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Simulated Reality : Breakers【black版】  作者: 高瀬 悠
ちょっと息抜き 番外編その2
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【番外編3】 アレな話


【昨日から街の様子がおかしい。何かの祭りの準備を始めようとしている。あたいがちょっと神殿に行って調べてくるから、もししばらく待ってもあたいが帰ってこなかったら、すぐに本を持ってこの街を離れな。

 できるだけ遠くに。──いいね?】


 ガーネラの街にて。


 俺はイナさんとの約束を果たす為、人通りのまばらな表通りの道を歩いていた。

 陽が昇ったというのにこの街の朝は遅いのか、どこの店もまだ閉まっている。

 たしかに昨日と比べると街の様子が少しおかしい。

 俺は着ていた外套衣のフードを目深に被り、辺りを警戒し歩き続ける。

 なるべく誰にも顔を知られないように。

 ふと、俺の右肩に居たモップ──おっちゃんが、反対の肩に居る小猿へと話しかける。


『なぁディーマン。そういや俺のアレ、どうした?』


 小猿が首を傾げる。


「はて。アレとは何のことじゃ?」


 モップが身振り手振りで説明をする。


『ほら、アレだ。あのアレ。なんだっけか? こう、ぶーんしてキンキンしてポーンって飛んでいくやつ』


 それだけで伝わったのか、小猿が納得に頷き答える。

 ぽむと手を打って。


「あーアレか。アレならヨセスタウンのあれじゃ。あれが持っておる。名はなんじゃったか……」

『ヨセスタウンと言えばあれだな。あれのアレする奴か。あのキラッキラした風貌の──』

「おーそいつじゃ。そいつが持っておる」

『ん? そういやアイツ、名前なんつったっけか?』

「あれじゃろ? あの……あれじゃ。こう、口がパクパクしたような感じの──」

『そう、そいつだ。そいつが俺のアレを持ってんのか?』

「アレを何に使う気じゃ?」

『ほら、あれだ。あの、東のずっと先に行った場所に例のアレがあるだろ。あれに使うんだ』

「おー例のアレか。あれにアレを使うのか?」

『お。わかってるじゃねぇか、ディーマン。あれをアレに使うんだ』

「しかし今頃になってなぜアレを? アレが必要になるということは、つまりあれなわけじゃろ?」

『そうだ。つまりあれのアレだからアレを使うんだ』


 ……。


 今までずっと口を挟まずにいたけど。

 俺はどうしても気になってしまい、二人の会話に口を挟む。


 あのさ、結局アレって何? アレってつまりどんな物なんだ?


『……』

「……」


 モップと小猿がしばし顔を見合わせた後、俺に注目してくる。

 そのまま二人してまた肩の上で会話が再開する。


『アレっつったら……つまりアレだよな? ディーマン』


「うむ。こうキーンしてポンと飛んでブーンするやつじゃ」


『いやいや、そりゃ違うぞディーマン。キーンしてポンじゃない。こう、ぶーんしてキンキンしてポーンって飛んでいくやつだ』


「じゃから、こうキーンしてポンと飛んでブーンするやつじゃろ?」


『違う、だからこう、ぶーんしてキンキンしてポーンって飛んでいくやつだ』


「じゃから、こうキーンしてポンと飛んでブーンするやつじゃろ?」


 俺は割り込むように口を挟んだ。


 いや、もうなんでもいいよ。そういう物があるんだなで覚えとくから。




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