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Simulated Reality : Breakers【black版】  作者: 高瀬 悠
【第一章 第二部】 そして世界は狂い出す
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第57話 謎の神殿兵


 拳銃ベレッタをセガールの後頭部に突きつけたまま、神殿兵は勝ち誇ったようにニヤリと笑う。


「よぉ、セガール。お前とこうしてまともに会話するのは十四年ぶりになるか」


 それが誰であるかわかったかのように、セガールは動揺することなく落ち着いた様子で微笑を返した。


「なるほど。そういうことか」


 そう呟いた後、ゆっくりと俺を解放していく。

 俺はすぐさまセガールから離れて距離を置き、向かい合うようにして拳を固め構えた。


 アリアと赤猿がそれぞれ魔法を発動させて攻撃態勢に入る。

 しかし、それをセガールが手で制して止めた。


「事を荒立てるな。ここで騒げばランドルフの術の効力が切れる」


 従うように、アリアも赤猿も体勢を崩して大人しくなる。

 神殿兵が呆れるように鼻で笑う。


「戦わないとはつまんねぇ野郎だな、セガール」


 セガールも鼻で笑い返す。


「お前とて同じだろう。その武器を出してくるとはよほど切羽詰まっているようだな。予期せぬ者達に調子を狂わされて躍起になったか? 今ここで騒げば白狼竜や他の指揮階級どもにKが見つかる。そうだろう?」


「俺に協力してくれるってのか? それはありがたい話だ」


「協力だと? フン、馬鹿言え。ここで事を荒立てても不毛なだけだ。ハイエナどもにKを横取りされるくらいなら、この場は大人しく身を引こう」


「そりゃどうも」


 突きつけた拳銃をセガールから離し、神殿兵が一歩二歩と後退する。

 程よく離れたところで。

 セガールが連れの二人へと落ち着いた声音で呼びかける。


「アリア、赤猿」


 二人が戦闘の意を返すも、セガールはそれを手で制した。


「退くぞ」


「……」

「……」


 セガールのその言葉に、多少不満の表情を浮かべつつも二人は渋々と了承し、攻撃態勢を崩した。

 その後セガール達は大人しくこの場を去り、霧のようにして闇の中へと姿を消していったのだった。


 戦う相手が忽然と居なくなり。

 ふと──

 この場に残された俺は、なんとなく視線を神殿兵へと向ける。

 神殿兵も同じ気持ちだったらしく、ちょうど視線を俺へと向けてきたところだった。

 タイミング良く目が合う。

 しかしすぐに神殿兵は俺から視線を外し、存在を無視するかのごとく無言のまま拳銃のどこかを操作してから服の内側のホルスターに拳銃を納めた。


 ……。


 話しかけたかったが俺は声を出すことができない。

 敵か、味方か。

 不用意に近づくこともできず、ただそのまま俺は相手の行動をしばし待った。


 ……。


 何拍かほどの深呼吸を置いたところで。

 ふいに。

 俺の頭の中で、おっちゃんが馬鹿にしたように鼻で笑って話しかけてくる。

 


『お前、まだ気付かないのか?』


 え?


 俺は思わず目を丸くした。

 目前の人物──神殿兵に唖然としながら、


 もしかして、おっちゃんなのか?


 神殿兵の襟元からモップが顔を出し、「やっほー」とばかりに手を振ってくる。


『来るのがちと遅くなってしまった。お前が無事でなによりだ。セガールに拉致られる前に間に合って良かったよ』


 告げて。

 神殿兵は無言のまま静かに指で「こっちに来い」とばかりに俺を呼び寄せた。


 ん?


 呼ばれて俺は神殿兵のところへと歩み寄る。

 ──何気に歩み寄った瞬間。

 俺はいきなり神殿兵から胸倉を鷲掴みされて傍に引き寄せられた。

 神殿兵が無言で拳を固めて振り上げてくる。

 同時に、俺の頭の中でおっちゃんが機嫌悪く言ってくる。


『とりあえずムシャクシャするから先に一発殴らせろ。説教はその後だ』


 ちょっと待てぇーッ!


 慌てて防御の構えを取る俺の脳裏に、【俺の物は俺の物。お前の物も俺の物】と豪語する某アニメキャラクターが見事におっちゃんと重なった。



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