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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第二章 迅雷の勇者
20/112

19 属性魔法

 12時の鐘が鳴り、午前の授業が終わる。お昼の時間だ。


「リティ、昼飯はどうするの?」

「購買か、寮の食堂」


 この学園は昼になると校舎で昼食の購買を開く。食堂はすぐ近くの寮にあるため、学園内には無く、生徒の大半は購買で買ってどこかで食べるか一度寮に戻って食堂で食べることになる。


「食堂は男女別なんだよなあ。一緒に購買で買わない?」


 寮に行くとまた一人だ。周りに人が居るからユユと気兼ねなく話すこともできない。

 リティは俺の言葉に頷いて返事をした。


「よし、じゃあ早速購買に行くか。ん? なんだカルテ」


 気付いたらカルテがジッとこっちを見ていた。


「いや、昨日も思ってたんですけどなんかアカリさん、リティさんにベッタリですよね」

「そうか? 普通じゃね?」


 リティとは友達だしな。仲のいい友達はいつも一緒にいるものだろう。


「普通ですかね?」

「何をそんなに考えてるんだか知らないけど、そんなことよりカルテは昼どうするんだ?」

「あ、私もご一緒していいですか?」

「分かった。じゃあ早いとこ買いに行こう」


 三人で教室を出て購買へ向かう。俺は言い出しっぺだけど購買の場所が分からないから二人の後に付いていく。

 一階へ行くと、玄関に購買が開かれていた。たくさんのパンや飲み物が並んでいる。


 購買は混み合っていて惣菜パンの取り合いとなってるな。早いとこ取らないといいのが無くなりそうだ。

 三人で人混みに突撃。リティは持ち前のパワーとコンパクトさで奥へ押し進み、カルテは相手の動きを読んで隙間に入っていく。――そして俺は人混みに弾かれた。


 くっ、技量が足りない!

 だが諦めるわけにはいかない。朝飯抜きだったし購買にしようって言った言い出しっぺだし。

 こうなったらスキルを使う。


――【瞳の魔眼】開、眼! 取り敢えず前のほうの人の視界を覗く。


 遠目ではよく見えなかったパンの種類を確認。あらかじめ獲物を決める。

 そこへの最短ルートを選び肩を入れる。――が、パンを買って出てくる人に当たって押し戻されてしまう。


 なら、もう一度片目で魔眼を発動! 俺の少し後ろに居る背高ノッポの視界で俯瞰的に自分とその周りを観察する。

 人の流れを上から観察し、再度突入。上手くジグザグに進み、先頭に到着。素早く目的のものを取って購買の人にお金を渡す。ミッションコンプリート。


 人混みから抜け、辺りを見回してリティ達を見つける。二人とも既に買って待っていたみたいだ。

 合流して一緒に教室へ戻る。


 自分の席に座ってパンを食べる。カルテは椅子をこちらへ向け、リティは机を近づけて談話モードだ。苦労して取ったパンは旨いなあ。

 もそもそとパンを食べているとカルテが口を開いた。


「お二人は午後、何の授業を受けるのですか?」

「わたしは、火属性」

「俺はまだ決めてないなあ」

「え?アカリさん決まってないんですか?もうお昼休み終わったらすぐ属性ごとに分かれて授業ですよ」

「そんないきなり? 説明会とか無いの?」

「いきなりも何も学園が始まる前に決めておくものですよ。それに最後の説明ならさっきの授業でしてたじゃないですか」


 そんなこと言ってたか? ……ああ、途中から授業の記憶が無い。


「じゃあカルテは何にするんだ?」

「私は水属性にします。氷は水の派生属性なので」


 リティは火、カルテは水か。

 選択授業は最初、火・水・風・土の四大属性のどれか一つを選ぶ。この四つは後天的にも得られやすい魔法スキルらしい。


「アカリ、どうするの?」

「んー、じゃあ火属性で」


 リティも火属性にするらしいし。


「アカリさん? 今リティさんと同じだからって決めませんでした?」

「駄目なの?」


 仲間内で同じところに行くというのはよくあることだと思う。選択授業然り、部活然り。


「そんな適当に決めちゃ駄目ですよ。属性魔法は習得すると、自身の魔力の質でその属性が強くなってしまいますから、二つ目以降の属性の習得はだんだん難しくなるんですよ。だからちゃんと将来を見越して自分に合った授業を選ばないと」


 駄目出しを貰ってしまった。

 だが将来を見越してと言われてもさっぱりだ。明日の自分すら見えてこない。

 なので、周りの意見を参考にすることにした。


「じゃあリティはどうして火属性なんだ?」

「鍛冶に、必要」

「なるほど」


 理由みじけぇ。でも一発で納得できたわ。


「カルテは?」

「私は元々、生まれつき【氷魔法】が使えたので、取り敢えず同系統の属性を覚えたいと思いまして」

「なんか消極的な理由じゃねぇ?」

「というか、私の魔力の質が既に水属性側に偏ってると思うので水と他の属性とでは難易度が違うんですよ」


 カルテは参考にならないな。

 リティは職人を目指しているみたいだからそれを見越して選択している。俺が目指すものってなんだ? ……特に思いつかない。


 なら今の自分に不足しているものを考えるか。魔法を使うとしたらやっぱ戦闘かな。

 防御は【状態魔法】があるからノーガード戦法で大丈夫。やはり攻撃かな、力が足りていない。


「というわけで火属性に決定」


 結局変わらず。無駄な思考時間だったな。



=====



 チャイムが鳴って昼休みが終わる。

 チャイムあったんだな。鐘だけかと思ってた。


 魔法の実技の授業は外でやるため、三人でグラウンドへ向かう。

 グラウンドは大きく四つに区切られている。属性ごとに離れて授業するみたいだ。

 火属性の場所へ着いたのでカルテとはお別れ。


「じゃ、頑張ってな」

「またね」

「お二人は結局一緒なんですね。私だけ一人……」


 寂しそうな背中を見送る。じゃあなカルテ、俺はリティと楽しくやってるよ。


 その後少し待つと、教師がやってきて授業が始まった。

 教師が一度【火魔法】の手本を見せてから発動までのやり方を説明、後はその通りに各自練習することになった。

 どうやら魔法の発動を補助する魔道具があるみたいだが、生徒の人数に対して数が足りていないため順番に使うみたいだ。


 俺達のところには、まだ魔道具が来る様子は無いから暫くは自力で練習だな。

 先ほど教わった手順を辿っていく。


 まず自分の中の魔力を感じ取る。

 次に魔力を右手に集中。

 そして火のイメージをしながら魔力を体の外へ放出。……出ない。


 魔力を体の外に出すことができない。さっきの教師の話によると、魔力を放出するのは魔法系スキルの基本的な発動方法だそうだ。逆に、魔法系スキルや魔道具が無いとこれができないらしい。


 まあ、一発目だししょうがない。

 元々魔法系スキルを持っていて、既に何度も使っているおかげか魔力を集中させるところまではできていると思う。繰り返し練習を続ける。


 暫く練習して、授業も終わりが近づいてきた。

 ずっとスキルの練習をしていて、なんか凄い疲れた。魔法は発動していないから魔力は減らないが、魔力を集中し続けるのは結構体力を消耗するみたいだ。

 だけどもうすぐ授業も終わるだろう。あと少し、気合い入れて頑張るか。


 燃え上がる炎を想像しながら魔力を放出すべく力を籠める。永延とイメージを続けて、俺の脳内では右手が大炎上を起こしている。


 ――出ろ出ろ出ろ出ろ。


 開いた掌を必死に睨み付ける。

 すると、掌から魔力の羽根が出現する。お、これは。

 羽根はどんどん溢れ出てきて、ひらひらと風に流れていく。その羽根の奥に小さな火の粉が見えた。


「出てきた出てきた」


 逸る気持ちを抑えながら、教師の言葉を思い出す。

 魔法の発動方法として、ある程度定型化された魔法を使うことで安定した効果を発揮させる呪文魔法と言われるものがある。これらは統一された魔法名を発動のキーとして唱える。


 授業の最初に教師が使ってみせた、【火魔法】の初歩の呪文魔法の一つをイメージして唱える。


「――『ランプ』!」


 掌から溢れ出ていた火属性の魔力が魔法の形となる。

 魔力の羽根は消え、手の中には小さな灯火が残った。


「アカリ、成功した?」


 リティが声を掛けてくる。いつの間にか様子を見ていたらしい。


「ああ、成功、だと思う」


 初めてなものだから本当にこれで良いのかなと、何となく不安に思ってしまう。

 なんだか落ち着かなくて周りへ視線を移すと、こちらの様子を見た教師が近づいてきた。


「おお、習得できたみたいだな。どれ、ステータスを確認してみろ」


 ああ、ステータス見ればスキルを習得できたのか一発で分かるのか。

 灯火を消して、言われた通りステータスを開く。



名前 アカリ・ユミツキ

LV 14

種族 人族

年齢 0

性別 男

【スキル】

状態魔法4

空間魔法3

範囲魔法2

瞳の魔眼3

火魔法1

【加護】

死神の誘い

空間神の加護

空間神の寵愛

【称号】

転生者

祝福されし者

死を招く者



 おお、ちゃんとスキルが増えてる。無事習得できたみたいだ。


「どうだ、載ってたか?」

「はい、ちゃんとありました」

「そうか!お前が一番乗りだな。かなりの量の魔力結晶を放出していたようだし、優秀で何よりだ」


 教師がそう言ったところで18時を告げる鐘が鳴った。


「ちょうど授業の終わりだな」


 そう言って教師は前のほうに戻っていった。本当ちょうど良いとこで終わったな。

 魔道具を回収して授業の終わりを教師が告げたら解散。これで今日の授業は終わりだが、荷物を取りに皆校舎に戻っていく。


「わたし達も、戻ろ」

「そうだな」


 俺達も校舎へと歩き出す。

 凄い疲れた。魔法を一度発動させただけだが結構な魔力を消費した。かなりの量の魔力が結晶化していたし、無駄に流した分が多いんだろう。

 心身共に疲労していたが、それに加えて魔力を消耗してもうへとへとだ。眠い。



=====



 教室に行くと、カルテが既に戻ってきていた。


「よーカルテー、そっちはどうだった?」

「はい、無事習得できましたよ。そっちこそどうでした?」


 え? 何、そんなあっさり? 俺なんかへとへとのくたくたになってやっと習得できたのに。


「わたしはまだ」

「俺はなんとか習得できた。俺はかなり疲れたんだけどカルテは元気そうだな」

「まあ、相性もあって割とすぐに習得できましたからね」


 カルテは事も無さげにそう言った。

 ……自分が苦労したことを簡単にこなされると、ちょっとイラっとするよね。



=====



「この世界に来てから、果物くらいしか甘い物食べてないなと思った」

《甘い物ならそれなりにあったと思うよ?》


 夜になって寝支度を済ませた後、イラっときたついでに思いついたことをユユに話す。

 今日は疲れたからスキルのレベル上げはお休み。


「考えたらお菓子とか食べたくなってきたな」

《探せばそういう屋台とかあるんじゃないかな》

「今度リサーチしてみるか」


 その後は、日本のお菓子の話をしてから眠りについた。

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