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俺の嫁は黒炎剣【なろう版】  作者: 木原ゆう
第一章 《異の国の生活》
9/66

俺、一生懸命説明しました。


「……どうぞ」


 理事長は怪訝な顔をしながらも俺達を迎えてくれた。


 さすが私立学園の理事長室だけあって豪勢な作り。

 あの陶器の置物なんて結構なお値段なんじゃね?

 トラの絵の壁掛けって言うの?そんなんのもあるし。


「……挨拶が遅れたわね。私は理事長の緒方美鈴おがたみすず。……でもまあ、まだ就任して一ヶ月なのだけれど、ね」


 節目がちにそう言う緒方理事長。

 なんだか少し、寂しそう?


「そんな事はどうでも良い」


 おい。


「ふふ……。貴女、さっきもそうだけど随分とはっきりと物を言う方なのね?……グロリアムさん、だったかしら?」


 席に座る緒方理事長。

 さすが、椅子に座る絵面まで様になって見える。

 ……ていうか。

 なんかこの二人の雰囲気、というか空気。

 すっげえ怖いのは何故……?


「だから。そんな事はどうでもよい、と言っている。お前が『指揮官』で良いのだな?美鈴」


 お前が『だから』じゃ。

 だから何故、初対面の人に対していきなり下の名前で呼び捨てにする?

 《暗黒の国》って、そういう教育方針だったとか?


「……貴女、さっきから何を言っているのかさっぱりだわ。『要塞』だとか『指揮官』だとか……」


 緒方理事長は俺に視線を移す。


「それに……『妻』とかも言っていたわよね。そこの彼、我が校の生徒なのでしょう?」


 え?俺?


「あ、はい……。三年二組の……」


「それはさっき聞いたわ。……では、何故、どうして、なんで、『ご結婚』されているのかしら?」


 ……されておりません。


「おい、美鈴。我らの愛の育みを邪魔しようと言うのならば容赦はせんぞ」


 ……育んでおりません。


「あなたには聞いておりません。そこの我が校の生徒に……」


「人の話を聞いていないのはお前の方であろう。お前はこの要塞の指揮官なのかと……」


「だああああ!もうっ!!!」


 俺はつい、口を挟む。


「何よ」「何だ」


 ハモるな!そこの女ふたりっ!!


「まず!グロリアムっ!」


「あ、はい……」


「ここは『要塞』じゃねえって何度言ったら分かるんだよっ!ここは『学校』!学生が勉強するところ!」


「むぅ……。どう違うのだ要塞と……」


「そして緒方理事長は『指揮官』じゃないの!この学校のトップの人で……!」


「ならば同じ事ではないか」


「違うって言ってんじゃん!いいからお前は黙ってなさい!」


「ぐ……。わかった……。ほむらがそう言うのであれば……」


 一人クリア。


「そして!緒方理事長っ!」


「ひゃっ?わ、私?」


「そうです!理事長もこのアホを刺激しないで貰えますか!」


「アホとは失礼だな、ほむら」


「だから黙ってなさい!」


「ぐむぅ……」


 黙るグロリアム。

 いちいち出て来んなよ……。


「でもだからと言って……中学生が『結婚』だなんて……」


「していません!俺まだ童貞だし……!………あ。」


「まあ……///」


 何故そこで顔を赤らめる!


「じゃなくて!……ああもう!要するにですね……!」


「なんだ、ほむら。我と混じりたかったのか?それならそうと……」


「ギロッ!」


「ぐぅ……。何故睨む……」


「それにここは一体何処なの?あなた達は何か知っているのかしら?」


「それは……」


 ……ん?


「……あの、緒方理事長?」


「?何かしら?」


「その……あれ……?もしかして、何も『ご存知無い』……?」


「??」


 あれ?


「なんだこいつ。指揮官の癖に『現状把握』もしておらんのか?」


「カチンッ!」


「おい、グロリアム……」


「そんな事で人の上に立てるとでも思っているのか?美鈴?」


 おいおい……。

 ややこしくするなよ話を……。

 はあ……。


「仕方無いじゃないのよ!こんな訳の分からない事態なんて誰も想定なんてしていないわよ!」


「指導者たるもの、どんな場面でも常に冷静沈着、そして的確な指示を与える責務があると思うがな」


「指示は出したわよ!各クラスには教室からは決して出ないようにとも指示を出したし!」


 ……すんません。早速破りました……。


「ふん。それで一体どうなる?立て篭もっていて何か事態が解決するとでも思っていたのか?現にこの要塞は……」


「学校」


 指摘する俺。


「う……この『学校』は敵兵に攻められていたのだぞ?まさかそれまで知らないというわけではあるまい?」


「それは……!」


 言葉に詰まる緒方理事長。


「……まあ、ほむらが一瞬で『殲滅』してはくれたがな」


「……え?この……うちの学校の生徒が……?」


 ……そうみたいですすいません。


「ふむ……。そこから把握しとらんか……。仕方ない……」


 グロリアムは観念したようにソファに座り込む。


「……少し長くなるが、良いか?美鈴?」


「……はあ……。そうね。私も『現状』は知りたいし……。それに……」


 緒方先生は椅子から立ち上がり、グロリアムの座っているソファの向かいに座り直した。



「……それに少し大人げ無かったわ。私も反省が、必要ね……」


















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