表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第二章 迅雷の勇者
38/112

閑話1 王城襲撃 side-ダイキ

 『勇者』を歓迎するパーティーが始まった。

 わざわざ王城で貴族を集めてのパーティーだが、別に俺が偉いというわけではない。


 俺はこの世界に来てから、まだ大したことはしていないし、この国に貢献したこともない。強いて言うなら、先日アカリを紹介したくらいだ。

 今回のことは先代の『勇者』の功績と、神様が遣わした人物だということから期待を含めてこういった歓迎をしているに過ぎないわけだ。


 それに『勇者』の威光というものも、国や地域によってばらつきがある。簡単な話、先代の『勇者』によって利益を得たことがあるところは『勇者』を敬っているし、全く関係がなかった国はそれなりには対応してくれるが、それだけだ。

 この国は『勇者』の召喚陣から比較的近いところにあるからか、こんなパーティーまで開いてくれる。


 まあ、重ねて言うが、別に俺が偉いわけではない。前の人が偉かったんだ。


 にしても、自分が何かしたわけでもないのにこんな催し物をされると、却って居心地が悪いな。それでも余所行きの笑顔を張り付けて、来てくれた貴族の対応をする。


 途中で、何か気分を変えたいと思いアカリとスーロメルト姫様へ視線を向ける。アカリは今、女の子になっているから戸惑った姿でも見られれば面白いと考えたのだが、あいつは既にその体に馴染んでいた。

 特に挙動に違和感もなく、人形の様な可愛らしい女の子にしか見えない。あれで中身男なんだよなあ……。


 でもあいつ、スーロメルト姫様の護衛なのにさっきからずっと料理を食べ続けている。姫様に会いに来た貴族も、姫様の傍で黙々と料理を食べている可愛い少女のことが気になるのか偶にそちらに視線を送っている。

 一応、姫様の側付きだということは理解されているのか、アカリに声を掛ける人は今のところいない。


 それから暫くの間貴族との交流を続けていると、不審な人物を発見する。姿が『偽造』された男が国王様の近くにいた。


 そいつが国王様に挨拶しに近づく。俺は何かあったらすぐに動けるようにするが、たぶん、国王様も男の変装に気付いているな。『真贋の宝剣』の力で偽物の姿だと分かる筈だ。

 その男は国王様に近づくと、不意に躓いたふりをして前のめり、その姿勢から一気に体当たりをした。その手にはいつの間にかナイフを持っている。


 だけど俺が動くまでもなく、国王様は一歩下がると、国王様の護衛が前に出てその男を取り押さえる。


 突然の国王様への襲撃に、その近くに居た人が騒ぎ出す。俺は他に姿の『偽造』を使っている人はいないか探し、一人見つけた。そいつはさり気なくスーロメルト姫様の近くにすり寄っていた。

 姫様もアカリも、国王様襲撃に目が行っている。その隙にあの変装者は間違いなく姫様を襲うだろう。


 俺の【雷魔法】ならこの距離からでも変装者だけを正確に狙い撃つことができる。この世界のスキルレベルは属性魔法の場合、レベル5で十分上級者と言える。俺の【雷魔法】のレベルは10で、上級者の基準の倍。そのくらい朝飯前だ。


 だけど俺がこの場でいきなり魔法を放つのは、周りの人に混乱を与える可能性がある。ここは【雷身化】を使うとしよう。


 【雷身化】を発動し、体の形質を電気に寄せ、半分電気の体となる。完全に電気の体になるのはまだ一瞬しかできない。けれど一瞬だけでも放つ紫電と同化することで瞬間移動が可能となる。


 細い紫電を変装者のもとまで飛ばし、それと同化することで瞬間移動、移動と同時に蹴りを喰らわす。


「超強力スタンキックだ。電気を流したから暫くは動けない」

「ダイキ、助かったよ」


 そうは言うが、アカリは変装者が襲ったとき即座に反応して姫様を庇っていた。俺とは違い、変装に気付いていなかった筈だし、国王様に注意が行っていたにしては素早く的確な動きだった。


「ああ、こいつらは別人に姿を変えて潜り込んだみたいだ。まあ、だからこそ鑑定に引っ掛かったんだが」

「他に同じように潜伏しているのは?」


 話している間、アカリは庇ったときに姫様を抱き寄せて、そのまま抱きしめた状態だ。今のアカリの身長は姫様と同じくらいで、二人の顔が凄く近い。アカリは気付いていないようだけど、姫様は顔が真っ赤になっている。


「こいつと同じように変装して潜んでいるのはもういない――」


 話している途中で、窓が割れる大きな音がして言葉を止める。

 音がした方を見ると、割れた窓から三人の顔を隠した人が侵入してくる。


「――【裂離の魔眼】」

「――ぐあああ!?」


 突然全身に激痛が走り、思わず叫び蹲る。周囲からも悲鳴が聞こえたから、恐らく他の人たちも同じ痛みに襲われたのだろう。


 耐えきれなくなり、【雷魔法】で痛覚を麻痺させる。痛みさえなければ、【雷身化】で雷の体となっている状態なら多少無茶すれば動くことができる。

 俺は新たな襲撃者が次の行動に移る前に、瞬間移動で肉薄して攻撃を仕掛けた。


 電撃を三人に纏めて放つが、それぞれ魔法で防がれる。

 取り敢えず敵のステータスを確認する。二人はそれぞれ【裂離の魔眼】と【代償魔法】という特殊ユニークスキルを持っていて、残りの一人は【剣術】のレベル5を持っている。基本LVは全員30前後で俺より僅かに高い程度か。


 あと気になる点は、【代償魔法】を持っている男が【呪術】のスキルも持っていることだ。こいつの【代償魔法】で性能を上げた【呪術】なら、国王様の呪いの威力も納得できる。


 特殊ユニークスキル持ちが二人もいるのは厄介だ。アカリもそうだが、特殊ユニークスキルは予想が付きにくく、それでいて非常に強力な効果が多い。

 【物質保存】に収納していた剣を二本取り出す。まずは魔眼持ちに狙いを付けて攻撃する。


 攻撃は高レベルの【剣術】を持つ剣士によって防がれる。そして動きが止まったところで魔眼の効果を受け、体が嫌な音を上げる。


 近接はこの剣士がカバーして魔眼使いが倒すという布陣で来ているようだ。動きを止めると魔眼の効果を受けるようだから、魔眼使いの視界から逃れるように動きながら戦う。

 しかし、今の魔眼で足が悲鳴を上げている。痛覚を麻痺させ、雷と化すことで辛うじて動けてはいるが、目に見えて動きが鈍りだす。


 不意に、魔眼使いが視線を外す。その隙を攻撃するが、それは剣士に防がれた。

 魔眼使いはいつの間にか近づいてきていたアカリに攻撃を移したようだ。アカリは青く発光する線を指で空中に引きながら来ていたみたいだが、魔眼を受けて動きが止まる。


「ダイキ! 一旦こっちに来て!」


 アカリは自分の周りに線を引きながら俺にそう言ってきた。俺は一度、広範囲に電撃を放ってから、言われた通りにアカリのもとへ瞬間移動した。


「来たぞ!」

「ふぁいあ!」


 アカリが魔法を発動し、周りに引いた青い線に沿って炎が渦を巻いた。どうやらこの線に魔法を乗せることができるようだ。

 炎の渦で俺とアカリを囲ったら、アカリの治療を受ける。アカリが魔法を行使すると、魔力の光の中から白い羽根が生まれてふわりと舞った。

 これは確か、魔力の結晶化という現象だったか。アカリが魔法を使うときに結構な頻度で目にする。


 治癒が終わり、敵の情報を短くアカリに伝えたら、再び【雷身化】を発動して戦闘に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ