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Simulated Reality : Breakers【black版】  作者: 高瀬 悠
【第一章 第三部序章 後・下編】 砂塵の騎士団 【下】
247/313

なんか……ごめん。【12】

なんか……ごめん。


2013/12/29 17:00 2014/07/11 02:24改稿


「……」


 遺跡群から外へと脱出できると思わしき、真っ直ぐに延びた大きな通り門跡地──その出入口付近で。

 カルロスが一人、外へと通じる向こう側を見つめたまま無言で佇んでいた。

 そんなカルロスの背に、俺は言葉なく歩み寄る。

 デシデシとアデルさんは気遣ってかその場に留まり、全てを俺に任せてくれた。


 ……。


 外へと通じる道のその先には、たくさんの海蛍が飛び回っており、出る者には容赦なく死を与えようと待ち構えているようにも感じる。

 海蛍に触れし者は魂を抜かれて死ぬ。

 嘘か本当かの迷信を俺たちは信じて、ここから脱出できずにいた。

 (カルロス)が、そこから先へ進もうとしないのもそれが理由だろうか。

 そんなカルロスの背に俺は声をかける。

 なるべく穏便な声で、また口喧嘩が始まらない程度に。


 なぁ、カルロス。


「……」


 声をかけたにも関わらず、カルロスはこちらを無視するように振り返ろうともしなかった。

 俺たちと──いや、俺とは特に慣れ合いたくないのは分かっている。

 だけど、ここで喧嘩を続けたところでお互いに何のメリットもない。

 だから俺はカルロスに声をかけ続ける。


 一人でここを脱出する気か? たった()()で。


 聞いたところで(カルロス)が答えてくれるはずもないと思っていた。けど──

 振り向かず、カルロスが答えてくる。


「君には関係ないね。鬱陶しいから向こうに行ってくれないか?」


 あの鍋、どうすればいい?


「君達庶民で勝手にすればいいじゃないか。【白狼竜(フェンリル)】なんて来ない。僕の召喚術もどうせ心の中で馬鹿にして笑っているんだろう? 庶民はいつだってそうさ。財力も魔力も知力も弱いくせに、魔物に襲われた時や金目のことになると、途端にヘコヘコして頭を下げては影で僕たち貴族を馬鹿にする。

 僕はもう知らない。あの鍋なんてどうでもいい。どうせ僕たちはこのダンジョンから助からずに、死んで(なお)永久(えいきゅう)に、ここを彷徨い続けることになるのだから」


 ……。


 お前、本当にクトゥルクに選ばれた勇者なのか?

 やること成すこと全てが逃げてるというか、ネガティブというか。口先だけのヘタレ貴族にしか見えない。

 そんなことを口に出すとまた喧嘩になりそうなので、俺は内心で静かにそう思い留める。


「君は──……」


 言いかけて、カルロスがそこで言葉を切ってくる。

 なぜそこで言い止めた?

 俺が何も言わないからだろうか。出来れば最後まで言ってほしい。

 仕方なく。

 俺は溜め息を吐いて催促する。


 俺が……何?


「君が口にした、あの六形星(ペンタクルス)召喚のこと。

 いったいどこでその知識を得たんだい? どんな国──いや、環境で育とうと、君のような一般の庶民が貴族相手にムキになって反論できるものじゃない。

 話せる範囲でいい。口外もしない。

 もしかして、君の両親か親族周辺で神殿を出入りしていた元関係者は居るのかい?」


 ……。


 どう返答しようか少し躊躇った後。

 俺は肩を竦め、お手上げして答える。


 いや、別に。知らないおっちゃんから適当に教えてもらっただけ。神殿とは何の関係もないし、俺も詳しくは知らない。


「偶然教えてもらったとでも言いたいのかい?」


 まぁ、そんなとこかな。……だから、何も知らずに口にして悪かったと思っている。


 その言葉にカルロスが軽く笑う。

 俺へと振り向いて、


「君に期待した僕が馬鹿だったよ」


 いや、何を期待したのか知らないが戦力にならなくて……その、


 カルロスが首を横に振って否定する。


「そういう意味じゃなく、君が本当のことを話してくれると期待した僕が馬鹿だったという意味さ」


 本当の……こと?


「君は謎のところが多すぎるのさ、覆面君。本当に、君をどこまで信じていいか分からないよ。僕を心配して一人でここに来る、そのお節介なところとか」


 別に俺は、お前を心配して来たわけじゃ──


「じゃぁ何しにここに来たんだい? 僕が先に脱出しないか監視にでも来たのかい?」


 それもある。


 ハハ、とカルロスが自慢の金髪をかき上げて笑う。


「正直なのか何なのか、心底よく分からない覆面君だ。ここを脱出したら真っ先に八つ裂きにしてやりたいほどに腹が立つ。

 ──僕の角笛も全然返してくれないしさ」


 ……。


 ぽつりと、嫌味っぽく漏らしたカルロスの「角笛」という言葉に。

 俺はポンと手を打って思い出した。

 首元にかけていた二つの角笛のペンダントを取り外して手に持ち、カルロスに向けて差し出す。


 ごめん。返すよ、角笛。どっちがお前のか分からないけど。


 カルロスが鼻で笑ってくる。


「なんで今更そんなことを言うんだい? 遅すぎだよ」


 いや、お前には一度返してるんだが──


「どっちも僕の物じゃない。どうせ贋物(ニセモノ)とすり替えているんだろう? 庶民がよくやる手口だ。本物の僕の角笛はどうしたんだい? 売って金に換えてしまったのかい?」


 どっちかが本当にお前の角笛だって。マジで。


「本当のことを言わない君を、僕が信じるとでも?」


 自分の使い慣れた感とかねぇーのかよ?


「あるよ。なぜなら僕の物だからね」


 だったら見分けろよ。どっちかがお前の角笛だから。


 すると。

 何かに気付いたのかカルロスが怪訝に眉根を潜め、首を傾げてくる。


「……ところで、もう片方は誰の角笛なんだい?」


 ……。


 一瞬返答に躊躇って、俺は答える。


 誰だっていいだろ。いいからどっちか受け取ってくれ。


「……」


 ……。


 カルロスが角笛へと手を伸ばしかけたところで。

 ふと、何を考えてか角笛を受け取ることなく手を退いていく。

 貴族としてのプライドを張るかのようにピンと背筋を伸ばして、俺を見下すような態度で吐き捨ててくる。


「僕を誰だと思っているんだい? 僕はクトゥルクに選ばれし勇者──カルロス・ラスカルド・ロズウェイだよ。そんなものに頼らなくても僕のドラゴンは呼び寄せられるし、このダンジョンからも抜け出してみせる。

 君の考える貧相な下心なんて僕には全てお見通しさ。どうせ僕の機嫌をとって一緒に脱出させてもらおうと思っているんだろう?」


 どんだけ自意識過剰だよ。一瞬も思いつかなかったし正直考えようとも思わなかったよ、そんなこと。


「本当のことを言わない君は絶対心の中ではそう考えているはずさ。僕には分かる」


 うぜぇーな、マジでお前。


 カルロスが自慢の金髪をファサぁと手で払ってなびかせて、上から目線で俺に言葉を続けてくる。


「そうさ。僕は生まれながらにして幸運を手に入れた男さ。

 クトゥルクに選ばれし勇者がこんなところで死ぬなんて、本当にあり得ないよ」


 いいから角笛受け取れって。頼むから。死んだら余計お前に返せなくなるのが辛過ぎる。

 霊魂(ゆうれい)になっても、お前絶対俺のところにそうやって言いに来るだろ?


「僕が死ぬ前提で話をするのはやめてくれないか? あと、なんで君が生きている前提で話をしてくるんだい? 意味が分からないよ」


 俺がいつ生きてる前提で話したか? こんな海蛍に囲まれて食料も満足に無い中で、ここを脱出するとか生き残るとか、不可能だろ?


「君達はそうかもしれないけど僕は違う。僕はクトゥルクに選ばれし勇者だ。僕がここで死ぬなんてあり得ないよ」


 さっきからずっと”クトゥルク、クトゥルク”って繰り返し強調しているが、そんなにクトゥルクに選ばれたことが偉いのか?


「クトゥルク教を侮辱する気かい? その発言、君が本当にこの世界の人間なのか疑わしくなるよ」


 俺がいつ侮辱した? クトゥルクって奴がそんなに偉いかどうかをただ訊いただけだろ?


「そもそも君の考えは根本からおかし過ぎる。金も要らない、地図も知らない、魔物との戦い方も知らない、魔法の定義すらも知らない、ましてやこの世に生まれたら最初に教わるとされるクトゥルクがどんな存在なのかもまるで分かっていない。

 なんだろう。もう本当に──馬鹿を通り越して……よく今までずっと、君がその年齢まで生きて来られたのか不思議でならないよ」


 ……。


 カルロスが現実を否定するようにフルフルと首を振りながら片手で頭を抱え、もう片手で俺を拒絶するように突き出して身を引いてくる。

 その反応が俺を心底不快にさせた。

 とにかく(カルロス)は、俺を馬鹿にしないと気が済まないらしい。


 ……お前がそういう考えならもういい。お前から角笛なんて受け取るんじゃなかった。


 そう吐き捨てて、俺は再び二つの角笛のペンダントを首にかけた。

 そもそもがなんで俺はこんな奴と話そうと思ったんだろうか。

 一人で放っておいても良かったんだ。

 コイツがこんな奴だって俺も始めから分かっていたはずなのに、ちょっとでも良心見せた俺が馬鹿だったんだ。

 ムカムカするままに俺はカルロスの前から踵を返し、立ち去ろうとする。


 じゃぁな。話しかけて悪かったよ。お前とはもう二度と話さねーから。


 背後でカルロスが軽く笑ってくる。


「僕は──……」


 ……。


 なぜだろう。理由は自分でもよく分からないが、なんだかすごく気がかりで、俺は思わず足を止めた。

 いつものカルロスとは違うように感じたからだろうか。


「……」


 ……。


 そのまましばらく沈黙が流れる。

 俺はイラっとして振り向いた。


 いや、言えよ! 言いたいことあるなら言えよ、この際全部まとめてお前の皮肉を聞いてやるから! ただし今回だけだからな!


 悪態つきながら俺が振り向いた時。

 カルロスはどこか浮かない顔で首を垂れていた。

 笑っている口端さえもどこか物悲しさを感じてくる。


 ……。


 沸点に達していた俺の怒りも、冷水をかけられたように急降下する。

 肩の力すらも抜けて、俺は溜め息を吐いてカルロスに訊ねる。


 クトゥルクに選ばれし勇者って名乗るの、自分で言っていて疲れないのか?


 首を垂れたまま、カルロスがぽつりと言ってくる。


「正直疲れるよ。たまにそのプレッシャーで、ここが押し潰されそうにもなる」


 そう言って、カルロスが己の心臓部分を軽く拳で叩いて示した。

 大した慰めにもならないかもしれないけれど。

 俺はカルロスに言う。


 無理に気丈張らずに、もっと楽に生きてもいいんじゃないのか? 別にそんな選ばれたことを強調しなくてもみんなお前がクトゥルクに選ばれた勇者って知っているんだろう?


 カルロスが顔を手で覆って隠し、笑ってくる。


「君みたいに平凡で、魔物が来たら真っ先に逃げ隠れてやり過ごし、誰かの助けを受けながらでしか自由に生きられない弱い庶民には僕の苦しさなんて理解できないと思うよ。

 魔物が街を襲って来れば、それがどんなに恐ろしく狂暴だろうと大群を率いて最前線に行って死と隣り合わせで戦わなければならない。

 それが僕の──クトゥルクに選ばれし勇者としての運命だから。

 僕は生まれた時から【クトゥルクに選ばれし勇者】と運命付けられ、幸運なままに何不自由のない貴族として暮らしてきた。

 金に困ったことなんて一度も無いし、手に入らない物なんてない。

 欲しい物は何でも手に入れられて、可愛い貴女(きじょ)()たちはみんな僕の周りに集まって()びてくるし、勉強もそれなりに出来て、魔法も使えて、欲しい呪文の魔導書も何でも手に入れられて、カッコイイ剣なんかも与えてもらったし、誰も乗りこなせないようなドラゴンにも僕は楽々乗りこなした。

 僕の周りにはいつもたくさん、僕を褒め称えてくれる人たちが居た。

 すごいとか天才だとか何をするでも大袈裟に褒めてくれて、両親でさえ一人っ子の僕をものすごく溺愛して褒めてくれていた。

 神殿庁でさえも、この僕を「クトゥルク様に仕えるべき最高の勇者」だと認め称えてくれた。

 だから僕は生まれた時から、きっと世界中の人に必要とされ、愛されるべき特別な存在なのだと確信していた。

 その気持ちは、今も変わらない。

 僕はクトゥルクに選ばれし勇者なんだ。

 そう、だからこそ僕は晴れの大舞台の戦いでこそ活躍しなければならない存在なのさ。

 こんなところで、何の大義も無く、ただ野たれ死ぬだけの運命なんてクトゥルク様がお許しになるはずもない。この僕をこんなところで見殺しにするはずがないんだ。

 きっともうすぐここに【白狼竜】送り込んでくれて、そしてこんなチンケな迷宮遺跡のダンジョンなんて、あっと言う間に吹き飛ばして助けてくれるはずなんだ」


 ……。


 とりあえず一通り、彼の言い分を聞いてやってから。

 俺は大きく深呼吸をした。

 なんなんだコイツと思いながらも、冷静に厳しい口調で声をかける。


 言っておくが、【白狼竜】はそんな生易しいことはしてくれない。


 俺は思い出す。

 そう。北の砦やセディスの事件に関わった時に体験したように、あの犬はそんな生温い手加減とか一切してくれない。

 俺がほんのちょっと指示しただけで、あっという間に吹き飛ばすどころか、塵も残らずきれいに一掃してくれるぐらいに容赦無い犬ッコロだ。

 従順過ぎる上に当然、かなり扱いも指示も大変に難しい。


「君に【白狼竜】の何が分かるというんだい?」


 分かるさ。俺は実際に【白狼竜】をこの目で見て指示s──


 言葉半ばにカルロスが俺を見て、顔を(しか)めて訊ねてくる。


「見た?」


 俺は慌てて片手を振り、さきほどの言葉を切って言い換える。


 ──あああ、いや、見た人の話を聞いたことがある。


 なかなかに無理のある言い換えだった。

 だが、カルロスは俺の言葉の真意に気付かなかったようで、小馬鹿にしたようにフンと鼻で笑って言ってくる。


「だろうね。君みたいなひ弱で非力で、すぐに逃げ隠れるような庶民が、実際に【白狼竜】をその目で見たら、きっと怯えて膝をガクガクさせながら腰を抜かして失禁ぐらいはしただろうね」


 ……。


 いや、別にそんな怖い感じでもない普通の白い犬だったと思うんだが。

 たしかにJには初対面で噛みついたりして狂暴な子犬だとは思ったが、みんなが【白狼竜】を怯える理由が俺にはちょっと理解出来なかった。

 それを言ったところで誰も信じてはくれないだろうけど。

 そんな俺の気持ちなど知らずに、カルロスが言葉を続けてくる。


「これで分かっただろう? 君と僕とでは存在の価値が違う。

 僕は特別な存在なんだ。クトゥルクに選ばれし勇者なんだよ。

 僕が本気を出せば悠々と【極】領域レベルに達することだって出来る。今はこんな僕だけど、それはまだ僕が本気を出していないからなんだ。

 海蛍なんて本当は僕の敵じゃない。ただの雑魚魔物だよ。

 僕は一人でもここから抜け出してみせる」


 あ、いや……うん。


 半ば適当にあしらうようにして、俺はアデルさん達がいるところに戻ろうと踵を返した。

 たくさんの海蛍が舞う、その道の向こうを指差して、


 俺は別にお前の行動を引き詰めるつもりはなかったんだ。行きたいなら行けばいい。()()でな。


「言っておくけど僕を引き留めても無駄だからね」


 あ、うん。止めないから、()ってどうぞ。


「……」


 ……。じゃぁ、俺はこれで。


 さよならとばかりに手を振ると、カルロスが急に俺の服を掴んで引き留めてきた。


「僕と一緒に助かりたいなら、今すぐここで僕に土下座して命乞いすればいい。そうすれば君を助けようと考え直してあげよう。どうだい?」


 いえ、結構です。


「助かりたいんだろう?」


 俺は俺で何とかしますのでお構いなく。


 そう言って断ったにも関わらず、カルロスは俺の服を離してはくれなかった。

 カルロスがスッと俺に向けて片手の平を差し出して催促してくる。半眼でボソっと、


「僕の角笛を返せよ」


 だから返すって言ってんだろ! 素直に受け取れよ!





 ※





 ──結局。

 カルロスは俺から角笛を突き出されても自分のがどっちか分からなかったらしく、強情な言い訳と悪態で誤魔化した挙句にとうとう最後まで受け取らず……。

 なぜかブツブツと文句を言いながらも俺の後ろをわざとらしくついてきて、アデルさん達の居る場所までついてきた。

 戻って来るなり、デシデシが妙に明るい笑顔で鍋の中身を貝殻ですくって、俺のところになぜか運んでくる。


「おかえりなさいデシ。いいから黙って食べてみてほしいデシ」


 いや、ちょっと待てデシデシ。なんでそんなことになっているのか説明をまず聞かせてくれないか?


「ケイよ。何も言わずに食べてみるが良い」


 え?


 俺は目を瞬かせてアデルさんを見る。

 見ればアデルさんもデシデシも貝殻の器で鍋の具を食していた。

 デシデシが目を輝かせて俺に言ってくる。


「Kの言った通りデシ! 魔物の鍋おいしいデシ!」


 いやいや、俺はそんなこと一言も言っていないから。


 ナイナイと手を振って否定したが、聞き入れてもらえず。

 デシデシが俺に貝殻の器を差し出してくる。


「さぁ、Kも食べてみるデシ! 見た目や匂いと違って、味は最高のおいしいデシ!」


 その前に、なんで食べることになったんだ?


 思い返すようにデシデシが口元に前足を当てる。


「ボク達とてもお腹空いていたデシ……」


 あー、うん。そこまでは分かる。


「鍋の中に魚の骨が見えて、ボク……つい……がぶっと」


 え? がぶっと……食べたのか?


 デシデシが小さくこくりと頷く。

 するとアデルさんも便乗して答えてくる。


「吾輩は前々から食べてみたいと思っていた。お前さんが言っていた通り、なかなかの美味であったぞ」


 いや、だから。俺一言もそんなこと言ってませんって。


「どうだ? ケイよ。お前さんも一口、食べてみるがよい」


 ……。


 勧められるがままに具材の入った貝殻の器を受け取って。

 隣で非難がましく顔を歪めているカルロスを無視して、俺は躊躇いも無く、それを口に運んで無言で一口だけ喉に流し込んだ。


 そして。

 壮絶なまでのクソまずさに耐えきれず、胃から衝動的に何かがリバースしてきた俺は、キラキラした何かを口から──(チャンネルはそのままでしばらくお待ちください)。




頭痛が痛いです

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