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俺の嫁は黒炎剣【なろう版】  作者: 木原ゆう
第六章 《鉄の剣の猛攻》
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俺、騎士団長に任命されました。


『《剣の国》:王都ノースブリュッセルム』



 『異界の者』達を正式に《剣の国》の国民として受け入れてから3ヶ月。


 遂に学者達から『鉄の剣』の規定本数製造の知らせを受けた俺は美鈴と共に製鉄所へと向かう。


「……遠藤先生、小倉先生。ほむら様をお連れ致しました」


 二人の教師の表情が変わる。


 いくら《剣の国》に慣れ始めたとは言え、最初に刷り込まれた『恐怖』という物はそんなに簡単に拭えるものでは無いらしい。


「『鉄の剣』の製造が終了したと報告を受けたのだが」


 俺は冷たい視線で教師二人を見やる。


 この3ヶ月で彼らも正式な《剣の国》の『学者』として、かなりのくらいまで昇級した筈。

 彼ら教師の持つ『異界の知識』は、今や『神の知識』とまで揶揄やゆされる程までとなっていた。


 遠藤という教師が我を製鉄所内まで案内する。


「……やはりここは何度訪れても熱いですね……」


 額の汗を拭いながらも美鈴は俺に付いて来る。



 『学園要塞』より集められた『鉄』には、純粋に『鉄』として溶かし出し使えるものもあったが、数多くは『不純物』が含まれた物である事が『異界の学者』達より告げられ。

 《剣の国》の学者と共に、まず初めに行われたのが『純粋な鉄』のみを抽出する作業だった。


 これが思いの外時間が掛かってしまい、実際の『鉄の剣』製造までは丸3ヶ月の時を要した。


「本数は?」


 俺は案内役の遠藤に声を掛ける。


 帰って来た答えは『22本』。


 ちょうど一個兵団が作れるだけの本数か……。


 遠藤は製鉄所内の開けた場所へと我らを案内した。



「……これか……」


 綺麗に並べられた鈍い光を放つ22本の『鉄の剣』。


 後ろで美鈴が遠藤と話をしている。


「……今の所、実戦に使えるだけの『鉄精製』はこれが限度だそうです。……まだまだ『鉄』自体の在庫はある様なのですが、不純物が混ざり過ぎていて《魔法の力》を弾くまでには至らないそうで……」


「そうか。……いや、これで十分だ」


 美鈴の答えには根拠がある。


 既に試作品を1ヶ月前に数本献上した学者らであったが、牢に捕らえてある《魔法の国》の元魔道兵士に対しての検証結果が既に出ていた。


 数本の『鉄の剣』のうち、見事囚人の唱える《魔法》を弾き、無効化させる事が出来た物はたったの一本。

 その他の不良品と弾く事の出来た1本とを更に溶かし出し、細かく調べた結果。

 《魔法》を弾く事が出来た1本のみが全く『不純物』の混ざっていない『純粋な鉄の剣』だった事が判明。

 さらに研究を重ね、完全なる『鉄の剣』まで到達出来たのがこの22本の剣なのである。


「……既にアリアンロード王からは『鉄剣騎士団』の設立指示が出されている」


 俺は一本の鉄の剣を抜き、その輝きを確かめながら美鈴に言った。


「……では、ほむら様が指揮を?」


「ああ。……しかし俺には『黒炎剣』がある。……この22本の剣は我が部隊の部下達が使う『神の剣』という訳だな」


 満足した俺は剣を戻し、美鈴に振り返る。


「王がお待ちだ。行くぞ」


「……はい」


 製鉄所を後にした我らは王の間へと向かう事にする。






◆◇◆◇






『王の間』



「ククク……。そうか。『神の剣』とは良い名を付けたものだな、ほむらよ」


 頬杖を付きながらもアリアンロード王は満面の笑みで我らを見下ろす。


「……はっ、あり難きお言葉」


「して美鈴よ。他国への侵攻計画は順調か?」


 俺の後ろで片膝を付いたままの美鈴に声を掛けるアリアンロード王。


「……はい。既に『神の剣』が製造完了した今、我らと対等に渡り合える国は存在致しません。……ひいては新生『鉄剣騎士団』を《暗黒の国》の要塞へと向かわせ、『神の剣』の威力を再確認後……」


 美鈴の説明が始まった。

 彼女の的確、かつ確実な『戦略』はたった3ヶ月で『宰相』まで上り詰めただけの事はある。

 天才軍師といわれた宰相グシャナス・ベーリックの弟子にして、同じくらいにまで上り詰めた美鈴は、もはや誰もが認める最高軍師の一人として王も高い評価を下していた。


「……となるでしょう。以上の理由より、王が以前提案した、《魔法の国》、《暗黒の国》の『二国同時侵略計画』の実行に移る時期かと」


 説明が終わる。


「クックック……!とうとう……!とうとう念願の《三国統一》を迎える日が近いという訳だな……!……クックック……!ハーーーッハッハッハ!!!!」


 そして王は命じる。


「レミィ、エリアス!」


「はっ!」「はっ!」


 俺と美鈴の後ろに控えていた二人の女兵士が同時に返事をする。


「ほむらを騎士団長とした新生『鉄剣騎士団』に貴様らの部隊を任命する!まずは《暗黒の国》の一要塞を貴様らだけで落として見せよ!!」


「御意!」「御意!」


 一糸乱れぬ礼でその場を後にするレミィとエリアス。


「……それでは陛下」


 俺は陛下に礼をし、踵を返す。


「……ほむらよ」


 立ち去る俺に声を掛けるアリアンロード王。


「はっ!」


「……期待しておるぞ?『黒炎剣』の力と『神の剣』の力を……」



「……必ずや王のご期待に沿える結果を」




 そして俺は部隊を編成し、手始めに《暗黒の国》へと向かった。






『鉄剣騎士団』


●日高ほむら鉄剣騎士団団長『黒炎剣』

●レミィ・ラインアーランド鉄剣騎士団副団長

●エリアス・アグネフィ鉄剣騎士団筆頭剣士

 以下、鉄剣騎士団団員20名



 《暗黒の国》南に約6000ULウムラウトの一要塞、兵力『一万』の暗黒兵士。


 ほむらの『黒炎剣』の力を示すまでも無くこれを殲滅。


 副団長レミィ・ラインアーランド 討伐暗黒兵 2436名

 筆頭剣士エリアス・アグネフィ 討伐暗黒兵 1863名

 以下、鉄剣騎士団団員20名 討伐暗黒兵 456~289名



 以上により、彼らの『神掛かった戦力』は世界中を駆け抜けるニュースとなる。


















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