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WOЯLD -ワールド-  作者: 柾木灑斗
Episode.1「ディアブル基地編」
6/6

Act.3「新たな仲間達」

遅くなりました、3話目です。

 まさかこんな所でラヴィと再会するとは夢にも思わなかった。

 ちなみにラヴィとはラヴィニアの愛称だ。


「ラヴィも軍に入ってたとはね」


「私も、バイロンがここに来るって知ったときはびっくりしちゃった」


「いつからここに?」


「ここに来たのは半年前だよ。101部隊が結成されたのもその頃」


「じゃあ、まだ出来て間もないんだ」


「そうだよ」


 そんな会話をしつつ、101部隊の隊員達が待つ食堂を目指し、廊下を歩く。

 食堂は1階にあるらしい。


「101の人達はどんな人がいるの?」


「うーん……一言で言えば、変わり者?」


「か、変わり者……?」


「そう。変わり者」


 変わり者って、変人ということか?

 そういう人達の集まりなのか?

 いや、まさかそんな。ただ一人一人の個性が強いだけだろう。きっとそうだ。


「それって……個性豊かってこと?」


「まぁ、よく言えばね」


 よく言えばって……悪く言ったら何なんだ。


「あっ、もう着いちゃった」


 話していたら、いつの間にか食堂前まで来ていた。

 この扉の向こうに新しい仲間が待っている。


 実を言うと、僕は怖かった。

 元々人見知りな性格のせいもあり、あまり……というより、かなり他人と話すことが苦手だった。ましてや年上の先輩方となるともっての他だ。

 入隊したての頃もそのせいで苦労したものだ。


「心の準備は出来てる?」


「うん。少し不安だけど……」


「悪い人達じゃないから大丈夫だよ。私も付いてるから。ほら、リラックスリラックス」


「う、うん。そうだね」


 僕は覚悟を決め、食堂の扉を開け放った。



ーーーーー



 食堂というだけあり、そこは中々広かった。

 さっきの司令室が3つ分くらいの広さだ。いや、もしかしたらそれ以上かも。


 だが広さ以外にも気になったところはある。

 それは壁に出来た弾痕でも、天井の黒ずみでもない。

 机だ。

 机が1つしかない。

 木製の長机が部屋の中央付近に縦に置かれていた。奥にはホワイトボードもある。

 机を挟むように椅子が並べられている。

 その椅子に5人の人物が座っていた。


 大柄でサングラスを掛けたスキンヘッドの黒人男性、短い茶髪にを生やした男性、眼鏡を掛けたサラサラな金髪が特徴的な男性、深緑色の髪をした小柄な女性、そして燃えるような赤毛とキラめくピアスやネックレスが目立つ男性だ。

 彼らが101部隊員のようだ。


 10の視線を浴びながら、ホワイトボードの前まで歩いていく。


 ホワイトボードの前まで来ると、隊員達の方を向いた。


「皆さん。彼がこの第101部隊に配属となった、バイロン・ナイトレイ一等兵です」


 ラヴィが簡単に僕の紹介をした。

 僕もそれに続く。


「ナイトレイです。よろしくお願いいたします」


 自己紹介をし、敬礼をした。

 すると、パチパチと拍手が鳴り響いた。


「ではナイトレイさん、お次は101部隊の紹介をします」


「は、はい」


 ラヴィの切り替えの早さに思わず戸惑う。

 やはり公私の区別はきちんとしているようだ。

 当たり前か。


「まずは101部隊の隊長を務める、タイタス・エフィンジャー大尉です」


 ラヴィがそう言うと、向かって左側の一番手前に座っていた黒人男性が立ち上がった。

 やはりこの人が隊長だったか。

 正直一目見たときから何となく予想はしていた。いかにも隊長らしいし。


「エフィンジャー大尉だ」


 よかった、いい人そうだ。

 何となくわかる。


「お次はロドリグ准尉。副隊長を務めています」


 あれ?

 なぜファーストネームだけなんだろう?

 何かの事情があるのだろうか?


「ロドリグだ。よろしくなバイロン」


 短い茶髪の男性がロドリグさんというらしい。

 今まで気付かなかったが、彼の顔にはいくつか傷があった。

 ウォーカー中佐と同じように過去の戦闘で負ったものだろう。


「部隊の参謀役である、アルフレート・ハンズリーク曹長」


「ハンズリーク曹長だ。よろしく頼む」


 眼鏡を掛けた金髪の男性だ。

 それにしてもハンズリークという名前、どこかで聞いたことがあるような……。


「唯一の女性隊員、マーヤ・シベリウス伍長」


「……よろしく」


 深緑色の髪をした小柄な女性がボソッと言った。

 何だかぶっきらぼうだな……。

 まぁいいや。


「最後はカイ――」


「カイザーだぜ! ヨロシクな!」


 ラヴィの言葉を遮り、赤毛の男性が言った。


「はぁ……彼はカイザー・ホラント・ベルンシュタイン伍長です」


 ラヴィがため息をつく。


「なぁバイロン! お前どっから来たんだ?」


「え、えっと、カナダですが……」


「カナダか! 俺はドイツなんだ!」


「そ、そうなんですか」


 やけにテンションの高い人だな。

 まぁいいんだけど。


「以上が第101部隊の隊員です」


 どうやらこれで全員のようだ。

 ラヴィはこの部隊直属の上官、ウォーカー中佐の側近兼オペレーターなので、実際には101部隊員ではないとのことだ。

 階級もかなり上らしい。


「お次はこの施設のご案内をします。ナイトレイさん、行きましょう」


「はい。失礼いたしました」


 僕は101の隊員達に敬礼をした。

 すると隊員達も立ち上がって、僕に敬礼を返してきた。


「では、これでお開きにしよう。解散!」


「了解!」


 エフィンジャー大尉の号令に他の隊員が返事をし、その場は解散となった。



ーーーーー



 その後はラヴィから施設の説明を受けた。

 自室やシャワールーム、訓練所等、主に使用する所である。

 他にもこの基地のルールやマナーも教わった。

 起床時間、食事の時間、シャワーの使用時間、就寝時間等々。ほとんど入隊試験を受けたアラスカの国連軍ベースキャンプと大差はなかったが。


「説明はこれで終わり。分かった?」


「うん。ラヴィの説明がよかったから、全部理解できたよ」


「もう! 褒めても何も出ないぞっ!」


 何だかラヴィのキャラがおかしい気がする。

 まぁいいや。


「あっ、そういえば今晩のご飯は私が当番だった! そろそろ仕込みに行かないと。また後でねねバイロン!」


 そう言うとラヴィは手を振りながら去っていった。

 食事は当番制であり、その日その日で変わるそうだ。

 これまでは101の隊員5人とラヴィの計6人でやっていたため、1人だけ週に2回作ることになってしまっていた。

 だが、そこに僕が入ったため、週に1回ずつで回るようになった……とのことだ。

 ということは僕も料理を作ることになる。

 料理は多少できるが、やはりやるからには完璧でなくてはならない。なんせ先輩方に振る舞うのだから。

 何事も掴みは大事だ。

 後でラヴィに教わろう。


「よっ!」


「うわあ!」


 突然後ろから声をかけられ、驚きのあまり情けない声を出してしまった。

 振り向くと、ツンツンした赤毛とキラキラな装飾品が目を引く男性がいた。

 ベルンシュタイン伍長だ。


「ベルンシュタイン伍長ですか。僕に何か?」


「んなかてぇ呼び方すんなってぇ。気軽にカイって呼んでくれ」


「は、はぁ。カイ……さん」


「なーんかぎこちねぇが、まぁいい」


 結構気さくな方なんだな。

 いわゆる不良軍人というものかと思ったけど……。

 人は見かけによらないってことか。


「ちょうどヒマしてたんだ! ちょっと話さねぇか?」


「えぇ、いいですよ」


 僕も特にやることはなかったしね。

 それにうまくやっていくには他の隊員ともっと仲良くならないといけない。

 カイさんとはこれを機に打ち解けたいな……。


「お前カナダ人だったよな?」


「はい、そうですが」


「ってことはこーゆー暑いとこはダメなヤツか?」


「ダメという程でもありませんが、少々苦手ですね」


 正直アフリカには来たくなかった。

 理由は簡単、暑いからだ。

 昔一度兄に連れていってもらった東アジアですら暑くて大変だったのに。


「そうかぁ……じゃあこれから大変だな」


「そうですね」


 アジアでもダメだった僕がアフリカで平気なわけがない。

 今も少し汗ばんでいる。


「カイさんは暑さは平気なんですか?」


「オレか? うーん……平気っちゃ平気だな」


「強いんですね。僕もそんな風になりたいです」


 カイさんてドイツ人だったよな?

 ドイツって暑いのか寒いのか分からないな……。


「サンキューな。てかさっきから気になってるんだがよぉ」


「何でしょうか?」


「自分のこと"僕"って言うのやめないか?」


「僕のですか?」


「ほらまた!」


 やめろと言われても……。

 昔からこうだからな。


「男らしく"俺"にしろよ。そっちのほうがカッコいいぞ」


「お、俺……ですか」


「そう。俺」


「俺……」


 俺か……。

 結構いいかもしれないな。

 今まで出会った人に僕っていってる人はいなかったし。

 ほとんどの人が俺って言っていた。

 やっぱり男性は俺って言う方がいいのかな?


「出来るだけ意識するようにします」


「よろしい!」


 カイさんが親指を立てた。


「そういえば、訓練の方はどうなるんですか?」


 ふと気になって、訊ねてみた。

 ラヴィに訓練のことについて訊くのを忘れていたのを思い出したのだ。


「訓練? 訓練なんてねぇぜ?」


 それは思いもよらぬ答えだった。


 え?

 訓練が無い?

 何故だ?


「ここじゃあ訓練を教えるヤツがひとりもいないんだ。だから訓練は自分で好きにやるんだぜ」


 つまり自主練というものだ。

 ラヴィは特に何も言ってなかったんだけどな……。

 というかウォーカー中佐とかは教えるの上手そうなんだけどな。ベテランだし。

 それとエフィンジャー大尉も訓練教官とか出来そうな感じだけど……。

 こういうときにバーンズ教官がいればなぁ……。あの人だったらどんな相手でも一人前の兵士に仕立てあげるし。


「カイさんもやってるんですか?」


「おう! 腕立てとか腹筋とか懸垂とかな。朝晩は必ずやるぜ」


「昼間は何を?」


「昼か? ゲームしてるぜ」


 げ、ゲーム……。

 何というか……フリーダムな部隊だな。

 まぁその方が楽でいいんだけど。


「おっ、そろそろ時間だ」


「時間?」


「ああ、ちょっくらゲーム仲間(同志)の集いにな」


 同志。

 同志か。

 うん。

 分からんな。


「まぁなにを言いたいかっていうと、これから一緒にがんばろうぜってことだ」


「はい。ぼ、じゃなくて、俺も精一杯頑張ります」


 危なかった。

 また"僕"って言いそうになった。

 さっき意識するようにするって言ったのに、もう忘れていた。気を付けないとな。


「んじゃ、また飯のときにな!」


「はい。では」


 カイさんはそう言うと僕の肩をポンポンと叩いて、走り去っていった。

 元気な人だ。


 さて、これからどうするか。

 夕飯までは2時間ちょっとある。

 でも特にやることもないしな。

 とりあえず外で散歩でもするか。


 僕は外に出るため、ホールへと向かった。

全然話が進まねぇ(泣)。

なのでそろそろ戦闘入れようと思います。

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