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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第三章 歯車を回す少年
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41 二人の王

「フェルク、お、私の部屋どこか知らない?」

「あの部屋です? わたくしめも案内が無いと分からないですね。迷ったんです?」

「完全に」

「では、案内を呼んじゃいますか」


 フェルクはそう言うと部屋の一つに入り、メイドさんを連れてきてくれた。

 用事があるとのことで、フェルクとはそこで別れてメイドさんの案内のもと、部屋に戻った。


 部屋でメイドさんが用意してくれた昼食を食べ終わった頃、王さまが部屋に入ってきた。


「アカリ君、調子はどうだ?」

「お陰様で、少しですが魔力が戻ってきました」

「ふむ、随分重い症状だったようだが、良くなっているようで何よりだ。先日の襲撃についてアカリ君とも話がしたいと考えていたのだが、今からでも大丈夫だろうか。まだ長時間話すのが辛いようならまた後日にするが」

「いえ、大丈夫です」

「そうか、なら私の他に何人か交えるから部屋を移動しよう。歩けるか?」

「ゆっくりなら歩けます」


 移動ということで、ベッドから降りる。そして王さまの後ろをのろのろと付いていった。

 部屋を出て、廊下を進む。王さまは俺のペースに合わせてくれている。

 ちなみに俺の服装だが、流石に寝巻きのままじゃマズイかと思ってパーティーのときに着た黒いドレスを着ている。もう着る機会無いかと思ってたけど、案外すぐだったな。


 多少時間を掛けて、目的地に到着。他の人は既に待っているらしい。


 部屋に入ると、中に居るのは全員知っている顔だった。

 スーロメルト姫さま、ゼネガスト様、ダイキ、フェルクディとそのお父さんの五人だ。話し合いはこれに俺と王さまを入れて七人で行うようだ。


 フェルクがさっき用事あるって言ってたのはこれがあるからだったのか。あと、ゼネガスト様がいつもの女装ではなく、普通に男性用の服を着ている。中性的な顔立ちのイケメンが居て、最初誰か分からなかった。

 俺と王さまが席に着いたところで、王さまから説明が入る。


「今回の話し合いは、先日の王城襲撃についてだ。内容は主に、襲撃者と闘った『勇者』ダイキ・ミナミサワ殿とユミツキ君から情報を確認することになる。今ここに居るのは、現在城に滞在しているイトラースの王族と当事者である勇者殿、ユミツキ君、それから今回の件に協力してもらう『魔王』バールディ・ハルジバル殿とその娘、フェルクディ・ハルジバル嬢となる」


 うわっ、あの幽霊みたいなおっさん『魔王』だったのかよ。フェルクは魔王の娘って、他国の王族じゃないか。なんで協力することになってるんだ?

 思わずそちらを見ると、フェルクと目が合ってニコリと笑みを送られた。……まあ、今更畏まるのもね。


 にしても、この場に『勇者』と『魔王』が揃っているのか。

 ……ダイキのやつ、よく見たら冷や汗掻いてるな。平然としてると思ったけどそんなことは無かった。


「私は先に勇者殿とは話をしているが、改めて順番に今回の事を説明していきたいと思う。」


 王さまはそう言って、あの襲撃のことを話し始めた。

 一通り話したら、ダイキが補足する形で自分視点の話をした。


 その後は俺の番。襲撃については大体二人が言ったから、その間自分が何していたのかを話す。

 最初の方は姫さまと一緒に居たから、姫さまも補足で俺の話に加わった。……なんで姫さま、ちょくちょく恥ずかしそうにしてるんだろう?


「――その後は、魔眼の被害者を治療して回って、途中からよく覚えていません」

「そうか、やはり覚えていないのか……」


 王さまが呟くようにそう言った。


「何かあったんですか?」

「いや、なんでもない」


 いや、顔に何かあったって書いてるんですけど。でもなんか触れられたくなさそうだから追及は止めておく。


「これで一度、全体の確認はできたな。襲撃者のその後なのだが、地面に開けた穴はかなり遠くまで繋がっていて完全に消息を絶たれてしまった。それで、実際に闘った二人には少しでも襲撃者の情報を教えてほしいのだ。まずは勇者殿、今一度先日私に伝えた内容を含めて話してくれ」


 王さまは既にダイキから話を聞いてるんだったか。


「はい、私はステータス鑑定ができるスキルを持っているのですが、襲撃者を鑑定した結果、最初に変装して襲った二人を含め、五人全員の種族がダークエルフでした」


 え? また?

 確か王さまの宝剣を盗んでたのもダークエルフだったよな。


 その後ダイキは、襲撃者のステータス情報を教えてくれた。まあ、前に聞いたのを詳しくした程度の話だったから割愛で。


「ここ暫くの間、私に呪いを掛けていたのも襲撃者の一人な可能性が高いようだ。他にも少し前にこの宝剣を盗んだ者もダークエルフだったという目撃情報が出ている」

「あ、その証言したの私です」

「そのようだな。ユミツキ君、詳しく聞かせてもらえるか?」


 詳しくか……どこまで詳しく話そうかな。

 宝剣を盗んだ人物は顔を隠していた。確認できたのは【瞳の魔眼】で様子を見ていたからだ。

 多少スキルのことを話さないと信憑性を持たせるのは難しいかな。でも、訊かれるまではボカシて言うか。


「あるスキルを使って確認できたのですが、宝剣を盗んだ犯人は、話に訊くダークエルフの特徴と一致していました。殆ど関わらなかったので、それ以上の情報はありませんが」

「ふむ、ちなみにそのスキルと言うのは?」


 伝え方が悪かったな。あるスキルなんて言ったらそりゃ訊かれるわ。


「魔眼です。条件はありますが、いろいろと視ることができるものです」


 何一つ具体的なことを教えてないが、特殊ユニークスキルはあまり人に教えるものではないしそういうもんだ。実際、それ以上深くは訊かれなかった。


「残念ながら犯人を捕らえることができていない為確実な証拠は無いが、これ程の事件を起こしたのが全てダークエルフ一種族によるものとなると、それが確定すればこのことはダークエルフから我が国イトラースへの敵対行為となる」


 なんか、不安な展開だな。

 もしかして、これは戦争とかまで行っちゃう流れなのか? 

 まあ、考えてみれば王さまを呪って宝剣盗んで、あげく城でのパーティーを襲撃したんだ。国際問題となるのも当然だろう。


「それは、ダークエルフ、延いてはエルフと戦争をするということになるのですか?」


 ダイキも同じことを考えたらしく、そう質問する。

 そうか、ダークエルフだけでなくエルフとも敵対することが考えられるのか。ダークエルフはエルフの亜種で、エルフの森の端に住んでるらしいし。授業で習った。


「最悪の場合そうなるだろう。ただ、我が国はエルフの森と友好な関係を築いている。これがエルフ全体の総意ならともかく、あまりエルフ全体との敵対は好ましくない。だが、このことを放っておくことはできない。そこで一度、エルフの森へと調査を出そうと考えているのだ」

「そこで、我々魔族も協力を申し出た。魔族の国ハルジバルとイトラース王国の友好の礎になればと思ってな」


 ここで、今まで聞きに徹していた『魔王』バールディが自分たちの目的を話す。あ、国の王だから様付けで呼んだ方がいいか。

 要はイトラース王国とは仲良くしたいから困ってることに協力するよ! という感じか。


 まあ、大体のことは分かった。後は誰を派遣するかといった話だろうから、俺には関係ないな。

 話の輪から外れ、背もたれに寄り掛かってゆったりとする。病み上がりっていうか、まだ療養中だから疲れたな。


 姫さまも話すことが無さそうだし、ゼネガスト様とフェルクに至っては最初からただ居るだけだ。国のトップが二人話し合うわけだから、その子供として居る必要があったんだろう。


 それからは王さまとバールディ様の二人で話し合いを進め、俺もただ聞く側になった。

 まあ、これ以上は俺にとってあまり重要じゃない話だ。話に入れなくても問題無いだろう。


 そのまま話し合いが終わる。

 俺にとって一番重要だったのは、ダイキがエルフの森の調査に付いていくことになったことくらいかな。

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