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惚れ薬  作者: 谷藤灯
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仕事

逆木家の玄関扉が勢いよく開き、ついでリビングの扉も勢いよく開き、壁にぶつかってまた少し閉じて半開きの状態になる。

リビングのソファで寛いでいた烈を見つけ、叫ぶ。


「あんた!私の仕事勝手に取り上げないでよ!!」


「続けたかったのか?」


菜穂は、仕事場からもう来なくて良いと言われてしまった。

売り上げが悪いはずはない。と、思いたかったが、どこかの若社長のせいで、菜穂以外の売り上げが伸びてしまった。

よって、菜穂の売り上げが最下位になってしまったのだ。


「そりゃ、そうよ!仕事見つけなくちゃならないじゃない!」


「だから言っているだろう。俺に金を出させれば良いと」


「嫌って言ったわよね?」


思わず、菜穂は烈の襟首を掴む。

その手を烈は、振り払うでもなくただ、自分の手で包むだけ。


「俺の気を惹くだけの簡単な仕事と割り切れば良い」


「し、仕事?」


「エロオヤジ共よりも格段マシだと思うが」


「そりゃ、そうだけど」


「俺の恋人として振舞えば良い。そうすれば、住む所も生活費も、その他の服や化粧品も俺が保証してやるのに」


烈の表情は、いつもと変わらないのに瞳に浮かぶ光が違う。

どこか、自信が無さそうで、迷いがある。

まるで拗ねている子どもが無理に感情を抑えようとしているようだった。


その瞳に、菜穂は負けた。


「……わかった。ここに居る間だけ、生活費は出してもらうわ」


「了解した。このカードを使え。お前名義にしてある」


「え?作ってたの?」


「あぁ、実験協力に対する報酬だ。生活費に関しては後で振り込んでおこう。

因みにこれは俺の薬の効果が切れても、無くなる事は無い。

菜穂の金だ」


金に関しては、烈は適正だ。

確かに、薬の効果が切れても、保証はしてくれるだろう。


(……実験の対象協力としての報酬と生活費の保証。

受け取って、当たり前だわ。なんなら、竜の事で、賠償金も払ってもらわないといけないくらい……なのに)


烈が渡してきた暗証番号の付箋付きのカードを受け取るのに躊躇する。

が、暫く間があったが、受け取った。


菜穂は心苦しく感じてしまった事に、自分で困惑した。

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