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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第二章 迅雷の勇者
25/112

24 金色猫耳尻尾

 今日は曜日で言うと水曜日。昨日はサボったけど今日はちゃんと登校する。


「昨日はどうしたんですか?」


 席に着くと早速カルテに昨日のことを訊かれた。


「寝坊した」

「いや、丸一日来なかったじゃないですか」

「起きたのが15時過ぎでね。そっから学園に行く気にならなくて」

「どれだけ寝てるんですか……」


 驚き混じりで呆れられる。でも、寝て起きたら時間が過ぎているんだからしょうがない。


「何度も鐘が鳴ってるんですから、普通起きるでしょう」

「俺をあの程度の音では起こすことはできん」

「でもアカリ、ノックで起きてた」


 言われてみれば宿屋に居たときはリティのドアを叩く音で目が覚めることが多かった。


「んー、遠くの鐘よりも音がすぐ近くだからかなあ」


 後は人の気配のようなものにも反応しているのかもしれない。


「アカリさんには毎日起こしてくれる人が必要みたいですね」

「リティ―、起こしてくれー」

「寮は、むり」


 誰だよ、男子と女子で寮を分けたやつは。


「うう、そもそもなんで相部屋が居ないんだ。二人一部屋じゃないのかよ」

「知りませんけど、もう他人任せにする気満々ですね」

「俺一人ではこれ以上どうすることもできない」

「もう少し頑張って下さいよ……」


 買い物で時計見に行ったときに目覚まし時計は無かったんだよなあ。皆基本的に鐘の音で区切って行動するから必要ないみたいだ。

 そもそもこの町の人は身体が既に鐘の音で目が覚めるようになっているんだと思う。リティの住んでいた国にも鐘は同じようにあったらしいし、習慣として身に付いてるんだろう。


 そんな習慣を新生児である俺に身に付けろというのも酷な話ではないだろうか。この見た目じゃ説得力皆無だけど。


 鐘が鳴って教師が入ってくる。もう既にサボり遅刻魔のレッテルを貼られてそうだが、せめて授業は真面目に受けることにしよう。



=====



 気付いたら授業が終わっていた。


 いや、違うよ? あまりにも集中していた為に時間を忘れていたんだよ。ほんとほんと。


「よだれ垂れてますよ」

「おっといけね」


 ……さてと、ご飯にするか。


 いつも通り購買で買った昼食を食べ終えたら、魔法実技の為に外へと出る。


 教師が来たら授業が始まるが、この間までの定型化された呪文魔法を次々教えていくのではなく、今まで教えたものを復習するような内容だった。


 そして15時の鐘が鳴り自由実技に移る。すると一人の生徒が教師の元へ行き、習った魔法を順番に使って教師に評価を貰っていた。今までは教師が回って生徒を見ていたけど、なんだかいつもと違う。


「何あれ?」

「単位認定。昨日、始まった」


 リティに訊いてみると、どうやらあれは単位認定のための試験をしているみたいだ。昨日で今学期習う呪文魔法は全て一度は教えたから、それが出来るようになった人からああやってテストするみたいだ。


 その授業の単位を取得すると、自由実技は参加自由となる。また、魔法実技の時間は選択授業だが、一度選んだから変えられないということもない。いつまで経ってもスキルを習得できなかったり、逆に早く習得して単位も取得した場合には他の属性の授業に自由に移ることができる。


 俺は結構進みが早いほうだけど、昨日休んだから習ってない呪文魔法があるな。


 リティに訊いてみたけど、リティはまだその魔法は使えないから教えられないと言われた。

 教師は今手が離せなさそうだしどうするか。それ以外の呪文魔法は一応は全部使えるようになってるから、早いとこ残りも覚えて単位を貰いたいんだけどな。


 周りをきょろきょろ見ていると、目立つ容姿の子が目に入る。ついその子を見ると偶然目が合った。

 その子は軽くウェーブの掛かった金髪に金の瞳をした女の子で、何より猫のような耳と尻尾が特徴的だった。

 その子は少し眉をひそめると、睨み付けるような眼差しをして口を開く。


「……なににゃ」

「ニャ?」


 口調も猫なのかな? と思っていたら、その子はカッと顔を赤くする。


「何かと言ったの!」


 どうやら語尾を噛んだだけみたいだ。その真っ赤な顔を見ると悪いことしたかなと思ってしまう。


「ああいや、昨日授業に出なかったから分からない魔法があって」

「授業に? 用事でもあったの?」

「そういうわけじゃないんだけども」

「じゃあ体調不良?」

「いやあ、寝坊しただけなんだよね」


 というかこの子、制服を着てるんだよな。学園の制服は貴族の人のみ配られる。

 つまりこの子は貴族。午後の授業は貴族とも合同なんだよな。グラウンドが広いからこれまでは特に関わることも無かったが。平穏無事に過ごすには貴族とは関わらないというのがこの学園の鉄則だ。


「? なんで寝坊して午後の授業に出られなくなるわけ?」

「起きたの15時過ぎだったから」

「学園があるのにそんな時間まで寝ていたの!?」


 猫耳っ子はちょっと怒った雰囲気に。やべえ、貴族が怒った。


「理由もなくそんなに遅刻してくるなんて、学園生としての自覚が足りないんじゃないの!」


 ごもっともです。はい。

 だけど一つだけ勘違いしているところがある。


「俺は遅刻してないよ」

「え? 15時過ぎに起きたんでしょ」

「そう。だから昨日は学園に来ていない」

「まだ授業はやってたでしょ! 丸一日サボるなんて信じられニャい! ……ない」


 声を荒げた結果また噛んだ。そしてまた怒り以外で顔が赤くなる。怒られているわけだが、見た感じ年下なのと舌っ足らずなところがあるせいで怖くない。

 でもこの子は怖くなくても、貴族の権力は怖い。なんとか宥めないとまずいな。


「悪かった反省してます。もうしません」

「本当に?」

「…………(スッ)」

「反省してにゃい……じゃない!」


 つい目を逸らしてしまった。今ニャって言ったの自分で気付いたけど無かったことにしたな。

 それにしてもこうなるともう、どうすればいいか分からない。ここで逃亡したら後々が怖いしなあ。


「アカリは、一人じゃ起きれないの。許してあげて」


 と、そこでリティがフォローに入ってくれた。フォローの内容は心底俺が情けなくなるものだが。


「一人で起きれないって、子供じゃないんだから。それに、自由実技はサボったじゃない」

「それは……アカリが悪い」


 リティさーん!? フォローに入ってくれたんじゃないの!?


 くっ、この案件は俺に分が悪すぎるぜ。結局はサボった俺が悪いから相手の発言を一切否定できない。

 残された選択肢は平謝りを続けるか、不良男児よろしく「っせーな、お前には関係ないだろ」的な発言くらいしか思い浮かばない。


「じゃあ、どうしたら許してあげる?」


 リティが猫少女に質問する。


「それは、きちんと反省して今後は気を付けてくれれば……」


 質問されて冷静になったのか猫少女から怒りが消える。熱くなりやすくて冷めやすい性格なのかもしれない。


「分かった。以後気を付けます」


 反省の色を示す。

 これで一件落着。流石リティさん、助かりました。


 けれど、この場から離れようとしたら猫少女に止められる。ま、まだ何か?


「魔法、分からないんでしょ? 教えてあげる」

「え? いいの?」

「……まあ、分からないままじゃ授業に遅れも出るし」

「そっか、ありがとっ」



=====



「あ、名前訊くの忘れたな」


 授業が終わり、校舎へ戻ったときに猫少女との自己紹介を忘れていたことを思い出す。


「わたし、知ってる」

「ん? リティ、あの子のこと知ったの?」


 リティはコクリと頷く。知り合いって感じじゃなかったし、有名な人物だったのかな。


「スーロメルト・イトラース。この国のお姫さま」


 え!? あの子、王さまの娘だったの!?

 あの王さま猫耳なんて生えてなかったぞ。……いや、それはいいか。

 お姫様ってことは貴族より上じゃないのか? 王族とか一番怒りを買ってはいけない相手だ。


 あっちから自己紹介してこなかったのも、俺の名前はリティが言ってたし、お姫様だからあんまり自分から名乗ることが無かったのかも。


「リティ、フォローしてくれてありがとう」

「うん」


 リティはそんな相手だと分かっていて助けてくれたんだな。そう考えると嬉しくなった。



=====



 寮に戻り、夕食を食べて風呂に入ったら自室でトレーニング。


「ユユってこっちに来れないの?」


 この世界に来た当初に、すぐには行けないと言っていたが今もまだ来れないんだろうか。


《私からそっちに行くのは難しいねー》

「前の世界ではいっつも会えてたのに」

《それはそもそも、神界に帰ってなかったからだよ。ずっとあっちに行ったままだったの》


 それで大丈夫なのか、神様。


《でもでも、アカリの【空間魔法】が上がればそっちから私を呼べるようになる筈だよっ》

「え、そうなの?」


 完全に放置してたスキルじゃん。そういうことなら優先的に熟練度上げをしたのに。


《他にも幾つかそっちに行く方法はあるけど、それが一番楽だね》

「よし、なら今まで以上に【空間魔法】を使っていこう」


 というわけで今日のスキル上げは【空間魔法】をメインに行う。

 その前に【瞳の魔眼】で軽く町を見る。他のスキルもちゃんとレベル上げしないと。


 それが終わったらいよいよ【空間魔法】だ。

 だけど普通に使ったらあっという間に魔力が尽きて練習にならない。

 なので今回は【範囲魔法】と合わせて使う。


 【範囲魔法】はスキルを補助するスキルなわけだが、空間転移は普通に転移元と転移先をある程度自由に設定できるから、今まではこの二つを合わせても意味が無いと思っていた。

 しかし、【範囲魔法】の神髄は魔法発動の一工程を手動で行い、その工程には僅かしか魔力を消費しないことだと最近気づいた。

 これなら使用魔力を通常よりも抑えることができるというわけだ。


 魔力の輪っかを二つ作り、片方の中に入る。それから、その輪を空間転移の転移元と転移先にそれぞれ設定。それを基に空間を繋ぎ――転移。


 一瞬光に包まれ、その直後に少しだけ離れた位置に転移した。


「よしっ、これなら発動時に多少魔力を使う程度で発動できるな」


 流石に【火魔法】でやったときよりも魔力は使ったが、それでも十分実用できるレベルまでコストが下がった。

 ……転移元と転移先の両方に直に線を引きに行かなきゃいけなくて、何処に飛ぶか他人にも分かってしまい、使う意味があるか微妙だがそれでも成功は成功だ。


 これを繰り返すことで【範囲魔法】と【空間魔法】を同時にスキル上げすることができるようになった。

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