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プロローグ

「なんでまた死んでるの!」


 開口一番に怒られる。

 俺は今、距離感が全く分からなくなりそうな真っ白な場所に居る。それで目の前の女の子は神様だ。比喩じゃなく。

 10歳位の容姿で腰まで伸びた、部屋と同化しそうなくらい真っ白な髪に桜色の瞳をした小さな女神様は、向かい合う俺を見上げて目尻を釣り上げている。


「いや、なんかごめん。気を付けてはいたんだけどバイクに轢かれちゃって」

「うー、また轢かれたの? 何回目?」

「車とかには5、6回は轢かれたかなあ」

「もう自分から突っ込んでるんじゃないかって思われない?」

「むしろ車とか避けて生きてるんだけど。俺ほど乗り物に警戒して生きている人間はいないよ」


 それでもまた轢かれる。

 今回は坂道でハンドブレーキを忘れたのか、加速しながら迫ってくる無人トラックを避けたところを後ろから来たバイクに撥ねられた。曲がり角での出来事だったため、死角からの不意打ちのダブルコンボだった。

 それでこの白い場所に来た訳だが、ここへ来るのは3回目だったりする。

 毎回死んでは此処へ来て、この子――ユユに蘇生してもらっている。


「でもごめん。わざわざ生き返らせてもらったのに何度も死んで」

「死んだのはアカリのせいじゃないし、怒ったのも悪かったと思うけど、その……」

「その?」


 なんだか歯切れが悪い。凄く言いにくそうな顔をしたユユだったが、ポツリポツリと口を開く。


「今までは、その、アカリが死んですぐに手をまわして蘇生してたんだけど、今回は知らない間にアカリ、こっちに来てて世界がアカリの死を認識しちゃってるの」

「……つまり?」

「ここの世界、融通きかないから、私じゃもう蘇生できないの」

「あー」


 何度か蘇生してもらったけど、今回はもう蘇生ができないと。

 まあ元々、死んだのに生き返してもらえるほうがおかしい。ユユの蘇生は友達としての善意からだったし、それができなくなってもそれは当たり前のことだと受け入れるべきだろう。

 そう考えると本当に死んでしまったことをだんだんと実感してくる。


「そういえば、死んだ後ってどうなるんだ?」

「普通に魂をリセットして転生するよ」

「ああ、輪廻転生」


 完全消滅とかよりはマシかな?

 でもどっちみち俺の人格やらなにやらは消えるのなら変わらない気もする。

 そんなことをぼんやりと考えていると、ユユが真面目な顔をして声を上げる。


「そもそもアカリはおかしいよ。こんなに死ぬなんて変」

「変って言われても。俺も自覚はあるけどさ」

「たぶん蘇生できてたとしても結局また死んでたと思うの」

「俺ってそんな不幸の星に生まれたの?」

「うん。だからね――」


「私の管理してる世界に招待するよ!」


「……え? 俺もう蘇生無理なんじゃないの。というか他所の神様だったの?」

「アカリの住む世界は私とは関係ない世界だよ。お忍びで遊びに来てたけど」


 マジか。何年も前から知り合いだったし、人に紛れてあれだけ入り浸ってたのに。

 神様って暇なのかな、薄々思ってたけど。


「それでね、この世界はルールに厳しくてもう蘇生できないけど、私の世界ならアカリの体ミンチになったし転移は無理だけど、記憶を持ったまま転生って形にならできるよ!」

「待って、俺の体ミンチになったの!?」

「さっき見たらね。バイクに轢かれてトラックに突っ込んだみたい」


 なんで後ろから来たバイクに轢かれて横に避けたトラックに突っ込んでるんだ。

 ああでも、トラックとはまだ少し距離があったから、勢い良く吹っ飛べばいけるか。今思えば絶対速度オーバーしてたよあのバイク。じゃなきゃ曲がり角で人吹っ飛ばす速度なんて出ない。


「まあ体の一部がちょっとモザイク必要になってたけど。それよりどうかな転生っ。記憶とかそのままだし、あっちの世界ならまたすぐ死んじゃったりしないようにすごい力をあげたりできるし」


 ユユが期待の籠った目を向けてくる。それよりって、俺の死体の扱い軽いな!

 しかし転生してくれるというのは素直に嬉しい。記憶ありで異世界への転生か、全てまっさらにする輪廻転生だったら迷う必要もないくらいだ。ユユの言うことだし悪い話ということも騙すつもりもないだろう。


「じゃあお願いするよ」

「わかった! えへへ、これでまた一緒に遊べるね」


 俺の返事にユユは嬉しそうにそう言って、早速転生の準備を始めた。

 俺の蘇生ができないと言っていたときはものすごく沈んでいたが、もう既にその影はなく笑顔だ。

 ユユは早速転生の準備を始めた。手を広げ、目を閉じて集中する。

 ユユの体に光の球が集まりだし、光の球にユユの体が包み込まれると一度大きく光が瞬いた。

 その光に照らされ、目を細めているとそのまま視界がぼやけていき、体の感覚も消えていった。

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