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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第二章 迅雷の勇者
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22 転移者と転生者

 『勇者』と話す内容には、リティの知らないことも出てくる。

 そのためリティには先に寮に戻ってもらって、俺は『勇者』と共に高級そうな旅館に入った。

 そして料理が並べられて、二人だけになったら先に『勇者』が口を開く。


「ま、食べながら話そうぜ。俺のことは名前で呼んでくれ」

「分かった。俺はアカリだ」


 そう言えばまだ名乗ってなかったと気付いたが、相手はステータスを見れるから関係なかったな。


「しかし、こんなところで同じ日本人に会えるとは思わなかった。俺は『勇者』としてこっちに来たけど、アカリはどうだった?」

「俺は向こうで死んで、転生してきた」


 称号にも『転生者』とあるし、『勇者』――ダイキはこの称号なんかも見て俺が同郷だと気付いたんだろうな。

 その後、お互いにいつこの世界へ来たかなどの情報を交換する。


 ダイキが転移してきたのは2か月程前のことで、元の世界で突然神様にこっちの世界へ来ないかと誘われ、半信半疑だったけど結局は同意して異世界転移をしたらしい。

 今はこの世界を知るために各国を見て回っているそうだ。


 転移する前は普通の高校生だったらしく、話しているうちに俺の警戒も解けていった。


「そういや、アカリが俺のこと見たときやたら警戒していたけど、そんなに怪しく見えたか?」

「ん?ああ」


 そっちはそっちで俺の行動を疑問に思っていたらしい。

 ステータスを見ることができても、そのスキルをいつ使ったか、どういう効果を発揮したかは分からないみたいだな。なら――。


「それはな、ちょっとステータス開いて見てくれる?」

「こうか?」


 ダイキは言われた通りにステータスを開く。ちなみに、俺は最初からずっと片目だけダイキに魔眼を使ったままだ。



名前 ダイキ・ミナミサワ

LV 28

種族 人族

年齢 17

性別 男

【スキル】

全知全能4

物質保存-

身体強化3

雷魔法10

雷身化3

水魔法4

【加護】

武神の加護

雷精霊の加護

【称号】

勇者

転移者

異世界人

雷の化身



 ダイキの視界から俺もステータスを盗み見る。

 勇者と言うだけあってなかなか強そうなスキルを持ってるな。ドワーフでもないのに【身体強化】を持ってるし。


「この【全知全能】ってどんなスキルなんだ?」

「ああこれ? 全部の武器を扱えてってなんで俺のスキル分かんの!?」


 ちっ、途中で気付いたか。


「相手が見ているものを、俺も見ることができる」

「もしかして【瞳の魔眼】ってやつの効果か?そんな効果だったのか……」

「まあ、そっちも俺のステータス見てたしお相子ってことで。それで結局どんなスキルなの?」

「んー、まあいいか、これは既に見せてるし。【全知全能】は全ての武器を扱えて全ての情報を知ることができるっていう、ようは武器種系スキルと鑑定系スキルを総合したスキルだな」

「なるほど、このスキルでステータス見てたのか」

「そゆこと。全知なんて言っても実際は見たものを鑑定するだけだから、視界の邪魔にならない程度に常に使ってるわけ」


 それで武器種系スキルというと、剣術や槍術、槌術とかか。このスキル一つで幾つものスキルと同じ働きをするというのは破格のスキルだな。


「後は教えねーぞー。特殊ユニークスキルは人に軽々しく教えるもんじゃないと前に注意受けてるし」

「残りは大体名前で想像つくし」


 でも【雷魔法】レベル10か。そこまで行くとどんなことできるんだろうな。それはちょっと気になる。


「こっちだけじゃ不公平だ。そっちも何か教えろよ。俺お前の年齢のところ思わず二度見したぞ」


 ステータスの表記は0歳だからな。見た目10代なのに。


「【状態魔法】で肉体年齢を変えれる」

「ああ、それでか。『状態』ってのが何を示しているのか微妙だが」


 確かに【状態魔法】のスキル名は少し疑問に思っていた。だってこのスキル、性別まで変えれるんだぜ? 性別って状態? 状態の概念が崩れる。


「後は何ができるんだ?」

「もう既に一つ教えただろ。それに【瞳の魔眼】の効果も言ったし」

「それもそうか」


 情報交換はそこまでとなり、それからはこの世界についていろいろ話した。

 食べ物や言語、文化など前の世界と繋がりのあるものばかりだから前の世界との違いや共通点を話すのは結構盛り上がって楽しかった。


 そしてようやく、テーブルに並んだ料理が無くなってきた。けどもう満腹。


「ケーキ食べてクレープ食べた後だったから、かなりきつい。あとあげる」

「ちょっ、そういうのは俺がおかわりする前に言ってくれよ」


 結果、二人で苦しみながら完食した。高級なところだし、美味しかったけどもっとお腹空いてるときに来たかったな。


 最後にお互いの滞在場所を教え合い、また今度会おうということで今日は別れた。



=====



 次の日、普段通りに学園へ登校する。今日は・・・遅刻せずに済んだ。


「おはよー」


 教室へ入り挨拶をする。カルテとリティは既に席に居る。


「おはよう、昨日は、あの後どうしたの?」


 昨日リティと別れたときは、俺はまだダイキのことを警戒していたからリティに説明とかする前に帰したんだよな。


「昨日何かあったんですか?」

「『勇者』と、会った」


 リティの言葉にカルテだけじゃなく、聞こえていた周りのクラスメイトまでリティの方を見て驚きを露わにした。

 リティはそれに構わず続ける。


「そして、『勇者』とアカリで、どこか行った」


 周りの視線がリティから俺へと流れてくる。あー、なんて言おうか。


「いやね、美味しいご飯奢ってくれるって言うから付いてっただけだよ。その後も普通にご飯食べただけ」

「あの、まずそうなった理由から知りたいんですけど」


 カルテに追及を受ける。そりゃ初対面でいきなり奢る話になったらおかしいか。

 でもそうなった理由は俺が『転生者』だからなんだよなあ。流石にそれを素直に言うわけにはいかない。


「……偶然ってことじゃ駄目?」

「……言えないなら、別にいいですけど」


 上手い言い訳を思いつかなかった。午前中は頭が働かない。

 けれどカルテもそこまで踏み込む気は無いようでそれ以上は訊いて来なかった。


「……」

「ん? どうかした?」


 気付いたら、リティが俺のことをじっと見ていた。

 リティはふるふると首を振って否定をする。そこで鐘の音が鳴り、話はそこまでとなった。



=====



 午後になった。今日の授業は半分くらいは聴けたかな。

 今日の昼は食堂で食べることになったので、寮へ戻って一人で食べた。


 そして午後の魔法実技。

 定型化された呪文魔法を習い、鐘がなったら各々復習を始める。


 俺も【火魔法】の練習をする。この時間は【火魔法】以外の属性魔法でも、その他のスキルの熟練度上げでも構わないのだが、【範囲魔法】は結構やばいスキルだと判明したため、堂々と練習するのは避けることにした。


 普通に使ってるのを少しくらい見られても問題ないとは思うが、練習で何度も、いろんなことをしているのを見られるのはスキルの全容を把握される恐れがある。


 【瞳の魔眼】は人には知られたくないスキルだし、【状態魔法】は効率のいい熟練度上げが思いつかない。自傷して復元を繰り返すなんてやったらリティになんて言われるか分からないし。


 残りの【空間魔法】だが、文献には載っているけど実際に持っている人が確認された事が無いというある意味有名なスキルらしい。そのことを知る前にうっかり名前を出さなくて本当よかった。常識って大事だね、学園に通ってて良かったわ。


 【火魔法】を練習するのは、覚えたてで伸びが早いというのも尤もな理由だが、俺の場合消去法で今できるのはこれしか無い。


 そんなわけで黙々と炎を生み出す。【火魔法】は【空間魔法】程じゃないが魔力の減りが早い。魔力を半分くらい消耗したところで一旦休憩。

 日陰で座っていると、リティも休憩にやってきた。少しずれて日陰にスペースを作り、そこにリティも座って二人で寛ぐ。

 軽くリティの方を見ると、リティもじっと俺の顔を見つめていた。


「? 顔に何か付いてる?」


 今朝も同じように見ていたけど。

 リティは首を左右に振った後、口を開いた。


「同郷って、あの人が言ってたから」

「ああ、そのことか」


 ダイキが髪と眼が同じだと言ってたからそれを見ていたのか。


「『勇者』の故郷は、異界」


 確かにその通りだ。『勇者』と同郷ということは、元はこの世界の人間じゃないということになる。

 リティに転生のことを言うか?


「偶然、特徴が同じだったみたい」

「偶然?」

「そう、偶々髪と眼の色が同じだっただけ」

「じゃあ、日本っていうのは?」

「『勇者』の故郷の名前か? いや、前に何処かで聞いたことがあったんだよね。それであいつが『勇者』だって気付いたわけ」


 結局俺は『勇者』と同郷だというのを否定した。別に教えても問題ないとは思ったが、自分の普通とは違うところを伝えるのは、なんだか勇気が足りなかった。

 今朝とは違い、言い訳もすらすら出てくる。


「そう、なの?」

「ああ、まあお陰で『勇者』と知り合いになることができたのはラッキーだったな」


 少し違和感はあったかもしれないが、リティにはそれで納得してもらえた。

 その後、少し話したらまた練習に戻った。

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