くすっきりしている。魔力も殆ど回復したようだ。


「やっと治ったか」


 でもこれで家に帰れるな。

 ベッドから降りて立ち上がる。んー、病み上がりでまだちょっと怠いかな。


――【状態魔法】状態変化、健常体。


 状態復元をするには日数が経ちすぎている。今回は状態変化の方が魔力効率がいい。

 魔法で体調を万全に整えたら、寝巻きから着替える。


 あー、今まで女の姿で居たし、帰るときに男だと変かな。

 昨日メイドさんが持っていったドレスは既に洗われて部屋に帰ってきている。これを着て帰るしかないか。


 このドレスは何回か着ているし、既に一人で着れる。着替えを済ませ、荷物を鞄に詰めたらメイドさんを呼ぶ。ちゃんと挨拶してから帰らないとね。

 メイドさんに帰ると伝えると、王さまに伝えに行くから待っていてくれと言われる。


 言われた通りに待っていると王さまが部屋にやって来た。そっちから来るのね。王さまなのにフットワークが軽い。


「アカリ君、体調はもう良いのか?」

「はい、お陰様で全快しました。本当お世話になりました」

「いや、あの日城にアカリ君が居なければ今もまだ混乱が収まっていなかっただろう。こちらこそ感謝する」


 王さまに感謝されるのは素直に嬉しい。思わず顔が綻んだ。


「今回の事では恩賞としてアカリ君に名誉伯爵の爵位を与えようと考えている」

「へ? 爵位?」

「そうだ。名誉貴族は一代限りの貴族となる。今回のことでアカリ君は上位貴族の殆どに恩を作ったから名誉貴族にするのに特に反対する者も居らん」


 これ、決定事項なのかな? いきなり貴族とか言われても。


「えーっと、名誉貴族になるとどうなるんですか?」

「名誉伯爵は世襲できないこと以外は伯爵と同等の権限を持つ。名誉貴族はあまり義務などは無いからそこまで気にしなくても良い」

「伯爵と同等……随分と爵位が高くないですか?」


 貴族の爵位は上から順に公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵。伯爵は真ん中に位置する。


「アカリ君の治癒の力を多くの者に知られたからな。利用しようとする者が出ないとも限らん。名誉とはいえいきなり伯爵なのは、他の貴族への牽制と下位の貴族が手を出せないようにする為でもある。勿論アカリ君がそれだけの事を成したというのもあるが」


 そっか、権力を持っとくのは俺自身を守ることにもなるのか。【状態魔法】の利用価値が高いのは考えなくても分かる。どんな怪我も病気も一発で治せるからな。


「なるほどです」

「ただ、どうするか決め切れていない問題があってな」

「問題?」

「アカリ君のその姿だ」


 言われて自分の体を見る。黒いドレスを着た女の体、ユミツキちゃんモードだ。


「他の者はアカリ君のことをその姿で、ユミツキという名だと認識している。叙爵するときはアカリ君としてかユミツキ君としてか、分からなくてな」


 姿を変えていた弊害がここできたか。変装にもなるから多少派手に動いても大丈夫というメリットがあり便利だと思ってたんだけど、こういうこともあるのか。


「ユミツキ君として叙爵した方が、アカリ君の素性を隠せて危険が減るのだが、そうすると名誉伯爵としての権限がその姿のときだけと酷く限定されてしまうのだ」


 この姿のままで授爵すると、女のときだけ貴族扱いになる。正体をばらして授爵すると、完全に名誉貴族となれるけど身バレによる面倒があると。

 んーでも、別に貴族になりたいわけじゃないし、権力があれば他の貴族の横暴への保険になるってくらいだしな。女のときだけでも問題ない気がする。


「できればこの姿での授爵がいいです。これまで通りの生活を続けたいので」

「うむ、分かった。ならこちらでユミツキ君としての身分証も用意しよう。名前はどうする? 貴族になると家名が付くが」

「ユミツキ自体が家名ですからね……両方家名はちょっと」

「なら、アカリ・ユミツキのままでよいか。家名を付けるとステータスにも載るのだ、あまりそこに影響がない方がいいだろう」

「そうですね」


 俺は普段苗字は名乗ってないし(周りに名乗る人が居ないから合わせてた)今後もユミツキ姓を封印しとけば名前が同じなくらい大丈夫だろう。


「では、この事は後で改めて連絡しよう」

「お願いします」


 話が終わったので、王さまは俺の帰りの案内人を呼んでから部屋から出ていった。

 王さまが居なくなったら、メイドさんに案内されて城を出る。そして用意してくれた馬車に乗って家まで帰った。非常に快適な乗り心地だったです。



=====



 我が館に帰ってきた。リティはまだ学園で授業を受けているから家には誰も居ない。

 取り敢えず元の姿に戻ろう。自室に入り、服を全て脱ぎ捨てる。


――【状態魔法】身体変化。


 男の姿になったら服を着る。勿論男物だ。


「やっと元に戻れたな」

《一番見慣れたアカリだね。でも、女の子のアカリも可愛くて良かったよ》

「あの姿で授爵するから、今後は嫌でも変身する機会があるよ」


 ダイキに唆されて軽い気持ちで女になったのに、あんなに長引くとは思わなかった。

 しかも今後は女の姿になると貴族の特権が付くから、また姿を変える必要が出てくるだろう。


「リティが帰ってくるまでまだ時間があるな」

《アカリも学園に行く?》

「病み上がりだし、遠慮しておく」


 とはいえ、館の中でやることか……あ、掃除とかの家事があったわ。

 洗濯はこの脱ぎ散らかしたドレスと下着くらいだから、後でいいか。いや、このドレス高いんだった。流石にシワだらけにしたくはない。


――【状態魔法】拡張、状態復元。


 万能の【状態魔法】で脱いだ服を着る前の状態に戻す。大した変化は無いけど、これで洗濯の手間が省ける。

 次に家の掃除をしようと思ったが、我が家には掃除道具すら無かった。……これも魔法で済ませちゃうか。


 一度家から出て、建物の周りに範囲を引いていく。ぐるりと一周したら発動っと。


「『ウォッシュ』」


 使うのは【水魔法】の呪文魔法の一種、『ウォッシュ』。属性魔法の魔力が切れたら消える特性を利用した、すぐに消える水で汚れを洗い流す洗浄魔法だ。

 我が家が水に覆われる。凄い光景だけど数十秒で魔法は解け、以前より綺麗になった以外は元通り。

 埃などのゴミは消えないから、一か所に集まるようにしてある。それを回収したらお掃除終了だ。


「埃とか結構出てくるもんだなあ」

《館を隅々まで掃除したらそれくらい出てくるってことだね》


 大量に出てきたゴミを片付けたいのだけど、箒とチリトリが無いんだった。また魔法で済ませようかなあ。

 いや、流石にこのくらいは普通にやろう。一応病み上がりだし、魔法に頼りすぎるのもよくない。


 大きなゴミは手で取り、小さな屑などは紙切れなんかを使ってゴミ箱に入れた。


「よし、掃除終わり!」

《早かったねー》

「時間潰しに始めたのにすぐ終わったね。にしても手が汚れたな、状態復元っと。……あっ……」


 結局魔法を使ってしまった。便利なものがあるとついつい使ってしまう。


「まあいいや。このくらいならそんなに魔力使わないし」

《スキルは使って当然なんだから、魔力が気にならない程度なら気にすること無いと思うよ》

「それもそうだな」


 怪我したときは状態復元を半ば条件反射で発動させてるし、危険に対して即座にスキルを使えた方がいいのは間違いない。なら、普段から使い慣れていた方がいいのだろう。

 ……つい最近魔力の使い過ぎで倒れた病み上がりということは、一先ず置いておこう。

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