↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Simulated Reality : Breakers1【black版・完結】  作者: 高瀬 悠
【第一章 第二部】 そして世界は狂い出す
PR
27/333

第7話 気のせい、だよな?


 やっと結衣から解放された俺は、買い物を済ませて一人家路に帰りついた。


 ただいまー。


 リビングから母さんが顔を見せ、玄関へとやってくる。


「ご苦労様。遅かったわね」


 色々あったんだ。


 俺はそう言って母さんに買い物袋を手渡した。


「あら、どうしたの? その手首のミサンガ」


 ぅげッ! 忘れてた。


 俺は慌てて手首を隠すと「なんでもねぇよ」と言って顔を逸らした。

 母さんがニヤリと笑う。


「もしかして母さんの知らないところで彼女とかいるんじゃないの?」


 そんなんじゃねーよ。


「それより、ちゃんと買ってきてくれた?」


 エリンギ?


「残念。えのき」


 やっぱりな。そうだろうと思ってえのきにした。


「さっすが我が息子。わかっているじゃない」


 まぁな。


 玄関で靴を脱ぎながら、俺は尋ねる。


 今日の夕飯なに?


「きのこカレーよ」


 カレー!?


「あら? ダメだった?」


 そうじゃなくて、えのき関係なくないか?


「きのこカレーと言えばえのきでしょ?」


 しめじだろ!?


「あ、それよ。しめじ」


 ……いや、もう何きのこだろうと別にいいよ。カレーだったら。


 俺は玄関から上がると二階へ歩いていった。

 その後ろから母さんが声をかけてくる。


「あ、そうだ。さっき朝倉君から電話があったわよ」


 わかった。後で電話しとく。


「朝倉君と何かあったの?」


 俺は足を止めて怪訝な顔で振り返る。


 え? なんで?


「気のせいかしら。なんか思いつめたような暗い声をしてたのよね」


 あの朝倉が?


「そうなの。聞いたんだけど、何も話してくれなくて」


 ……。


 自室へ行くのを止め、俺は玄関にある電話へと向かって歩いた。

 受話器を取り、朝倉の家に電話をかける。

 しばらく呼び出してみたのだが、誰も電話に出なかった。

 俺は首を傾げて電話を切る。


 誰もいないみたいだ。


「変ね。ほんと、ついさっきだったんだけど」


 出掛けたのかな?


「そうかもしれないわね。またしばらくして掛けてみたら?」


 そうする。


「じゃぁお母さんはさっそく料理でも始めますか」


 え? 今から?


「先にお風呂入ってきなさい。その間にぱぱっと作っちゃうから」


 そう言って、母さんは買い物袋を手にキッチンへと戻っていった。

 俺も電話から離れ、一階の風呂場へと足を向ける。


 ふと──。

 電話のベルが聞こえたような気がして。


 俺は足を止めて電話へと振り返った。

 空耳だろうか? 電話は鳴っていないようだ。


 気のせい、だよな?


 俺は首を傾げて風呂場へと歩いていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。