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Simulated Reality : Breakers【black版】  作者: 高瀬 悠
【第一章 第二部】 そして世界は狂い出す
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第49話 ツインズ・フール


 ふと。

 神殿内部に居た一人の神殿兵が、何気に庭園へと目を向けてきた。

 そして隣にいたもう一人の神殿兵へと声をかける。


「おい」

「どうした?」

「この庭園はまだ調べてなかったよな?」


 うげーッ!

『うげーッ!』


 俺とおっちゃんは内心で絶叫した。


 どうすんだよ、おっちゃん!


『どうしようもない。これはもう運だ。運にかけるしかない』


 運頼みかよ!


『今動けば百パーセント見つかる。だが動かなければ九十八パーセントの確率で見つかる』


 それ二パーセントしか助かる確率残ってねーじゃねぇか!


『二パーセントでも残っているだけマシだと思え』


 マジかよ、おっちゃん! 嘘だと言ってくれ!


『本気だ。絶対動くなよ。まだ見つかったわけじゃない。諦めるな。二パーセントの奇跡に賭けるんだ』


 二パーセントの奇跡ってどんな奇跡だよ!


 ──すると、


「何事ですか?」


 落ち着き払った綾原の声がすぐ近くで聞こえてきた。


「奈々様」

「奈々様」


 二人の神殿兵が綾原へと駆け寄ってくる。

 駆け寄ってきた神殿兵に、綾原は平然と問いかけた。


「巫女様が今慌てて向こうへ走って行かれたのですが、何かあったのですか?」


 二人の神殿兵は互いに顔を見合し、頷く。


「向こうだ」

「行こう」


 二人の神殿兵は向こうへと走っていった。

 足音が遠ざかり。

 綾原が俺たちのいる茂みへと声をかけてくる。


「またかくれんぼですか? 巫女様」


 茂みから巫女が慌てて顔を出す。


「ち、違う! これは──」


 言いかけて、巫女はハッと口元を手で覆った。

 急に取り繕った態度で女々しく身じろぎ、


「ちち、ち、違いますでございますわよ。ほほほ」


 俺は密かに鼻で笑った。


 大変だな、おっちゃん。


 綾原が険しい顔で巫女に詰め寄る。


「やはり巫女様の体には何かが取り憑いているようですね」


 たじろぐように巫女が身を引く。


「い、いや、実はだな、これには深いわけがあって、その」


 声も見た目も巫女なだけに事情を説明するのが大変そうだ。

 内心でおっちゃんが俺に助けを求めてくる。


『おいコラ、笑ってないで助けろ。お前の知り合いだろ? どうにかしろ』


 仕方ないな。


 俺はその場から立ち上がり姿を見せた。

 綾原が俺を見てハッとした表情をする。


「あなたはあの時の──! 無事だったのですね。良かった」


 言って、綾原は自身の胸に手を当て安堵のため息を吐く。

 俺は綾原に事情を説明しようとして……。


 ……。


 声が出ないことに今更気付いた。

 俺は無言のまま情けなく頬を掻くと、そのままさりげなく視線を逸らす。

 巫女が黙って俺を睨んでくる。


『余計事がややこしくなっただけじゃねぇか!』


 だったら俺にどうしろって言うんだよ!


 ふと複数の足音が近づいてくる。

 綾原が俺の手を取り、どこかへ導く。


「事情は後ほど聞きます。あなたも巫女様も、どうぞこちらに」



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