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俺の嫁は黒炎剣【なろう版】  作者: 木原ゆう
第四章 《主と剣の決別》
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俺、王の下に向かいました。


『学園要塞』



「……ではレミィ。俺は美鈴とこやつらと共に、先に『王』の下へと向かう事にするぞ。《移動ワープ》の制限があるのが面倒だがな……」


 俺の左目に埋め込まれている《魔女の目》は《暗黒の国》に存在する『宝具』の一つ。

 いくつかの《封魔》が宿ったこの《魔女の目》だが、俺の中にある《黒炎の力》はまだ10分の1も目覚めてはいない。

 《魔女の目》をレミィから移植された時の拒絶反応も、多分そういう事なのだろう。

 しかし、あれだけ身に付かなかった《力の調整法》はいつの間にか身に付いてしまっている。

 これも《魔女の目》が自身の『意思』を持っているという証なのだろうか。


 ……今や俺自身の『闇』と同化し、果たしてこれが『俺の意思』なのか『《魔女の目》の意思』なのかは定かでは無いが……。


「……ほむら様?」


 レミィが妖艶な笑顔を俺に向ける。

 こいつはこいつで何か腹積もりがあるのだろう。

 『女』に対し絶対的な『差別』を持つ《剣の国》で、一個兵団の軍団長にまで上り詰めた女兵士……。

 一体何を考えているのか……。


「……いや、何でも無い。……一度に運べるのは5名が限界か……。美鈴、他3名を選んでもらえるか?」


「3名……それならば『化学教師』の遠藤先生と『数学教師』の小倉先生……後は……『保健』の御坂先生を」


「え~?私ですかぁ~?」


 間延びした素っ頓狂な声が教師陣の後ろの方から聞こえて来た。

 何だ?あの甘ったるい声は……?


「……『ほけん』とは『鉄』の精製の知識を持った『きょうし』とやらなのか?美鈴?」


「……いえ。そうでは御座いませんが、ほむら様。貴方様の『左目』から少し出血が見られますし、それに……」


 美鈴が俺に顔を近付ける。

 ……良い度胸だな。

 これ位の度胸がなければ『王』に薦め甲斐が無い。


「それに、ほむら様の御身は我らが『異界』のもので御座います。何か御座いました時には、こちらの世界の医師に見せるよりも、我が世界の医師に見てもらった方が何かと都合が良いかと思いまして」


「ちょっとぉ~!みっちゃん勝手に決めるなぁ~!それに私はお医者様なんかじゃぁ~……」


 間延びした声にイライラしながらも俺は美鈴に返答する。


「……『鉄』の精製の方は他の2名で足りるのか?」


「はい。知識だけで宜しければこの二人の教師で十分だと思います。……後は《剣の国》に居られる学者様と鍛冶職人の力に掛かっているかと……」


「そうか。ならばそのメンバーで良い。皆、我の近くへ」


 俺の号令と共におずおずと近付いて来る3名の教師達。

 美鈴は彼らを出迎え、俺に目で合図をする。

 ……俺の意思が分るのか?

 もしかしたら相当な人材を得たのかも知れんな……。


「では――――。―――――《移動ワープ》―――――」



 俺達5人は一瞬にして『学園要塞』から《剣の国》の城下町へと飛ぶ。





◆◇◆◇





「ふふ……。さあ、私達はゼノンが戻って来るまで『鉄』の回収を進めておくわよ」


 何せ人手だけは沢山ある。

 私達は指示だけ出して、ゼノン達が戻ってくるまでゆっくりしていれば良い。


「……はい、レミィ様。……では、彼らへの指示はお前に任せれば良いのですね?『こうちょう』……でしたか」


「ひっ……!!」


 エリアスが一人の初老の男に声を掛ける。

 明らかに怯えた表情の男。

 あの緒方とは違い、使えそうもない人間。

 こんな奴がこの『学園要塞』のナンバー2なのか。


「……彼らにこの『学園要塞』に存在するありとあらゆる『鉄』の回収を命じて下さい。すでに降伏したあなた方に我らの要求を拒む権利は御座いません。その代わりに『命』は保障されます。既に緒方令嬢から経緯はお聞きかも知れませんが」


「は、はいいい!!い、今すぐ全校集会を開き、指示を出させていいいいいただきますううう!!!!」


 逃げる様に立ち去る『こうちょう』。

 何やら他の『きょうし』と呼ばれる者達に慰められている。

 結局は『異界の者』も我ら《剣の国》と同じクズの集まりという訳か……。


「クックック……。良いよ……。クズ最高じゃあないか……。ねぇ?エリアス?」


「……」


「……あらら、相変わらず頭のお堅い事で」


 まあいい。

 後でたっぷりとおしおきしてあげよう。

 私とエリアスの『関係』は軍団員の全員に知られている事。

 今更恥ずかしがる事なんて無いのだから。

 たった2人の『女兵士』に手を出さない理由なんてそれ以外にある筈も無い。

 相手が自分の上官だろうが、自身の『性欲』が抑えられないのが《剣の国》の男の特徴なのだから。

 自分達を守るための『性癖』だったのが、まさか本物になるとは……ククッ……だから人生は面白いのだ。


「……レミィ様。我々もこの『学園要塞』を回ってみましょう。もしかしたら『鉄』以外の珍しい物が見付かるかも知れません」


「うん?……そうねぇ……私は面倒くさいから貴女、見回ってくれるかしら?私は『りじちょうしつ』とやらで休んでいるわ」


「………はい。承知致しました」



 そして私は。



 ゼノン達がグロリアムを捕らえて帰還するまでの間、しばし『りじちょうしつ』の豪華なソファーで仮眠を取る事にした。


















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